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水際防御

アラック王国から南西に千キロ、東方大陸


東方大陸の港、アドミス港にはアレフブラハム帝国植民地軍拠点があった。

アラック王国進軍に際し、議会承認を経て派遣された国防軍司令部が置かれた。


「先行の飛行部隊、六割が撃墜されました。残存部隊は植民地軍の責任者が撤退を命令。報告では未知の対ワイバーン兵器が確認されています」


植民地軍との情報を共有する司令部付き士官が報告する。


「おそらくニホンの兵器だろう。国防軍の軍艦を出すか?」

「エルソローグ伯爵が出撃許可を求めています」

「今か?そう言えば議会が奴に国防軍の一部の指揮権を移譲していたな」

「伯爵は現在、国防軍特別編成艦隊、五十隻を指揮しています」

「では、我々は伯爵が移譲された独自権限での出撃を妨げない。出撃の際には、我々の情報収集艦を同行したい。是非とも伯爵の武功を拝見したいとな」

「分かりました」

「半数が帰還すれば御の字だな。せいぜい抗ってくれ、伯爵」


……………



アラック王国、ウェストコースト沿岸部


「ライナフェルト殿、帝国軍艦隊、五十隻が交戦ラインに進入しました」

「分かりました。所定の通りに対応をお願いします」


12式地対艦誘導弾、システムが沿岸に設置されている。


「では、意思確認を省略し、防衛活動を開始します」


発射装置から白煙を地面に噴射し、誘導弾は飛翔した。


「おお!何度見ても慣れません」


……………



ウェストコースト沿岸から12海里


エルソローグ伯爵指揮下の艦隊が、王子と日本政府が設定した交戦ラインに侵入する。


「哨戒騎を上げ、上空から状況を把握せよ」


全通甲板を有する揚陸艦からワイバーンが発艦する。


帝国軍揚陸艦、ジャックバルは哨戒用ワイバーンを搭載した、陸上兵力を輸送できる艦艇。海上戦闘において上空から戦況を俯瞰した、帝国の新たな戦法を実現できた。


「飛翔体、数一を発見。槍状の飛翔体!高速飛行中!」

「方向は?」

「直線飛翔、進路変更、先頭の艦艇に向かっています!」


「一本の槍に何ができる?意図は一体?」


「槍の後部から噴煙を確認!可燃性の飛翔体の可能性あり!」


「甲鉄艦だぞ!木造船ならまだしも……」


伯爵は胸のざわめきを覚え、念のための対応を指示した。

「甲板から退避しろ!」

「命中します!」


爆発した。一瞬で船体上部は炎に包まれる。


「飛翔体、爆発しました。浸水の報告あり、復旧は困難!」

「先頭の艦には退艦命令を通知。哨戒騎は槍に警戒せよ」

「新たな飛翔体を発見、数四!」

「艦隊の隊形を解く!最大船速!対空砲で迎撃せよ」

「命中、前方四隻が炎上!艦傾斜!沈没します!」

「新たな飛翔体を確認!数八!」


「この消耗ペースでは上陸は困難か」


この状況でもエルソローグ伯爵は冷静だった。


「八隻が炎上!」

「もう良い!全艦、転進しろ!撤退する!」

「全艦!転進!繰り返す!転進!」


「一体何の攻撃なのか?どこから来ている?」


あまりに一方的な攻撃で、攻撃元すら発見できない。


「哨戒騎より報告、槍の発射地点を目視、距離約二十キロ!」

「二十だと!」

「上空に向け垂直に発射し、空中で進路を変更しています!」

「ニホンの兵器か……」

「哨戒騎、撃墜されました!」


艦隊は作戦の要である上空監視手段を失った。


「攻撃、停止しました」

「後退を確認したからか……」

「十五隻が沈没、死傷者不明!少なくとも数百名が死亡」

「大きい損失だった。ランドヴァルドめ?情報を伏せていたか……」


「敵、大型航空兵器を視認!上空を旋回しています!」


静止した翼のそれは、上空に留まっている。


「(急かしているのだろう)救助、収容作業を急げ!わたしも出る!」


……………


アレフブラハム帝国との衝突から数日後、日本政府が声明を発表した。


『日本政府は国民の皆さまの生活を維持する為、あらゆる手段を総動員して問題の解消を図っています。今回、アラック王国にアレフブラハム帝国が攻撃を実施した為、日本国にとって重要な食料生産地である農地に被害が及び、自国の存立危機に当たると判断し、今回、アレフブラハム帝国の航空兵器、海上艦艇に対して自衛権を行使しました』


アラック王国宰相執務室にはテレビ音声が流れている。


「カズマ、お前の言う通り、ニホンはかなり柔軟だったな」


日本の慣習に疑問を抱いていたオズは、今回の対応に感心していた。


「無茶な作戦だったけど、王国が帝国軍に占拠されずに済んだ」

「ああ、国王も今回の件で議会と揉めているようだ」


中央議会では、御前会議による対応に批判が集中していた。


「オズも他国の軍に国内で実力行使させたことで色々あっただろ?」

「議会の評決で、庶民派貴族と王族系貴族で過半数、不問になった」

「怖かった……」

「ふふっ、そうか。これで帝国もこれ以上攻めてくる気配はない」

「随分あっさりと終わったな」


帝国は、ワイバーンと艦艇で侵攻して以降、軍事行動は停止していた。


「王国は大陸に数えられる程の面積を誇るが、目立った資源は無いからな。石炭は世界に分布している。何かの鉱脈も未だ発見されていない。魔石もない」

「日本にとっては、石油油田、ガス田、石炭、金属資源、希少金属、挙げれば切りがないくらいだった」

「まだ二ヶ月だ。この先、王国の友好国との国交も結ぶ機会もあるだろう。今後も未来は明るいと思いたいな」



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