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女神さまの祝福

読んでくれてありがとうございます。

感謝してます。

 




「あっ、かかってるかかってる」


 敷地内にある川から、魚を獲る網かごを引き上げた。

 昨日の夜、ライトを設置したときに、ついでに網を仕掛けておいたのだ。


 中で魚がびちびち跳ねる。


「結構大きいな。あ、サーモン?」


 この世界では、淡水魚も海水魚も区別なく獲れる。


 ミステリー。


 いや、女神の祝福!





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





 お題:アイテムボックス


「サーモンを さばいてくれたら いいのにな」 

  (サーモンを さばいてくれたら いいのにな)

  詠み人 ユーリ



 さて。


 サーモンである(ドドン)



 元の世界にいた頃、鮮魚と八百屋が合体したお店で働いていた。

 大きな倉庫で、お惣菜も売ってて、すっごく活気があって大好きだった。


 レジ係で入ったのだけど、ある日を境にどうしても人手が足りないってことで、鮮魚の厨房に呼ばれて、小物の魚をさばかされるようになった。

 もっぱら鯵のフライ用とか三枚卸で、大きくて鯖止まりだったんだけどね。


 はぁ。おっきいイワシだと思って(ぇ)がんばるか。





 1時間後。


「うんまあー。サーモンのしゃぶしゃぶ、うんまあー」


 長ネギ(マーケット物)の千切りが、鍋でくたっとなったところを、サーモンでくるんでいただく!


「うんまあー」


 胡麻ダレも良いし、柚子ポンも合う合うー。

 サーモンいま旬じゃないけど、そんなの関係ねぇ(ぁ、そんなの関係ねぇ)


 やっぱり明日、柚子の木も植えよう。

 そして自家製の柚子ポン作ろう。






 ◇◆ 異世界 4日目 ◆◇


「やったー!」


 とうとう収穫できるようになった!


 初日に植えた葉物野菜が、青々とした葉を揺らしていた。


 ルッコラと三つ葉を収穫!

 朝露を含んだ葉はやわらかく、みずみずしい!

 大量に採れたので、もしかしたら昨夜、早速女神さまの祝福があったのかもしれない。


 自宅用に取り分けると、あとは木の箱に入れて、トムおじさんのトラックに積む。

 初出荷!である。


 新たに春キャベツ、スナップエンドウなど植える。


 畑に水をやって、昨日植えたマンゴーの木の様子を見た。


「よしよし!実ってる実ってる」


 実は昨日、白リスちゃんからもらったアイテムは【成長促進剤】なのであった。


 かなりラッキー。

 レアアイテムですぞ。


 それを昨日魚の罠を仕掛けなおしたあとに、マンゴーの木に使ったのだ。


 18個も採れた。普通なら2~3個がいいとこだもんね。

 これはやはり、祝福の賜物。


 ひとつひとつ艶があってずっしり重く、全体的に赤く色づき、香りも素晴らしい。


 うーん。3個だけ出荷しよう。


 そのあと、柚子と杏と梅、さらにアボカドの苗も植える。




 さあ、今日もやることいっぱいあるよ!








 やること その①


 町の外れに、隣町へと続くトンネルが、落石により閉鎖されているのである。

 今日はこの、落石をなんとかする!


 ドッドッドッドッドッドッドッドガガガガガガガガーン


 ええ、普通の人はつるはしのレベルアップを上級まであげないと無理な場所。

 でもわたくし、つるはしじゃありませんの。


 チートドリルで楽々クリアですのー!


 うふふ。

 うふふふふふふふふ。


 この塞がれたトンネルが開通すると・・・。


 トンネルの向こうからわらわらと、ドワーフらしき人たちが出てきた。


「やぁやぁ、助かった!お前さんが岩をどけてくれたのか?」

「我ら一族、出られなくて困ってたわい」

「いやー、いつ出られるのかと思った」

「やっと我ら一族、お日様が拝めたわいな」


 みんな一斉にしゃべりだした。

 わたしの胸元くらいまでの背丈の、がっちり体型のおじさんたち。

 みんなそれぞれとんがり帽子かぶって、おヒゲを伸ばして、肩が四角い。


「有り難い有り難い。ぜひあんたにはお礼をせねば」

「そうだそうだ。我ら一族は受けた恩を忘れない!」

「必ず我ら一族 役に立つ!」


 こうして、〈我ら一族〉が仲間になった!


 〈我ら一族〉を助けると、牧場を手伝ってくれるようになる。

 水やりと収穫、家畜を飼えば、そのお世話もしてくれる。

 実に便利でありがたい存在。


 民族大移動ならぬ、〈我ら一族〉大移動で、牧場に向かう後ろ姿を見送った。

 一人だけコロンと転んで、帽子が脱げた。

 助けられて立ち上がり、かぶりなおすも、また顔半分がふさがってしまう。

 どうやらサイズが合ってないようだ。

 うぷぷ。動きがコミカルで可愛らしい。





 やること その②


 教会に行って、またお供えをする。


 昨日したけれど、今朝の収穫量アップを考えると、何度やっても損はない。


 お供えに、採れたてマンゴーを奮発して5つ、贈っておいた。





 やること その③


 うろうろキョロキョロ、町の中心にある広場や、海沿いの公園を人を探して歩き回った。

 公園にある東屋に、目当ての人が編み物をしているのを発見!


「どうも、こんにちは。いいお天気ですね」


「あら・・・。あなたは・・・」


「つい最近引っ越してきたユーリです。西の端の牧場の」


「えぇ、えぇ、知ってるわ。お逢いするのは初めてだけど、ちょっとした有名人よね。この町に新しい人が来るのは久しぶりだから。あなたのように若い方ならなおさらね」


「有名人ですか、照れます」


「あらやだ、わたしったら自己紹介もしないで。シンディーです。よろしくね。息子が隣町の学校で先生をしているわ。マイクっていうのよ」


 シンディーは意味ありげに微笑んで付け加えた。

「まだ独身なの」


 わたしはまたしても、必殺笑って誤魔化すを発動した。

「きっとたくさんの女性の中から、自分に一番ふさわしい人を選ぼうとしてらっしゃるんでしょうね」


 またマイクを推される前に言った。

「あの、コレ、引っ越しのご挨拶にと思って」

 ベリーベリーのジャム【金】を渡した。





 よし!オッケーイ!


 これでシンディーさんから、シンディーさんのお母さんが昔パイ・タルトコンテストで優勝したという、マンゴータルトのレシピが手に入る。


 このマンゴータルトのレシピは、もらっただけでは普通にプレイしてたら使えない。

 このマンゴータルトレシピが完成するのは、【金】のマンゴーよりも更に上のランクが必要なのだ。


 それは・・・!


 THE☆ブランドマンゴー!(ドドン)


 ブランドフルーツの木は、課金でしか手に入らない。


 そう、わたしはこのブランドもののフルーツの木をすべて持ってまーす!


 課金しましたー!


「過去のお前に感謝・・・!」(Part3)



 そして、ブランドマンゴーで作ったマンゴータルトをシンディーさんにプレゼントすると・・・。


 シンディーさんは「懐かしい母の味よ。何度作ってもこの味が出なかったの」と泣いて喜んでくれる。


 そして、今度は桃とイチヂクのタルトのレシピをくれるのだ。


 もちろん、このレシピもブランドの桃とイチヂクを必要とする。





 死ぬほどプレイした世界にいるのだから、死ぬほど食べてやるうううううう。



 食いしん坊、万歳。













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