プロローグ1(3/4)
〈大気圏内です!〉
「半重力エンジンカット!
前方にソリッドシールド展開! とりあえず速度を落とせ!」
〈了解!〉
ジェルが魔法陣、と呟いた図形を抜けると、漆黒の宇宙空間から惑星上になっていた。
自分でも何言ってるか、と思うが事実だからしょうがない。とりあえず、現在一番の問題は速すぎることだ。このシルバーグリフォンなら簡単には壊れないと思うが、おそらく今の速度は音速の何倍ってとこだろう。そうなると空気との摩擦や、衝撃波ってやつが船体を傷つけるわけだ。ちなみに衝撃波は円錐状に広がるため、あんまり低く飛ぶと地上にも被害が出るらしい。被害が無いにしても、相当うるさいらしい。
〈何かと接触……したと思います。〉
「思います、って。」
ジェルの呆れた声にグリフォンが反論する。
〈仕方ないじゃないですか! さっきまで宇宙空間だったのに、急に大気圏内ってどういうことですか!
レーダーだってまだ宇宙用なんですよ!〉
逆ギレだ。
先に言っておくけど、コンピュータの逆ギレなんて普通はないからね。お、ジェルが珍しく言い返せない。
〈それより前方に山です!〉
「回避は!」
〈残念ながら……〉
ちなみにすごい緊迫した状況だし、ヤバいってことも分かってる。まぁ、そこはピンチに慣れちゃったのと、ジェルならどうにかしてくれる、という信頼感というか、黄金パターンというか。
「……! ソリッドシールドを正面に集中させ、衝突の瞬間にフレキシブルモードで全体に展開。後先考えずにフルパワーだ!」
〈了解!〉
ジェルの声音が変わった。
本気で本気だ。今回はマジで厳しいみたい。
「衝撃に備えろ!」
ジェルが叫んだ瞬間、これまでずっと前を見ていたヒューイ、そしてジェルが動いた。
ヒューイはひらりと自分のシートを飛び越えると、後ろの席のリーナちゃんに飛びかかった。と思ったら、あたしの視界が白く染まる。
ジェルが自分の白衣で包むようにあたしを抱きしめる。ロマンティックな雰囲気になる前にコンソールの下に押し込まれる。
いろんなアラームがピーピー鳴る中、グリフォンのカウントダウンが続く。
暗く、ジェルの体温や息遣いくらいしか分からないが、残り時間はわずかのようだ。
〈衝突します!〉
あたしを抱きしめるジェルの腕に力がこもる。次の瞬間、体験したことない衝撃と振動が襲い掛かり、気が付くと、って言い方が変だけど、あたしは意識を手放していた。




