アゲハとタカシ
アゲハは弟以外のすべての人間を憎んでいた
このゴミ溜めに自分たちを捨てた母親も
生きるためにゴミを漁る自分たちを蔑むように見る通行人も
楽しそうに歩く人間すべてを呪っていた
アゲハ10歳 5歳離れた弟タカシ 生きるためにゴミを漁り盗みをした
ある日 茶色のトレンチコートを着た男が声をかけてきた
この男はリュウジという名前だった
リュウジは飯を食わせるから付いて来いと言った
アゲハとタカシは生きるために男について行った
大きな看板のある派手な店だった
看板には三つの乳房がある裸の女が描かれていた
そこは売春宿だった
アゲハは生きるために10歳で売春婦になった
売春宿の肥って丸坊主の女宿主はタカシにも売春をやらせようとしたがアゲハは 自分がタカシの分も働くと言って弟を守った
ある時 客の男にアゲハの肌は美しい売ってくれないかと言われた
アゲハは金の為に自分の肌を売った
自分の肌の変わりに移植されたのは適当に作ったゴムのような人工皮膚だった
アゲハはツギハギだらけのフランケンシュタインのような身体になり 高熱を出して寝込んだ
タカシは泣いた 姉が死ぬと思い泣いた
アゲハは言った
「私たちは痛みなんて感じないんだよ だからもう二度と泣いたら許さないよ」
タカシはそれ以来泣く事を忘れた
アゲハは一命を取りとめた
肥えた丸坊主の女宿主はツギハギの少女を前にも増して奴隷のように働かせた
ある日 アゲハの粗末な人工皮膚から金色の粉が鱗粉のように出るようになった
それから間もなく仕事中にその鱗粉を吸った客が死んだ
鱗粉には毒があった 理由はわからないが人工皮膚とアゲハの身体が化学反応でも起こしたのか鱗粉の毒は凄まじい殺傷力だった
客を死なせたアゲハをリュウジは激怒した
アゲハは殴られ蹴られ半殺しになるがアゲハを犯そうとしたリュウジは鱗粉を吸い死んだ
それを見ていたタカシはタオルで自分の口を押さえながらリュウジの死体を包丁で滅多刺しにしてアゲハにリュウジのトレンチコートを着せた
二人は逃げた
アゲハは回復し生きるために今度は街角にたった
今度は売春のためではなく 客を殺し金を盗むためだった
十年が経ち
二人は殺し屋になっていた
その日のターゲットはある組の幹部だった
その男は売春宿にいた
大きな看板に三つの乳房がある裸の女が描かれた店
茶色のトレンチコートを着たアゲハと 青い上着で額に鬼のような角を移植した青鬼は
売春宿の扉を開ける
すぐに笑顔の肥えた丸坊主の女宿主が近寄ってきた
青鬼が女宿主の頭にモーニングスターの鉄の棘をめり込ませ 原型がわからなくなるほど何度も攻撃した
青鬼が小型のガスマスクを口装着すると
アゲハはトレンチコートを脱ぎ捨てる
コートの下は全裸でツギハギの身体からは金色の鱗粉が舞い上がる
アゲハは舞った
ターゲット一人を殺すために アゲハたちは売春宿にいた 売春婦 客 従業員 三十人ほどすべてを皆殺しにした
それから二人は皆殺し姉弟と呼ばれるようになった
もう二人を蔑むように見る者はいない
なぜなら二人を蔑む者は目玉をくり抜かれてしまうからだ




