後始末
鎌の化物との交戦で負傷したアゲハは真っ赤なマントを肩にかけ、死んだタカシの首を抱きかかえ、タカシの遺品の傷だらけのモーニングスターを握り締めていた
タカシの青い上着に入っていたスプレー式の応急処置用の医療ガスを吸引して、激戦でアチコチ破損しているオロチの車庫の壁にもたれかかる
切断された膝から下は応急処置の医療ガス内のナノマシンによって止血され、命は助かったがタカシを失った消失感は医療ガスでも紛らわす事は出来なかった
アゲハが消沈して時が止まっている間に
リリのボロボロの車庫の前に一台の高級車が停まり三人の男が降りて来る
先頭を歩く葉巻を吹かす男は九龍だった
九龍は、またもや失敗した仕事の監視役の連絡に激怒し、やも得ずボディーガードを連れて自ら後始末をしに姿を現した
「全て片付けろ」
ボディーガードたちは九龍の指示に従い、建物の各箇所に時限式のナパーム爆弾を仕掛ける
ナパーム弾の火炎によりリリの棲み家を灰にするつもりのようだ
「黒本ライの行き先は?」
九龍は壁にもたれてうなだれるアゲハに問いかける
アゲハは九龍の目を見るが何事も答えなかった
「、、、、、、、」
九龍は何も言わず鼻で笑いアゲハから目を反らし振り返り歩き出す
アゲハには九龍の目が語った声が聞こえた
物心ついた時から大人たちが自分たち姉弟を蔑む声が聞こえるのと同じように
「化物のクセに弟が死んだら悲しんだな 約立たずが フッ」
アゲハは切断された骨と肉が剥き出しの脚で立ち上がると
タカシのモーニングスターで九龍の後頭部を串刺しにし、頭を粉々に打ち砕く さらに痙攣しながら倒れた九龍の頭にモーニングスターを振り下ろし完全にトドメをさし絶命させる
ボディーガードたちはハンドガンを抜き弾丸を撃ち込む
自由の利かない身体のアゲハは防弾仕様の赤いマントで全ての弾を防ぎきる事は出来ず、腹に複数の穴があいた
腹に開いた穴から血が溢れだし、溢れた血は血溜まりを作り、自分の血の血溜まりに輪切りの脚は立っていられず足を取られ、アゲハは地面を這いずり回る
まるで血まみれの肉塊のようなアゲハはタカシの首の元へ這って向かう
瀕死の状態を見てボディーガードたちは油断しアゲハに近づきすぎた、アゲハは最後の力を振り絞り、血吹雪ともとに毒の鱗粉を巻き上げ敵を抹殺する
時限ナパーム弾が爆発し始め、辺りは業火に包まれ始めた
アゲハとタカシは触れ合う事が出来ないまま炎に飲み込まれていった
数分もしないうちにリリの棲み家は
姉弟も九龍たちも燃やしつくし、建物は崩れ落ちて全てが灰になってしまった




