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東京ピラミッド  作者: らっきー
23/32

トラブルメーカー鳥口

目覚めの悪い朝だった


朝からネットで売ってしまった怪しいヒソアリ殺虫剤の抗議の電話で起こされ、十字はたまらず容量オーバーになった留守電を聞かずに削除した


ネットニュースからはカジノ街にあるドーム型の主要カジノ施設のゴールドドームのスロットで一億円クレジット出した女の事が話題になっていた


「俺のにも当たらないかな、、、」


夢のようなことを呟く男を尻目に


ネットニュースは流れて、透明人間になれる薬の被験者募集など、世の中はどんどん流れていった


頭を抱えた十字の元に、一つの荒々しいメールが届く

殺虫剤の購入者なのだが、かなりお怒りの様子で今にも自分の店トラビスに怒鳴り込んてくる勢いだった


そんな中 エネルギーパネルに着信がある

AIに登録している人物なので十字は電話を受けた


鳥口だった


生首の動画を持ってきてから2日経っていた。

鳥口は申し訳なさそうな演技をして また問題が起きて困っている自分の家まで来てくれないかと言う


「俺はお前の便利屋じゃないぞ」と言いかけたが殺虫剤の件で過激な客もいるし、少し店を離れた方が安全かも知れないと思い直した


「どうせ客も来ないしな」



鳥口の家は電車で都心から2時間以上かかる結構な田舎で電車の嫌いな十字はまず行くことがなかった


店と住居が一体になっている十字の1LDkの住まいの方は間取りが狭く モノがあまりないガサツな男の部屋だった


十字は何にでも接着する吸盤がついた流線形のリュックに適当にモノを詰めてボーンライダースの背中にくっつけると、広い店を抜け トラビスの入る雑居ビルから出る

雑居ビルの前に置いた オフロードバイクの電子ロックを外し電子エンジンを始動し、ソコソコ距離のあるの旅に出る



首都高速を降り国道を走りつづけると、高層ビルも少なくなり、大きなディスプレイの看板も消え

上空を飛ぶ有人ドローンも少なくなる


県道に入ると街並みは人工知能が発達する前とあまり変わらず、性能がよくなった太陽光発電システムのパネルがあちこちに設置してあるのが目立つ


中核都市以外での有人ドローンの飛行はまだ整備が間に合っていないため、空を飛ぶのは配送用の無人ドローンのみだった


鳥口の住む街はもっと田舎で未だに Aiが内蔵されていない軽トラが走り、ホンダの名車スーパーカブも二百年近い歴史をもち走り続けている



2時間以上走り着いた鳥口の家は、思いのほか田舎にあり、首都に人口が密集した結果か空き家が多く人里離れていた


鳥口の家の周りも両隣が空き家で目の前には神社があり、一番近い人が住む家でも五十メートルは離れ老婆が一人で住んでいた


鳥口の家は小奇麗な一軒家で十字は居間に通されコーヒーを出される


これが案外美味かった


ここからが本題

十字は現実逃避もあり適当に話を聞き流し飯でも奢らそうと思ったのに、意外にも鳥口の話が面白く聞き入ってしまう



それは三日ほど前から起こった


夜イヤ深夜に鳥口がふいに目が覚めると、どうも変な音と声が聞こえることに気付く


〜トン トン トン〜

という音と よく聞き取れないが若い女の声に聞こえる


鳥口は空耳かと思ったが1階に降りて耳を澄ませてみた


どうやら音は向かいの神社から聞こえる


鳥口はこんな夜中に近くのババァが出歩くはずもなく、そろそろ暖かくなって来し、きっと都会からきた男女が外でイケない事をしてるんだと思い

カメラを片手に神社に向かう


向かいの神社は敷地も広くなかなか由緒正しい神社なのだが神主ももういなくなり管理する人も誰もいなかった


真っ暗の神社の敷地を足音を立てないようにソォーと忍んでいくと

神社の本堂近くに大きな木があるのが見えた


そして木の付近に灯りが微かに見える


「あそこでやってるのか」


男女が持っているだろライトに向かって忍んで行くと

トントンという音がハッキリ聞こえるようになり


女の声も聞こえる シゲ シゲか?


