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東京ピラミッド  作者: らっきー
17/32

馬鹿な男

「大将 悪いんだけどチャンネル変えていいか?」


ラーメン店のガラの悪い店主は意外に笑顔でチャンネルを変えてくれた


テレビから流れていたのは昔流行った映画の再放送だった


俺は子供の頃にテレビで見た魔法を使う男に憧れディスプレイに噛じりつくように離れなかった


それがマジックだと分かる年頃になっても俺の憧れは消えず

気がつけばトランプを握り締めていた


若い売れないマジシャンの俺はダイヤという場末のマジックBARで働きだした

金はないが将来の野望に燃える俺に優しく接する若い女がいた


その女はマジックバーダイヤのウェートレスで

鈴木リリといった 気は強いが優しい女だった


二人は一緒に過ごす時間が長くなり 気がつけば一緒に暮らしていた


俺のマジックの腕は磨かれていき 

場末のバーからステージに 頻繁にではないがテレビに出る事もあるほどになった


俺とリリは幸せだった


一緒にバイクを飛ばしたり

酒を飲んだり食事をしたり


つまらない映画だったがリリが好きだったので流行りの映画も何回も観に行った



俺はトランプ投げを得意にしてた


助手の頭にリンゴを乗せて、離れた場所からトランプを投げ、そのリンゴに何枚ものトランプを突き刺す技だった 百発百中だった


ある日も 俺はリンゴに向けてトランプを放った 百発百中のはずのトランプが的を外した


その日を堺に俺の左目は徐々に見えなくなっていった


原因不明の病だったが医者は万能細胞があるから心配しなくていいと言った


しかし俺はブロック細胞の持ち主だった


医者は何も言わなくなった


俺は家にいることが増えていた


朝起きるとテレビの前に座り、寝るまで同じ場所に座っている


テレビの内容など何も入ってこない だだ眺めているだけだった


そんな中 俺の左目は完全に暗闇につつまれた


俺はその日もテレビの前に座った

その日も その次の日も その次の日も その日次日も

抜け殻だった


リリは俺を支え続けてくれたが俺にはそれが重荷だった イヤそれすら感じていなかったのかも知れない



ある雨の日 リリは傘を買ってくると言って出かけた


その日以来 リリとは一度も会っていない


俺がリリが出て行ったのに気づいたのは三日後だった


その時 テレビに流れていたのはリリが好きだったつまらない映画だった


俺はこの時から、この映画が観れなくなった


完全に左目が失明してから一年が経つか経たない位にドナーが見つかったと医者から連絡があった


俺は二人で過ごした部屋を引き払い

二人で揃えたものを売り払い

二人で暮らした街を出て 

二人で貯めた金を使い 借金をして

目を治した


俺の目は右が黒で左が青くなった


目は治ったが俺がトランプを握ることはもうなかった


そして

今でもあの映画を見る事は出来ないでいる





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