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番外2、エリィ聖女化大作戦


私は、忘れもしないあの日、憧れのエリザベス・メイリーン伯爵令嬢様とお友達になった。数年前にどこかのパーティで見掛けた姿も所作も美しい御方。その御方を侮辱する売女……失礼、シトラル男爵令嬢が憎くて憎くて後先考えずに前に出てしまい、手打ちにされるかと思えば、あの御方の初めての女友達となれたのだ。

あれから家に帰るまでほとんど記憶は無くって、お母様が涙目で何度も頬を打った事で漸く覚醒した。

その後、私の話を聞いたお母様も失神してしまったけど。


「今日集まってもらったのは、他でもないシトラル男爵令嬢とエリィのことについて話したいからだ」

「えぇ、存じておりますわ」


美味しそうな紅茶を一口飲んで、ジオラーク様が口を開く。

憎たらしいあの女の名前が出てきたので、歯がギリッと音をたてた。

ミスミレン伯爵家の庭で、ジオラーク様、リュシュア様、私が3人でお茶会という名の会議を開いている。

私は貴族とはいえ、ラシュキール家は子爵家だ。こんな大きな伯爵家のお2人と共にいていい者ではないが、エリィ様のためならばたとえ火の中水の中だ。


「あの女、エリィに『聖女は必ず私がなる、レオンハルトも渡さない』と言いやがった」

「まぁ!なんと無礼な!やはりあの売女に手を下しておくべきだった」

「こらこら、イヴちゃん女の子なんだからそんな般若みたいな顔をしてそんな事を言わない。でも、殿下はエリィと婚約破棄したのか?」

「いえ、あの後王太子殿下が必死に弁解してなかったことになったとエリィ様が私にお手紙を」

「そこでだ。俺はエリィを聖女にしてみせると誓った!」


その言葉に、私とリュシュア様がぐっと握りこぶしを作って賛同する。もちろん、私の憧れであり崇拝対象であるエリィ様を貶める売女なんぞ捻り潰してくれる。


「エリィに魔法についての座学と訓練を受けさせる。どちらも俺が主体でやろう、幼い頃から魔術書しか読んでこなかったからな」

「私は騎士団に所属するお父様に頼み込んで聖女について調べてもらいます」

「じゃあ僕はシトラル男爵令嬢の自信の根源について探って見るよ、王宮や向こうの領地の侍女にうちの侍女の兄弟がいるらしいんだ」


絶対あの売女をぶっ潰しますわ。覚悟しておきなさい。

私は明後日にエリィ様のお茶会に誘われておりますので、どう考えてもあの売女よりも幸せですわ。あぁ、私達を敵に回すなんて可哀想、あほらしい。


「では、そろそろ失礼しますわ」

「あぁ、定期的に報告会を開く。次の日程は決まり次第手紙を書くから日を空けておけよ」

「それじゃあバイバイ、イヴちゃん」


エリィ様聖女化大作戦、実行ですわ!






次はエリザベスがチートを目指します。

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