本性
戦闘を終えてドローン専用道路を走るオロチは郊外にあるリリの家を目指して自動運転していた
十字はコインウォッチの金色のコインを外すと仕込んだ刃を出し星型の手裏剣にすると手足を拘束する結束バンドを切断する
十字は青鬼に殴られガタガタの顔面をオロチの備えつけの応急処置用のメディカルキットで手当てする
このキットは緊急時に航空機が出す酸素マスクのように天井からマスクが落ちてきて、マスクから出る医療ガスを吸引する仕組みだった
医療ガスには多少の怪我なら処置出来るほどの 医療ナノマシン 精神安定剤 痛み止め程度の麻酔薬など配合されていた
十字はこの応急処置によりある程度回復し精神的にも安定していた
ここにきてフツフツ怒りがまた湧き上がる
黒本ライはそれが本名かどうかも怪しいが、この女は明らかに俺の事を調べて行動している
盗撮の鳥口にしても、ヒソアリの殺虫剤の話にしても、俺は踊らされてるのか?
極めつけは鈴木リリを巻き込んだ事だ それは許せなかった
しかし、そのおかげで俺は助かった、、、、
十字は混乱した
やはり無理だ
十字は境界線の強化ガラスをノックすると
「どこかで少し停めてくれ」
リリはなるべく早く陣地に戻りたかったが、十字の様子に感じオロチのAIを操作する
路地裏の人通りのない場所にリムジンは着地する
もう辺りは暗闇に包まれ、リムジンのヘッドライトが眩しく輝いていた
十字は助手席のドアを開けると赤毛の女の腕を掴み無理やり車外に引きずりだし
「お前は一体何者だ? 何が目的だ?」
十字はこの推理モノの主人公のセリフのようなモノを発してしまったが
自分で赤毛の女の答えを遮る
もう沢山だった。
十字は赤毛の女に自分の前から消えろと伝えるとリムジンに戻ろうとする
「もう遅いんだよ」
刺々しい言葉が飛び込んできた
それまで、可弱い女だった黒本ライが冷たい仮面のような表情で言葉を投げ捨てる
「狙われてるのはもう私だけじゃない。お前もあの女も狙われてるだよ」
赤毛の女は鈴木リリを指指すと笑った
この女は何のために、、、、、
十字は不敵に笑う女に掴みかかり威嚇するが女の笑みを消えなかった
見兼ねたリリが十字を押さえ込み修羅場が一旦終わると 赤毛の女が口を開いた
「この状況で一番安全なのは研究所なんだよ」
黒本ライの話によると
大日本帝国研究はただの研究施設ではなく
VXガス サリンなど化学兵器
天然痘 ペストなどの伝染病ウィルス
ヒソアリ 伝染病を運ぶ蚊など生物兵器
他にもサイバーテロ用のサイバーウィルスなど
核兵器を持たない日本における大量殺戮兵器を研究 保管 対策する
高レベルの軍事研究施設でその存在は国家機密なっていた
建物事態も核シェルターより頑丈に作られ
当然セキュリティも万全で不審者など入る余地などない
生き残るにはそこに行くのが最善だと笑いながら語った
十字は赤毛の女の言う事は嘘でまた騙されるかとこの話に地団駄を踏む
「この女の言っているのは本当かも知れない」
リリが口を開く
リリはこれまで十字に起きた事を整理した
裏の世界にもある程度鼻の効くリリは皆殺し姉弟も知っていた
あの姉弟はそこら辺りの人間が雇えるような殺し屋ではない
その上あの鎌の化物、あの化物が死んだとは思えない
自分たちはかなりマズイ状態にある
そして赤毛の女がいう大日本帝国研究所
これも真実味がある
なぜなら一度 その研究所の職員を護衛した事があり
軍事用の無人兵器による警備など
普通の研究施設にしては厳重すぎる
セキュリティを不可解に思っていた
二人は悩むが、すぐに赤毛の女の話に乗る事も出来ずに 今夜はリリの家に泊まり 明日の朝、軍事研究施設に向かう事にする
軍事施設に入るには黒本ライによる新庄の紹介が必ず必要なため
十字は渋々黒本ライと行動をともにすることになった
十字はコインウォッチの金色のコインの蓋を開け時間を確かめる
今日は長い一日だった