「シゲって男か?やっぱり若い女だな」


鳥口はかなり獲物と近づいたので得意のほふく前進に切り替え相手を確認する



白装束に白塗りの顔 取り乱れた髪 頭に鉄の輪を被り、それに蝋燭を三本立てて火が灯っている


手には木槌が持たれ、大木に藁人形を五寸釘で打ち込んでいる


「シネ シネ シネ」



鳥口はあまりの出来事にワッと声を上げてしまった


それに白塗りの白装束の女は気づき

髪をふり乱し 蝋燭の炎を燃やして、木槌を振り上げ追いかけてきた



鳥口は死にものぐるいで逃げだし、家に戻る


全く眠れなかった そして十字に電話する


「丑三つ時参りか」


今時呪いかよ 十字は爆笑する


しかし鳥口にとってはただ事ではなかった


家のすぐ前神社で呪いをかけている女がいて、その女におそらく家を見られている


呪いの女が家まで来るのではないかと気がきではなかった


要は十字にボディーガードを頼む相談だった


店に戻るのも難があるし、せっかく遠出したのもあり十字はこの頼みを引き受けることにする

当然報酬はもらうが交渉の末だいぶ値切られてしまったが、、、、


昼頃につき、夕方をすぎ、夜になった

何事も起こらず 少々飽きが出た十字は居間のなかなか寝心地のいいソファーで寝てしまった


どのくらい経っただろうか階段を急いで降りてくる鳥口の足音で十字は目を覚ます


「聞こえるだろ」


取り乱した鳥口を落ち着かせ 耳を澄ましてみる


〜トントントントン〜


確かに聞こえる


「捕まえるか」


怯える鳥口にフライパンを持たせ、二人は神社に向かった


神社の敷地をゆっくり忍んでいくと大木が見えてきた


「死ね 死ね 死ね」と一心不乱に木槌をふる 白装束、白塗り、蝋燭の女が十字にもハッキリ見えた


十字は思い切って大声で叫ぶ

「祟りじゃ〜」


白装束の女は二人めがけて髪をふり乱し蝋燭を燃やしながら木槌を振り上げ、恐ろしい形相で奇声をあげ 二人に向かってきた


あまりの異様な姿に鳥口は腰を抜かし

十字は思わずコインウォッチのコインを抜き、手裏剣を白装束の女の顔とめがけて投剣した


鳥口を抱きかかえ逃げようとした十字に聞こえたのは


「痛い 痛い もう痛いよ どうして痛いよ」


異様な見た目とは全く相容れない若い女の声だった


ヤバイ ただの女だ 思わず顔に刺しちゃったよ、、、、、


十字は我に返り、白装束の女に近づくと

顔面に金のコイン手裏剣が刺さった女が泣きじゃくっていた


よく見ると不気味な格好はしているが普通の女だった


女は十字が近づくと

「ごめんなさい ごめんなさい」

と泣きながら怯えていた


困り果てた十字が救急車を呼ぼうとすると女はそれも泣きながら拒否した


仕方なく泣きじゃくる女とビビりまくる鳥口を抱えて十字は鳥口の一軒家に戻った


家に戻った十字は鳥口と女を落ち着かせ 鳥口にはコーヒーを飲ませ、女には鳥口の家にあった使い捨てのスプレー缶式の医療ガスを吸引させ応急処置をした


落ち着くと女は聞いてもいないのに何故、丑三つ時参りをしたか語り始めた

女はある人気男性俳優の熱狂的ファンでその俳優が結婚することになり耐えられず、結婚相手の女優を呪った


十字は思った。なんて愚かな女だ


彼女は死のうと思い、車に飛び込んだら、たまたま事故に巻き込まれそうになった子供を救ってしまったり


結婚相手の女優を殺そうと包丁を持ち女優の楽屋に向かうと、たまたまスタッフに化けた女優を殺そうと狙うストーカーの尻に包丁が刺さってしまい女優を救ってしまったり


自暴自棄になり会社の金を横領しカジノで使い捨てにしようとするとスロットで大勝ちしてしまう


彼女は

「お金なんていらない。透明人間にでもなって彼の近くにずっといたい」

と泣きじゃくっていた


透明人間って、、、、、あっ


十字は朝のネットニュースを思い出す




その後 彼女は幸せになり


十字は大金をはたいて優秀な弁護士を雇い

その日からまた十字には金はないが平和な暮らしが戻ってきました。


めでたし めでたし










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