五年ぶりの二人
オロチは中核都市を抜け郊外の工場が立ち並ぶ衛生都市に向かっていた
この街に住むリリの住まいは鉄筋コンクリート造りだが外壁にレンガを使いレトロ風の外見で総二階の広い一軒家だった
1階は広い車庫になっていて、オートメーションの自動車整備工場並みの設備があり その他にもリリが趣味で乗る二秒で150キロまで加速するようなスピードバイクが数台置いてある
2階は住居になっていて、リリはこの広い家に一人で住んでいた
オロチは空走モードから陸走モードに切り替えると収納していたタイヤを出し、5、6分ほど走ると目的地に到着する
巨体な整備工場のようなシャッターが自動で開くとオロチはピットに入り乗客を下ろすとAIが整備に入る
「おっハヤブサMAXか」
「こっちは新型のカタナか」
それまで不機嫌だった十字はスーパーバイクたちを目にして一時だが現実逃避できた
2階の住居に三人で移るとリリは赤毛の女に指指す
「今日はここで寝ろ」
リリの住居には不意の事態に備えて三日ほどは暮らせるパニックルームがあり、パニックルームは基本的には外側から開かない仕組みだが
リリのみが知る暗号ロックにより外からも内からも頑丈な扉をロック出来た
信用出来ない赤毛の女を監禁するには便利な部屋だった
その上でこの家には護身用のドローンがある
ポリスドローンを改造したこのドローンには
流石に日本の法律違反になる銃は装備されていないが金属製のネットを三発発射できるネットランチャーが装備されていた
リリは得体の知れない女をパニックルームに監禁し護身用ドローンに監視させた
「何もしたりしないよ」
赤毛の女はそう言いながら、何の抵抗もせずパニックルームに入って行った
五年ぶりに同じ部屋で過ごす二人はどこかギコちなく 言葉数も少なかった
時間を潰すために十字は金時計を覗きこむ
「目は見えるようになったんだね」
リリが話しかけるが
「おっ、、、、、」
十字は何を言っていいか分からなかった
(すまない俺が悪かった)と何度が言おうとしたが口に出せなかった
夜も深くなり、二人の会話も続くこともなく別々に眠りにつくのだった
十字はあまり眠れず、リリの家にあった医療キットで医療ガスを吸引していた
そこにリリが目覚め、十字のボーンライダースをけなしていた
50✕50ほどのピザの箱のようなプラスチックの箱の側面のボタンを押すと箱は開き、凝縮加工されていた食材が戻り朝飯が現れる
白米 味噌汁 鮭 納豆 お新香 モロ和食の朝食だった
三個の箱を用意してパニックルームにも一つ置いてきた
赤毛の女は不審な行動をしなかったようだった
三人は身支度をし、1階に降りて行った
1階では自動整備で点検されたオロチが発車準備を整えている
それと同時刻、リリの家から少し離れた場所に停車する大型トラックがあった
ドラゴンのペイントが施された大型トラックはつかぬ間の平和を破る布石だった




