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空席の軍議、停戦

連合参謀本部

対ゲルニカ連邦作戦における連合国参謀本部。


「本当にアレフとクラウゼンが出て行ったが……」


「最大の関与国がいない状況で、継戦すべきなのか?」


ルガランド連合王国の派遣士官が疑問を呈する。


「しかし、フランクの本土は奪還できていない」


フランク共和国側は不満を述べた。


「その事だが、ニホン国がアレフを通じて、返還の用意はあると意思表示して来ている」


バスティア帝国はアレフブラハム帝国経由の外交ルートからの打診を明らかにした。


「この時局で返還だと?」


現時点でゲルニカ連邦は日本の大規模な支援を受けて、中央大陸でかなりの優勢だった。


「割譲の要求はないのか?」

「割譲、戦前両国の係争地については連邦への編入を求めている」

「我々フランクはその様な要求、認められ……」

「黙りたまえ、フランクの将校君」


「我々は中央大陸にゲルニカの様な軍事国家の勢力拡大を防ぐ事が共通する優先目標であり、フランクはあくまで次目標なのだ。これまでつぎ込んだ将兵の命と国費を考えれば、フランクは感謝すれど文句を言うべきではないと考えるが、どうかね?」


四年にも及ぶ対ゲルニカ連邦戦争は、フランク共和国が中央大陸内本土の領土を喪失した今日でも続いていた。フランクの本拠地は南方大陸に移り、ルガランド連合王国は大陸西海岸側とアレフブラハム帝国の広大な国境線で戦闘が続けられていた。


しかし、極東のニホンという国の関与によって、アレフブラハム帝国は戦線を離脱し、ゲルニカ連邦、アレフブラハム帝国、ニホン国の三国共同で停戦合意が発行した。


その後アレフブラハム帝国内では国王主流派が、パートナーシップ協定推進派の支持急拡大に伴って実権を喪失し、帝国が吸収した旧諸国、植民地の切り離し(パージ)も懸念されている。


フランクに貸し付けた戦時発行債務は、ゲルニカ連邦への賠償と工業技術の押収によって賄う算段が完全に崩れた。


「し、失礼しました」


「我が連合王国の強行偵察は全て撃墜された。アレフ経由で一名の少尉が戻ってきたが、聴取は実に興味深かった。大尉、話して差し上げろ」


「はっ、当時所属の大隊は西部戦線から連邦西部工業地域への強行偵察を意図した作戦遂行していました。連邦国境へ進入した瞬間、他の味方機との通信が次々と途絶。自身も幾つかの爆破閃光を視認し、第三までの次席指揮官が撃墜された後、搭乗機からの緊急脱出しました。まもなく誘導ロケットが命中。自身は山岳地帯へ降下しました。あの誘導ロケットがミサイルなのでしょう」

「部隊は全滅。それも攻撃元が判然としない状況で」


「大尉、続きを」

「はっ、落下傘降下後、まもなく噴式推進固定翼機に発見され、大音響で周辺の状況への警告と捕虜取り扱いの遵守を知らされました。まもなくサバイバルキットが投下されました」

「噴式?ロケットで飛行していると?」


「まもなく、魔物出現を警告し、固定翼機は戦闘を始めました。その威力は何というか、一つの攻撃で数百メートル範囲を焦土とする火力が何度も投射されました」

「爆撃機でもない航空機がそれだけの火力を?」


「後に、正面に二基の大型回転翼を持つオートジャイロが駆け付け、隊員が魔物を撃退しながら自身は回収されました。機内の窓から見た光景はまるで火の海でした」


「だそうだが?」


「ニホン国介入以後の作戦行動はことごとく失敗している。その上、作戦後に直前までの終結地、待機宿舎、兵器庫などが壊滅させられている。市民に被害はないが、内地にまで攻撃が及んでいる」

「ニホン国民商貨物船による物資供給も無視できない規模だ。食糧事情は改善し、資源や燃費は確保されつつある。鉄道事情も、コンクリートブロックを枕木にした最先端の技術が投入されている。連邦全土への兵站輸送は速やかに改善されつつある」


ゲルニカ連邦は長期に渡る戦時統制によって、あらゆるインフラは酷使され、十分な維持整備されず消耗していた。日本による支援開始以後、鉄道路線は高架とトンネルを多用した、より直線的に整備され、ディーゼル機関車が無償貸与され、無線通信信号システムが導入されるなど、港から陸揚げされた物資輸送が円滑化されつつあった。


「それだけではない。機密事項だが、新大陸より持ち込まれた流行性感冒の特効薬もニホンが提供し、既に克服していると聞く。既に予防接種も実施している」


新大陸、西方大陸の通称で、中央大陸諸国の植民地が独立運動の末、建国した歴史を持つ合衆国、ルガランド連合王国の植民地が存在している。


中央大陸で蔓延している、西方大陸より持ち込まれた流行性感冒はインフルエンザだった。日本が保有するウイルス株に一致するものがあり、ゲルニカ連邦へ経鼻ワクチン、特効薬が提供された。


「この感冒だけで相当の兵力が消耗している。我々はしばし休戦協定を提案するべきではないかね」


「それではフランク本土が」

「黙りたまえ」


大きくも感情のこもっていない冷たい声によって、空気が張り詰める。


「合衆国は債券の回収ができれば、戦争そのものへの意思決定には関与しない。連合王国の決定を追認する」


合衆国は今大戦の中立を擬装しながらフランク共和国、ルガランド連合王国、アレフブラハム帝国、バスティア帝国などの連合国へ、技術や金塊、債券と引き換えに武器、燃料、戦闘糧食などを提供していた。


連合各国も合衆国の判断に同調する旨を様々示した。


「では諸君、各々の上司に伝えてくれたまえ」

「これでお開きにしようか」

いずれ訂正、加筆したいと思います。

人物や背景設定がまとまらず、申し訳ありません。

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