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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
ANOTHER MISSION:王都での商売を成功させよう

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カエデの暗黒馬車珍道中(その9)

多分次でこの章は締めよう(←日本語変)

「まぁ、これ見てぇな。」


 カエデが服屋の店主でもある女性に、持ってきた二着の服を見せる。と、受け取った店主の目が変わった。


「これは…… 素材はともかく、縫製やデザインが凄いわね。なるほど、こんなやり方があるのね。」


 ふむふむなるほど、と色んな方向から服を眺める店主が顔を上げる。


「答えれないと思うから、こっちで勝手に想像するけど、この生地の作り方は下手するとこの世界の物ですらないかも。」

「…………」

「縫製も人の手によるものではないわね。まぁ、作り方はいいか。でもこのデザインや組み合わせ方はとても新しい。

 ……見返りは何?」


 店主の目が鋭く光る。

 下手な商人よりも怖いなぁ、と思いながらも、そういえばその辺のこと何も考えてなかったと思い出すカエデ。


「考えてもおらんかったわ。」

「……へぇ?」


 店主が(カエデの知っている限りでは)珍しく驚いたような顔を見せた。


「ああ、頼んできたんのがな、こっちで服を買いたいけど、あんまりいいのがない、って言うんや。」

「なるほど。」


 店主は二着の服を交互に見比べて、ふんふんと考える。


「二人分ね。一人はちょっと小柄で活発的なタイプね。もう一人はそれなりの背丈に結構なスタイルの持ち主か。」


 カエデほどじゃないみたいだけど、とカエデが顔をしかめるようなことを言う。


「でも何となくおとなしいかな? う~ん、一度お会いしてアレとかコレとか色々試してみたいわ~」


 くぷぷ、とにんまりと笑みを浮かべる。思わずカエデが一歩引いた。


「それはいいとして、一人五着の合わせて十着かな? ちょっと時間はかかるから、だいぶ先の話になるけど。」

「何の話や?」

「お礼ね。多分金銭で払っても受け取ってくれなさそうだし。でも、この服にはそれだけの価値があるのよ!」


 拳を握りしめて力説する店長を前に、出しづらいなぁ、と思いながらも、別に移しておいた例のブツが入った袋を取り出す。


「それは前座で、本命はこっちやねん。」


 と、恐る恐る「それ」を見せた。


「! こ、これは……!」


 女店長の動きは早かった。

 カエデが半ば取り出したのを袋に戻すと、店の表に「閉店中」の札を出してドアを閉めて鍵をかけ、かんぬきまでかける。窓も全部閉めて、店内が暗くなったところに店長が二三言呟くと、胸の前で構えた手と手の間に光が生まれる。


「魔法使えるんや……」

「ちょっとね。」


 作った光を天井近くに放り投げると、そこで止まって店内を明るく照らす。

 改めて袋から「それ」を取り出す。


「…………」


 さっき以上に真剣な顔になった店長に、カエデは口を挟むのを止めた。女性同士なので、女性ものの下着を挟んで息を詰めていてもまだ許せるが、いかんせん変態的な雰囲気が醸し出されている。


「…………」


 あちこち引っ張り、何度も裏返し、指先でなぞるように確認し、定規を合わせてと何とも忙しい。

 少し暇になったので、カエデはカエデで店内の服を見て回る。前来た時より新しいデザインが増えている。


「ああ、これええなぁ。」


 きわどいデザインの服はもう着る気が無いので、手持ちの服が半減したようなものだ。旅の商人としては手荷物が少ないのに越したことはないが、第一印象が大事だし、女性としてやはり服は疎かにしたくない。

 魔法の灯りが暗くなったのに気づいて、店長がまた光を生み出す。そこで一区切りがついたのか、店長が顔を紅潮させてカエデに詰め寄る。


「さっきの服よりも素材は不明。金属みたいに硬いのに金属じゃな無さそうな留め具。出自も何もサッパリよ!」


 どこか自慢げに胸を張る店長。


「でも笑っている場合じゃないわ。

 これはまさに異世界の技術ね。再現しきれないけど、できるだけのことをやってみる。だ~か~ら~」

「アカン!」


 嫌な予感をがするのが遅かった。さほど広くない店内ではあったが、瞬く間にカエデの背後に回った店長がガバッと羽交い絞めにする。後ろからくぷぷと笑い声が聞こえる。


「ま~ず~は~カエデをモデルに一つ作ってみないとねぇ~」

「いやや~! もうちょっと穏便な方法があるやろ!」


 普通と違うサイズだから難しそうだわぁ、とくぷぷ笑いが聞こえる。


 それから一時間。


 他に言うことでも無いが、その間のことはカエデは決して誰にも話すことはなかった。



「え、えらい目におうた……」


 自分用の下着を手に入れられることにはなったが、その代償は金には代えられぬ大変大きなものであった。

 失意(?)のまま王都を彷徨い歩く。心なしか足元がおぼつかない。

 あの一時間に何があったのか。

 思い出しかけて、青ざめた顔で首を振る。


「こんなことじゃアカン。気分転換せな。

 こういう時は商売や。」


 王都だけあって、このコンラッドには世界のあちこちからの特産品が入ってくる。知らない物も多く、まだまだ勉強が必要だ。それでもここまでくる道中で読み込んだ資料に色んな香辛料などが載ってあった。

 預かってきた岩塩を上手いこと高く売って、どれだけの香辛料やこちらでは手に入りづらい物を手に入れるか。


「なんかやっと商人あきんどみたいなことしとる気ぃしてきたわ。」


 そうボヤきながら、カエデは商業の盛んな地域へと足を向けた。

お読みいただきありがとうございました

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