1、どなたか運営を知りませんか
はじめまして、八代 えいりん です。
初投稿ですのでお手柔らかにお願いします。
投稿はスローペースです。
まぁ、最初からおかしいとは思っていた。
齢8歳にしてどうにもこの世界に既視感を覚えたのだ。
リスタニア王国、それが私の住まう祖国であり、4つある世界規模の大国のうちの一つ。
世界規模の大国は精霊に愛され、この世を形成する四大元素 火・水・風・土 の魔力で包まれているという。
そして四大元素のうちの風の力が強いのが我がリスタニア王国である。
話を変えよう。
ていうかもうこの話し方止めていいかな、いや自分でそれっぽいからやってみようと短絡的に考えついただけなのだけど。
私は、エリザベス・メイリーン。
リスタニア王国の伯爵家のご令嬢様。父はこの国の重役に就いているらしく、大きな国の中でも指折りの権力者。の娘。
緩くウェーブを描くストロベリーブロンドの長い髪にエメラルドグリーンの大きな瞳、白い肌と長く細い肢体、そしてあと8年経てば寸胴型の幼児体型も豊満なそれとくびれが出来る。予定である。
何故そんなことを考えているのかというと、私がこの世界についての記憶を思い出してしまったからだ。
何を隠そう私は所謂転生者。日本という平和な国で、平凡に生きてきた26歳。やっと趣味と言えそうなものを見つけたばかりの可哀想な成人女性だったのに、今の私はどう見ても、というか今世の記憶でも8歳の伯爵令嬢そのまま。
そして前世でやっていた乙女ゲーム『恋と魔法のシンデレラ』という世界観と瓜二つ、つーか同じ世界。
そしてゲーム内では、名前を エリザベス・メイリーン 誰しもが羨むような美貌と強大な魔力を持つ私はヒロインのライバルであり虐め抜く悪役令嬢であった。絶望的でしょう。さらに神様は私に何の恨みがあるのか、このエリザベス嬢はゲーム内でハッピーエンドでは断罪イベントの後に処刑エンド、ノーマルエンドでは断罪イベントの後に国外追放、そして病か事故で死亡というどっちに転んでも死亡エンドというオプションまで付けてくださった。
ふざけんな運営、プレイヤーとしては「ざまぁ」でニヤついてたけど今となっては命懸かってっから、マジふざけんな運営。
「お、お嬢様?」
「……あらごめんなさい、考え事をしていたら羽根ペンを折ってしまったわ。悪いけど片付けてくれるかしら」
私付きの侍女である サラ は心配そうに私を見て、直ぐにポッキリと折れたペンを片付けた。
字の練習として筆記体のアルファベットをサラサラと紙に書いているが、前世ではそこそこの大学も出てる私がこんな簡単な勉強……というか手の体操みたいな事飽きてしまうのも無理ない。
もちろんしっかり今日の分の課題は終わらせてあるけど。
「そういえばお嬢様、先程旦那様から課題が終わり次第書斎に来るようにとお伝えされたのでは?」
「……今終わった事にしてちょうだいサラ」
走らない程度に急いで競歩スタイルの私は自室から遠い書斎へと向かった。
涼しげにすました顔の裏で、心の中で運営に対する罵詈雑言を吐き出しているのをすれ違う侍女達は全く気づかなかった。




