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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
ANOTHER MISSION:王都での商売を成功させよう

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カエデの暗黒馬車珍道中(その4)

一日遅れてしまいました。

期待されている方申し訳ございません。


一応、カエデの話はあと数話程度で終わる予定です

「おっと、ねぇちゃん。悪いこと言わねぇから俺たちと一緒に来いよ。命だけはぁ!!」


 暗黒馬車の前に立ちはだかった、絵に描いたような無法者。使い込まれて、というか、使い古されてボロボロな剣らしきものを構えていた。

 が、言葉が変に切れて、逆に命乞いに聞こえるのも、剣らしきものに関して過去形になったのも、カエデの横から顔(?)を出した汎用箱型作業機械キューブがいきなり撃ったからだ。撃ったとは言え、実体弾とかレーザーのような殺傷兵器ではなく、幸か不幸か相手を気絶させるスタンボルトだ。

 まぁ、高圧電流を相手に叩き込むので、運が悪かったり身体が弱っていたら死に至る場合もあるが、それはそれで不幸な事故である。


 ぱしゅ、ぱしゅ、ぱしゅ、ぱしゅ。


 キューブが少しずつ向きを変えながら、雷光スタンボルトを飛ばし、近くに隠れていた仲間の盗賊たちを次々に気絶させていく。ちなみに馬車の後ろ側でも、もう一体のキューブが周りを取り囲もうとする盗賊たちを倒していた。

 気の抜けるような音がもう何度か響くと、動くものは何一ついなくなっていた。いや、訂正。ピクピクうごめいているので、生きてはいるらしい。


「……オオカミと違って、埋めておしまいってなのはアカンわなぁ。」


 人数はおおよそ十人くらい。

 一応盗賊なら、その犯罪歴によっては賞金首となっている場合もあるし、盗賊は生きたまま捕まえれば、犯罪奴隷として売却することもできる、とは聞いている。


「ウチは冒険者やないしなぁ。」


 お金になるなら、とは思うが、連れて歩くリスクが高すぎる。自分一人しか(キューブもいるが)いないので圧倒的に手が足りない。でも後顧の憂いを断つためにトドメを刺す、という発想はもっと無い。


「金目のモンはあるかいな?」


 カエデの呟きが聞こえたのか、キューブが暗黒馬車から出てくると、転がってる盗賊どもを街道から外れた草原に引きずって、まとめて並べる。

 キューブの一面から細いアームが伸びると、ワサワサと身体を探る。でもせいぜい出てくるのは小銭や小ぶりなナイフくらいだ。カエデの前に積まれた戦利品の少なさを見て、期待はしていなかったが、やっぱりため息が出る。


「しけとんなぁ。せやから盗賊なんかやっとるんやろうけどな。」


 それに拠点があるのに、わざわざ金品を持ち歩いて「仕事」をする理由もない。


「手ぇつけて、後でややこしいことになってもアレやしな。そやな、武器だけ壊してくれるか?」


 振る頭も無いので、イエスかノーか分からないが、無言で(そういえば口もない)でキューブが動き出すと、ボロボロの剣や粗末なナイフを集め始める。


「お?」


 聞いたことないような甲高い音が小さく鳴り響くと、キューブのアームが触れたところがスッパリ切断される。


「ま、待てぃ! なんやそらぁ!」


 切られた破片を拾い上げるが、指で触ってもデコボコが分からないくらいの滑らかさの切断面にキューブと破片を交互に見てしまう。高周波カッターなんて、この世界の人に説明しても理解は得られないだろうし、再現するのも不可能に近いだろう。魔法というものがあるので、意外とできるのかも知れないが。

 見られているキューブは気にした様子もなく、金属部分を適当な大きさに解体しては集めて馬車に積み込んでいく。

 一通り片付くと、キューブの一体が、カエデに向かってアームを伸ばす。どうやら今持ってる剣の残骸も解体してしまいたいようだ。


「おお、すまへんな。」


 それが最後だったのか、二体がかりで棒状の金属塊に変えると、それも積み込んで馬車に戻っていく。


「ほな、行くか……」


 街道の脇に盗賊たちを放置して、再び暗黒馬車が走り出す。

 目が覚めたとして、武器が無ければ「仕事」もやりづらいだろう。キューブたちの様子を見ると、馬とかもいなかったようで、もしかしたら徒歩圏内にアジトがあるのかも知れない。


「そう考えると、やっぱ手ぇうっといた方が良かったんかなぁ。」


 考えても仕方がないが、ただ自分がああいう風に放置したために、他の人が被害に遭ってしまったら、と思うと、やりきれない。


「自分らも本当はサックリやった方が楽なんちゃうか?」


 荷台の方を振り返っても返事はない。

 この世界では命の価値は限りなく安い。町の中ならともかく、町から出てしまえばほぼ無法地帯だ。建前上は領土として統治している国の法が適用されることになるが、本当に建前にしかなっていない。


「運が悪かった、ちゅうのは簡単やけど、やっぱ目覚めが悪いしなぁ。」


 自分がキューブという「力」を借りてるからこその安全だから、なおさらそんなことを考えてしまう。


「そない考えると、ウチは幸運やなぁ。」


 たまたま立ち寄ったハンブロンの町の衛兵の噂話であの店にフラッと立ち寄ったのが、今の状況に繋がったのだ。


「でもこれはなぁ……」


 それでも暗黒馬車だけはどうもいただけないカエデであった。

お読みいただきありがとうございました。

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