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10、初のぼっちですわ

魔法習得シリーズ

もう少し続きますよ。


私達の挨拶を受けて、ヒロインちゃんはニッコリと太陽の如く明るい笑顔を浮かべて同じように名乗った。


「私は、アイナ・シトラルです。以後お見知りおきを」


先程私がしたように、淑女のお辞儀をして挨拶をした。

10歳とはいえぎこちない、拙い礼だった。

まぁ、それでもかわいらしいから幼いのだからと許されるキャラクターだしあまり深く考えないようにしよう。

同い年であれくらいでいいのなら、今までの地獄の礼儀特訓はなんだったんだ執事長よ。


「シトラル、というとシトラル男爵の一人娘だな」

「ジオラーク、貴方初対面の方にズケズケとお家の事を聞くなんて失礼ですわよ?」

「いえ、大丈夫ですよ?」


ジオラークをたしなめる私に、「何がいけないの?」と言わんばかりに首を傾げて私を見つめてきた。

シトラル男爵は辺境の守り人と陰で揶揄う者がいる程、田舎で人の少ない所に屋敷を構える人だ。最初はそんな人の娘だからとヒロインは私以外の人にも虐められていたが、彼女が光の魔法を使うためそんな事をするのは私だけになったのである。


「シトラル男爵令嬢は、精霊を見つける事が出来ましたか?」

「はい!レオンハルト様に見て欲しくて、私の精霊は光なんです」


また誰もが心奪われるような笑みを浮かべて、指を胸の前で組んで祈りのようなポーズをとる。ゲーム内で光の魔法を発動する時のポーズと全く同じだ。

そして、ヒロインちゃん……アイナ嬢から柔らかい光が溢れ出てくる。

それが彼女を中心に半径2メートルくらいの範囲を明るく照らして行った。完全に光の魔法だ。


「本当に光の魔法なのですね……」

「はい、私きっとレオンハルト様のお役に立てますでしょう?」

「見せてくれてありがとうアイナ嬢、でも制御を習得していない今魔法を発動するのは危険だから次は気をつけてください」


レオン様からのお叱りを何故か楽しそうに聞くアイナ嬢は、まさかそちら側の嗜好があるのだろうか。

いや、こういう事を深く考えないでおこう。どうせ私はフラレ役なのだし。


「そういえばジオラーク、貴方アイナ嬢には噛み付かないのね?」

「希少な光属性だとしても、あいつに魔力はほとんどねぇからな」

「魔力がほとんど無いってどういう」


「皆様!ただいま無事全員の精霊との繋がりを確認致しました。これから最低限の魔法制御をお教えします。ガーデンへ移動してください」


ちょうどいい所で副団長さんが声を張り上げて、私の言葉が分断されてしまった。ジオラークも何事も無かったかのように人波に乗ってすぐに行ってしまう。薄情者め。

レオン様は周りをちょこまかとふわ着くアイナ嬢に押されて、もうガーデンへ向かってしまった。後ろ姿しか見えない。

私は久しぶりのぼっちを噛み締めるしかないようだ。

なんか寂しい……気がする。






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