制裁圧力と微光の道
方角を訂正させて頂きました。
以前の感想にありました、誤表記へ対応させて頂きました。
翌日
アラック王国首都ナイドラート、政治局・外交局・王国軍合同御前会議
局長級、軍総司令が集まる会議場は、出席者全員が困惑の表情を浮かべていた。
「昨日の朝、国家憲兵隊、上空早期警戒局より未確認飛行体を確認したと報告あり。当該飛行体は、アレフブラハム帝国のワイバーンを高度を取って躱し、周回。北東へ進路を取り、視野外へ去った。全長は約40メートル、速度は目測でワイバーンの4倍程、時速800キロ超。各地の警戒局で、複数の観測要員が確認」
「……」
議場は静寂に包まれた。
「外交局です。アレフブラハム帝国より、昨日の未確認機体の照会要求がありました。植民軍の定例哨戒活動を妨害したとして、正当な治安活動を妨害した上、地域情勢を悪化させうる戦略兵器を保有しているとして、我が国の交易航路を封鎖。停船命令に従わない場合、敵対行為を示した場合は撃沈すると……」
「何だと!」
「我々ですら確認できていないモノを……」
「封鎖解除の条件は、帝国軍の監査を受け入れるという……」
「他国の、よりにもよって帝国軍を国内に招き入れろと?」
ばたん、という扉の大きな音が議場に響いた。
「会議中、失礼します。議長!緊急事態条項該当案件の為、小休止願います!」
「許可する」
「総司令!」
文官は軍総司令官に耳打ちし、状況を伝える。総司令は文官に「わかった」と伝えると、議場全体に聞こえるように話した。
「皆様方!我が国南東の海域に、全長100メートルの白の超大型艦船を発見した模様だ。既に立ち入り検査を終え、ニホンという国による国交開設交渉が目的だと判明している」
「何?次々と」
「国交開設など、近い将来、我が国が消えるかも知れんという時に!」
「昨日の王国上空を飛行した事を謝罪する旨を伝えて来ている」
「「……」」
議場が再び、静寂に包まれる。
「ニホンという国、尋常ならざる飛行物や艦船を有する国。敵に回すという愚は、我には冒せぬ。加え、帝国が我が国に触手を伸ばさんとする状況から鑑みて、ニホンを我々の追い風とせぬ余裕も無かろう」
「「陛下の御心のままに」」
国王の一言で現状は変わらない。だが、彼らに道筋が示された。
この後、次回の開設交渉会議の日程が組まれ、日本国窓口機関の設置用地や港の停泊位置、交渉官と付随する関係者の法的地位、使用する船舶に至るまで、相互合意した。
飛行ルートを、南東からアラック王国上空に進入し、港上空を旋回滞空し、北東へ抜ける、という想定です。
誤表記について、感想を頂いた際、事前に作成した想像図の北の位置を誤っており、気付けませんでした。
感想をお寄せ頂きありがとうございます。