車庫の決戦
車庫での交戦が始まるスキをつき小型攻撃ロボットのバグは2階の住宅の窓から外に出て周辺をスキャンし敵を探索していた
これほどの強力な電磁波をオロチにロックオンする敵を発見するのに時間はかからなかった
バグは建物のすぐ側に皆殺し姉弟が停めたドラゴンを模った装飾がある大型トラックに積まれる電磁波砲を破壊するため4つの羽根を羽ばたかせ飛び立つ
トラックの荷台は防御対策が施され頑固な装甲で固められていたため、バグは荷台に取り付くと機体から熱電カッターを出し装甲をカットし始める
思いのほか時間がかかりそうだった
車庫では
手投げ爆弾の爆風にふっ飛ばされ自動車整備用の設備にめり込んでいた鎌の化物が立ち上がろうとしていた
青鬼は相手の態勢が整う前にアメフト選手のような突進で間合いを詰め、鋼鉄のモーニングスターを鎌の化物の頭にめがけて振り下ろす
振り下ろされた鋼鉄の棘の鉄球を右の鎌で弾き返した化物は左の鎌で青鬼の首を狙う
青鬼は鞘に収めた予備のナタを抜刀し首を狙う化物の鎌を防ぐ
青鬼と化物の目にも止まらない攻防は互角で人間技ではなかった
「あのカマキリ男 頭と首しか狙わねぇーぞ」
マジシャンだった十字は洞察力に優れているのか鎌の化物の偏った攻撃に気づいた
青鬼と化物の攻防は続く中 化物が鎌の腕で攻撃しつつ、残った人間の両手を突き出し構える
まるで西部劇の2丁拳銃のガンマンが構え ピストルを撃つように鎌の化物は毒針を無数に発砲する
発射された毒針は青鬼の顔面に無数に突き刺さる
目玉 尖った牙ある口 角のある額 顔面全体に針が刺さった青鬼の顔はサボテンのように棘だらけになり動きが止まる
風の斬れる音がすると
青鬼の首に血が滴り、ゆっくりと線が入っていく
首は人形のように地面に転がり落ち、仁王立ちした首のない胴体は受け身も取らず倒れる
「ゔぁあああああゔぁああああ」
言葉にもならない奇声をあげなからアゲハが空中に飛び上がり鎌の化物に連続で四発の蹴りを入れると
鎌の化物をふっ飛ばす
アゲハはサボテンのように棘の生えたタカシの生首を抱えると鎌の化物を背にして泣き出してしまった
化物は後頭部を晒すアゲハの頭をめがけて鎌の刃を飛ばす
アゲハは振り返りもせずナタで鎌を防ぐ
青鬼の生首を地面に置いて鎌の化物に振り返ったアゲハの顔は怒りで狂っていた
般若の様な形相をし 目からは血の涙が流れている
アゲハはトレンチコートを脱ぎ捨てる
現れたツギハギの身体には金の毒の鱗粉が舞っている
腰には真っ赤なマントを巻いていて黒い長い編み込みのブーツに映えていた
異様なのはツギハギの肌だけではなく、背中の首筋から尾てい骨にかけて金属の尾びれのようなモノが見える
これはアゲハが移植したパワードパーツで身体能力を向上させていた
アゲハは右手でナタを握り締めると
腰につけた真っ赤なマントを左手ではだけるとマントは金の毒の鱗粉を巻き上がる
真っ赤マントは防弾仕様の特殊繊維で作られ、その上毒の鱗粉も編みこまれていた
戦闘が始まるとアゲハは恐ろしいスピードの鎌をナタで叩き落とし 発射される毒針を真っ赤なマントで包み込み払い落とす
まるで闘牛士のように華麗に舞う
鎌の化物が頭と首しか狙わない事をアゲハは気づいていた
軌道の読める鎌の攻撃はアゲハにはカスリもしなかった
アゲハは闘牛士のように攻撃をいなすと空中に飛び上がりまたも連続で四発蹴りを打ち込んだ
激しい戦闘が続き、闘牛士のマントで舞い、毒の鱗粉を巻き上げナタを振り回すアゲハは焦りだす
この鎌の化物には鱗粉の毒は効かないのか?
これまで弾丸をマントで巻取り、一瞬で部屋中の敵すべてを毒で瞬殺してきたアゲハにはこれほどの長期戦は予想外だった
アゲハは少しづつ化物に押されていった。それまでカスリもしなかった軌道が読める攻撃に対応が遅れはじめる
疲労であった
人体強化したアゲハの身体であっても徐々に疲れが蓄積し動きを鈍らす
しかし鎌の化物は疲れを知らないのか攻撃力が変わらない イヤそれどころか微かに速くなっているような気もする
鱗粉の毒が効かず
このままでは分が悪いと感じたアゲハは戦術を変える
赤いマントを化物の顔に被せ視界を奪い、驚異的な跳躍力で化物を飛び越え背後にまわる
化物がマントを払い除けるのと同時ほどに
ツギハギの手首に埋め込んだ細いワイヤーを引き抜くと化物の首に巻きつける
このワイヤーはノコギリ状の細かい刃が連なり線状に形成されたワイヤーで、その気になれば鉄棒も切断する
アゲハはまるでサンタクロースが荷物を肩に抱えるように体を変え、化物の首を締め上げる
鎌の化物が頭と首しか狙わない事を考慮し 相手の攻撃の死角に入る見事な戦術だった
自分の背後に回られるなどと予期していなかった化物はこの戦術にもがき苦しんだ
その時
アゲハは激痛に襲われる
全体重を支えていた両足が 膝から先が切断された
それまで頭部しか狙わなかった化物が防衛本能からか鎌の刃を180度返しアゲハの足を奪い取った
アゲハは崩れおち、鎌の化物はトドメを刺すべく鎌を振り上げる
アゲハは両足を失い、芋虫のように這いながら逃げた
その瞬間、またもカマキリ男はふっ飛ばされた
自由を取り戻したオロチがホイルスピンで急発進しカマキリ男を吹っ飛ばし、そのまま頑丈な車庫のシャッターを突き破り走り去る
カマキリ男はすぐに立ち上がり獲物を追い尋常ではないジャンプ力で消えた
アゲハは這いながら青鬼の生首まで辿り着くと青鬼の頭を抱きかかえ戦いを離脱した
広い車庫にはアゲハと青鬼の流れる血の臭いが漂うだけだった




