12、私前世でペット欲しかったの
3人目の攻略キャラ登場!
近頃怒涛のキャラ登場ですが、しっかり紹介していきますよ!
「見てろよ?」
呼ばれた直後私にニヤリと笑いかけて、同じようにドールの目の前に向かった。
私の立っている所から2、3メートル離れた所で、アイナ嬢がレオン様にどれほど凄かったか、かっこよかったかを熱弁している。
かわいい一目惚れした女の子から頬を高揚させて興奮気味に褒められてデレデレしちゃって、やはり私はフラレ役なのか。
ジオラークが深く深呼吸をすると、皆がピタリと静かになった。
それでもアイナ嬢は小声でまだ褒め殺しているけど。
ゆっくりと右手を目線の高さに上げると、素早くドールごと真っ二つにするように空を切る。
風圧が低い音をたてて体を吹っ飛ばそうと吹いてくるが、スピカが出てきてバリアを作ってくれた。主人思いのいい子だ。貴方だけは私の味方なのね。
「どうだレオンハルト!エリザベス!これが俺の力だ!」
胸を張って自慢げに叫んだジオラークに、呆然としながらかろうじて「わぁ……」と覇気のない声を漏らした。
ドールは竜巻に揉まれて粉々の塵となって飛んで行ってしまったのだ。へのへのもへじの影も形も無い、ただの野原が広がっているだけである。
「では次、お願いします」
またどこからか案山子が現れて、間抜けな顔をこちらに向けていた。
同じようにジオラークも目線の高さの右手で空を切る。さっきよりも比較的ゆっくりと右手を動かしていたからか、スピカも私を覆うバリアを解除したようだ。
案山子の色あせたTシャツが風をはらんでフワリと膨らむ。突き刺さっている1本の脚が地面から抜けて高く案山子が浮かび上がった。
そして、先程案山子がいた辺りの草がザッと風で刈り取られる。
これは、成功だろう。
「ありがとうございました。ジオラーク様の精霊は攻撃と支援付与が得意のようですね、魔力量も多いので将来が有望だ」
「えぇ、俺は貴方方と同じ魔法騎士団に所属したいと思っているのでね。期待しといてくださいよ」
挑戦的な笑みを浮かべて、副団長さんから離れて私の方へと向かってきた。満足そうなドヤ顔は、褒めて欲しそうな犬みたい。すっごいかわいい。
「よしよし、いい子いい子〜」
「なっ、お前何俺の頭撫でてんだよ!」
「え?撫でて欲しいのかと思って……違った?」
「いや別にいいけど……って、こんな所でするんじゃねぇよ!」
顔を真っ赤にして私に吠えているけどかわいらしい男の子が照れ隠しをしているみたいで、前世でストレスの溜まっていた26歳女性には悶えたいくらいに破壊力のある行為だそれは。
悪態をつきながらも、大人しく頭を差し出す辺りが特にアレだ。しかも身長がさして変わらない私が撫でやすいように少ししゃがんでもくれている。いい子だ、本当に。
「では次に、リュシュア様 よろしくお願いします」
「はーい」
間延びしたかわいらしい声のした方を向く。
幼いながらもなんとなく分かる。彼、リュシュア・ハルベルト は3人目の攻略キャラだ。




