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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:千客万来を迎えよう

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悪だくみを始めよう(その3)

もうちょっとアクションシーンとか書きたいが、機会がないなー うぬぅ。

「うわー! なんやー!!」


 爽やかな朝は爽やかじゃない声と共に始まった。爽やかじゃないジェルの腕からするりと抜け出し、窓から外を見る。


「そんなに不満ですかねえ。」


 うひゃあ!


 久しぶりでちょっと油断した。気配もなくジェルがあたしの肩越し窓の外を覗き込んだので、反射的に出かかった悲鳴を無理やり飲み込む。


 ごくん。


 どうにか無様な声を出すのは堪えた。そんなことしたら朝から負け気分だ。こうなったら自爆覚悟の反撃だ。

 あたしの肩の所にジェルの顔がある。ということは本体は真後ろだ。そこだ! ってわけじゃないけど、窓枠を押しながら身体を後ろに倒す。


「お?」


 自分に倒れ掛かってくるのに気づいて、一瞬避けようとして、そのまま動かずにあたしの身体を支える。ふははははは。貴様がそうせざるを得ないのはお見通しよ!

 って、はたから見ると、単に甘えているようにしか見えないのが欠点だ。そういう訳じゃないんだが。

 とはいえ、ジェルがあたしの肩を支えながら硬直しているので、ちょっとは気分が晴れた、と思い込むことにしよう。


 再び窓に寄って外を見る。

 そこには真っ黒な……リアカー? じゃないか。えっと、馬車のアレか。馬で曳く部分。それが謎の部材で補強されて、真っ黒に塗られていた。

 なんかこー すげぇ不吉そう。

 ほろをかぶせるための四隅に立て、幌をかけるための骨組みを組み、防水性があると思われる布をかぶせる。


 そして黒。


 ちなみに組み立ててるのはいつものように箱型汎用作業機械キューブだ。数体いるうちの一体が部材を組み立てていくたびにそれを黒く塗っている。

 あれでも塗った物の強度を上げて、熱を遮断するんで、結構重宝するんだよね。色が黒いのさえ除けば。しょうがないのよね。光を吸収して発電する関係上、吸収しやすい色になるのは。ついでに光沢のある色じゃないから、すごくしっとりと使い込まれた感がある。


「なんやー! そんなところで二人でイチャイチャかぁ! 一人モンなウチに対する当てつけかーっ!!」


 朝から元気な人だ。

 ルビィからツッコミがないところを見ると、獣人という言葉や、大体の考え方は間違いじゃないようだ。

 動物の特徴を持った人間種。そういう意味で言えば、ヒトなんて猿の獣人なのかもしれない。


「おりゃぁぁぁぁぁっ!!」


 どこぞでゴリラの獣人が吠えとるな。うん、きっとあいつ(カイル)はそういう進化を遂げた奴に違いない。

 まぁ、そんなわけで狐の獣人であるカエデは、トレードマークというか特徴である狐耳&狐尻尾をブンブンと振って、自分の馬車が魔改造される様を嘆いている。

 ……ちなみに、昨日と違って露出の少ないおとなしめの服を着ているが、アレだけ身体をブンブン振ると、凄いところも激しく揺れる。男性には眼福かも知れないが、持たざる者にとっては辛い光景だ。


「……?」


 何となくジェルがその光景をどう思ってるのか気になって振り向くが、ジェルは興味なさげな顔で、馬車の仕上がり具合を見ているようだ。あたしが見ているのに気づいて、不思議そうに私を見つめる。


「何か?」


 う~ん。そろそろ一回思考を停止した方がいい。ジェルに対して男女の仲のことを考えると、どんなに考えても答えが出ない。あたしの想像の範囲ではジェルの行動原理がさっぱり分からないからだ。


「……ふむ、とりあえず朝の検診やっちゃいますか。」


 へいへい。


 なんか外でカエデが騒いでいるような気がするが、気にせずにベッドに腰かけ、ジェルがその隣に腰かける。

 いつものように謎の機械であたしの目を左右比べるように覗き込んで、腕のコンピュータを操作してからまた覗き込む。


「どう?」

「綺麗な目をしていますな。」


 は?


「視力にも影響がないようですし、電子機器から離れているせいで、眼精疲労もなさそうです。

 やはり現代人の目は疲れていますな。」


 なんか言ってるけど微妙に頭に入らない。うん、分かってる。分かってるんだ。ジェルはあたしに対してだけ極端にデリカシーが無くなる。ワザとかと思うくらい。

 それこそ鼻と鼻が触れるくらいの距離で診療中に言う言葉ではない。いつも淡々としたジェルの口調では真面目なのかふざけているかの判断もつかない。こいつは淡々とふざけることも多いからだ。


 ……うん、いつもの何も考えてないアレだ。そう思い込むことにした。


「ん? カイルの足音が入ってきましたな。ということはもう朝食か。

 私たちも着替えて降りますよ。」


 ああ、こいつはいつもマイペースで腹立つなぁ。でも逆に言えば、いつ戻れるか分からない状況で、これだけいつも通りだからこそ、みんな異世界こちらでも危機感無く生活できるのかも知れない。


「そんなに私の着替えが見たいので? もうラシェルのエッチ。」


 うん、悔しいから感謝の気持なんか見せるもんか。


「そんなわけあるかぁ!」


 いつも通りにツッコミながら、ジェルに背を向けてあたしもパジャマを脱ぎ始めた。


 ……あの馬車、後で見てみないとな。

お読みいただきありがとうございます。

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