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面倒見のいい子ってチョロイのでは?


「諸君に集まってもらったのは他でもない」


教室の一角、机をくっつけて卓を作り、厳かな雰囲気を醸し出していた

取り仕切るのはアタシ、竹森輪子だ

友人達は真剣な表情でアタシの顔を窺う

皆の期待に応えるため、アタシはこう切り出した


「……ゲーム部の先輩が出来てるのではないかという議論のためだ」


二年の先輩が怪しい

経験人数一人とか言ってたとき先輩、視線を逸らしていた

あれは間違いないと確信している


「はい、解散」


「「「お疲れっしたー」」」


薄情な友人諸君は一斉に椅子を引いた

なんという統率力

アタシじゃなきゃ見逃しちゃうね

って、そうじゃなくて


「ちょ、ちょっと待ってよ皆!アタシは真剣に話してるんだよ!?なんでそんなことするの!?」


「知ってるかリンコ、来週は期末試験なんだ。お前に構ってやる時間はない」


「そんな!期末試験なんて一夜漬けでどうとでもなるでしょ!?」


というか来週試験なの初耳なんだけど

授業出て何聞いてるアタシ

先生の声って結構、艶っぽくてエロいよね?

くっ、下心に正直なアタシが大好きだ


「お前、それで中間試験赤点スレスレだったじゃねぇか!私等を巻き込むな!」


「リンリンが真面目な空気出してるからぁ、てっきり勉強会するのかと思ってたよぉ?」


「ウチは、興味ないし……」


「酷い!酷いよ皆!それでもアタシの愛人なの!?」


「お前に体を許した覚えはねぇ!」


「そういうことはぁ、好きな人と、ねぇ?」


「ウチは、別に……」


りょーちゃん、足蹴にするの酷い

りょーちゃんと一緒にアタシを足蹴にするるりっちの表情が女王様みたいで興奮する

ゴミ虫と罵って!

アタシを踏み付けて!

それで、優しくして!

邪な気を感じ取ったのかるりっちが下がっていった

チッ、勘のいい女よ

……あれ、くーちゃんは押せばいけそうな予感

チョロくて友人として心配になるなグへへへ


「アンタ達、昼休みだからってあんまり騒がない」


「「「うっす、委員長」」」


注意されたのでボリューム落として昼食をつつく

あー、彼女の愛妻弁当食べたいなー

駄弁ってたら皆でテスト勉強するという話になったけど、アタシはパス

くっくっく、凡人共めアタシには都合のいい友人がいるのだよ

精々、ちまちまと時間を無駄にしながら苦行に励むがいいわ!



『ダメですよ』


蘆花からの無慈悲な返答


「コンチキショオオオオオオッ!!」


恥じも外聞もなく、床に拳を叩きつけた

廊下で四つん這いになるアタシの姿はさぞ滑稽だろう

アタシなら指差して笑ってるよ

実際、道行く知人は憐れなアタシを写メに撮って笑っていたり、無言でお菓子を置いて行ったり、「まぁた、やってるよこいつ」みたいな顔して通り過ぎていく


「なんでや!中間のときは助けてくれたやろ!」


一方的に押しかけて、一方的に教えてもらっただけだけど

蘆花は授業サボってる癖にヤマカンがよく当たる

教科書読めば大体、分かるでしょじゃないんだよなー

英語以外は凄く頼りにしてたのに……!英語以外は!


「お前、廊下の真ん中で何してんだよ……」


呆れたようで、どこか心配するような人の好さそうな声が頭上からかけられる

顔を上げると美少女がいた

この学園、顔面偏差値高いな助かる


「おっと、ナイスタイミングだよはじめちゃん!」


色崎はじめ、友人(蘆花)のゲーム仲間(彩花)の保護者(年下)だ

蘆花がとあるゲームで宇井街彩花ちゃんと激戦を繰り広げ、結果、意気投合し、なんやかんやあってオフ会を開くことになってその付き添いではじめちゃんと出会った

蘆花と同じ生活力皆無の人間なんて、いや、それなりいるかな

その蘆花二号の面倒を好きで見てる良い子なのだ

少々、ガサツなところがあるけど、それを補っても余りある面倒見の良さ

まさに救世主!都合の良い女!

大雑把なのに裁縫が趣味というギャップがとてもいいとアタシは思います!


「つまり、バッドタイミングだったか……」


「助けてはじめちゃんだけが頼りなの!」


「まぁ、声をかけたからには話は聞かないとな」


「しゃあッ!」


アタシの友人ならアタシが顔を上げた時点で察して踵を返してるところなのに、頬をかいて、取りあえず事情は聞いておこうかなんて良い子!抱いて!

事情を説明したところ


「仕方ないな、今回だけだぞ?」


快く勉強に付き合ってくれるという

ありがたやー、ありがたやー

ちょっと、チョロすぎて心配になるよアタシ



「付き合いがいいよねはじめちゃん。蘆花二号先輩の面倒もよくみてるし!」

「不名誉な。僕は宇井街さんほどだらしなくないですよ」

「土下座すれば、寝れる……?」

「駄目ですよ。駄目ですよ」

「おやぁ?アタシは普通に二人で寝るだけだよー?なにを想像したのかなこのムッツリさんめ!」

「え?ちが、僕何も言ってないじゃないですか!」

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