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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:千客万来を迎えよう

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悪だくみを始めよう(その2)

「カエデ嬢にはさっきも言った通り、王都まで行って砂糖をこの町の特産品として登録したうえで広めてほしい。

 護衛は……」


 ジェニーさんがグルーっと店内を見回して、肩を竦める。


「いない。一人で頑張ってくれ。」

「なんでや!」


 おお、鋭いツッコミ。なかなかの切れ味だ。


「冒険者ギルドとか、そこのゴッツイあんちゃんとか、おるやろうが! なんでウチだけ寂しん坊やねん!」

「ふむ、いい質問だ。」


 ジェニーさんが鷹揚に頷く。


「ギルドはなぁ。どこかの楽しい仲間たちが叩きのめした奴らの管理で忙しくてな。」


 何せ数が多くてな、とガイザックさんがボヤく。刑務所どころか牢屋もあるわけじゃないので、大きめの部屋に入れて見張るしかできないそうだ。となると、自然と人数が必要となる。


「で、彼らもこの『雄牛の角亭』から離すわけにはいかない。追い込まれた貴族派がどんな手を打ってくるか分からんからな。ここには最大戦力を置いておく。」

「おお、ヒューイ、カイル。この店の平和は君たちの腕にかかっている。」


 いつものように棒読みくらいの淡々とした口調でジェルが言うと、言われた二人がジト目で白衣の変態を見る。


「……まぁ、いつものことだからスルーするが、実際に現在の最大戦力はなんだ?」


 ヒューイの問いにジェルがん~と唸る。

 メガネのツルを指先でトントンと叩いてから、左腕に着けているコンピュータを操作して、バーチャルのディスプレイとキーボードを呼び出す。

 見慣れた二人はともかく、初めて見るジェニーさんとガイザックさんとカエデが目を丸くするが、まぁ知ったこっちゃない。

 空中に3D映像が浮かび上がる。どうやら岩に埋まったシルバーグリフォンの姿のようだ。あちこちにあたしたちの読める文字での注釈やラインが走る。何を意味してるかはさっぱりだが、片隅に九十パーセント以上の数字が書いてあるので、まだまだ先は長そうである。


「艦載機はまだ無理。主砲副砲も全然無理。排障はいしょう用のレーザーを捻じ曲げれば使えなくもない、ってところか?」

「それでもオーバーキルだな。」


 あ、排障用レーザーって簡単に言うと、宇宙空間を彷徨ってる宇宙ゴミ(スペースデブリ)てぇのがあるんだけど、それを破壊するためのものだ。ゴミとはいえ、相手は光速の何パーセントで飛ぶような宇宙船だ。当たったらちょっとどころか、すげー痛いそうだ。……あ、グリフォンに聞いたんだけどね。

 そんなわけで、ほとんどの宇宙船の標準装備で、防衛用にも使えないような威力なのが一般的だ。。

 それで今更ながらだけど、ジェルの設計なので、無駄に威力が大きい。シルバーグリフォンの武装の中では一番最弱だけど…… 普通に他の宇宙船を輪切りにしてたっけ。

 一応、大気圏内だと減衰するし、おそらくは反射用の何かを介して狙いをつけるのだろう。それだけやっても、きっとこの世界では過剰な攻撃力だ。たぶんロックバッファローも一瞬で蒸発させてしまうだろう。


「そういうのはなぁ……」


 カイル的にはあんまり一方的過ぎるのは浪漫に欠けるらしい。


「いやいやいやいや、何言ってるかサッパリやけど、なんかえらい不吉な響きやな。」


 カエデがバンとテーブルを叩く。


「そんなことよりもウチの安全は誰が守ってくれるんやー!」


 悲痛な叫びに、一人の除いて全員の目がジェルを向く。そう、こういう時はジェルの出番という訳だ。

 なんか面倒くさそうにため息をつくが、すでに答えが出てるのか、キョロキョロと面々を見て、視線がリリーにところで止まる。


「さて、リリーさん。こういう場合、お手軽簡単にカエデさんの安全を保障できると思いますか?」

「ん~」


 答えがすでにありそうな感じなので、店内をグルグル見回して、何かヒントを探す。と、店の奥の壁を見て、口を小さく「あ」の字に開いた。


「キューブ君! そうだ! ハカセ、キューブ君を貸してあげるの?」


 この中でまだ見たことないカエデが「何やそれ」みたいな顔をしている。というか、実際に口にした。


「……そうだな。もう言葉は大丈夫だと思うが、護衛向きなのを二体に電池タイプ一体ってとこか?」


 ジェルの言葉に壁がモゾリと動き出す。


「な、なんやぁっ!!」


 悲鳴を上げるカエデを尻目に、すでに話し合い(?)が終わってるのか、あっちとこっちとそっちから箱型汎用作業機械キューブが壁からにじり出てきて、他のキューブを足場にして床に降りてくる。

 合計三体のキューブがカエデの前に整列する。キューブたちを前にカエデが目を白黒させる。


「喋ることはできないが、こちらの言うことは理解できます。色々便利に使えますし、危険を察知して知らせてくれますし、ある程度なら追い払ってくれることでしょう。」


 嘘だ。

 そんな生易しい性能のはずがない。


「さ、さよか……」


 恐る恐るながらもカエデの目が値踏みをするように妖しく光る。


「ちなみに売ろうとか思ったら、勝手に戻りますので、ご了承願います。」

「い、嫌やなぁ。ウチがそんなことするわけないやないかい。」


 微妙に棒読みなのが、内心の動揺を表している。たくましいなぁ。


「後はカエデさんの馬車を改造しましょう。え~と、長旅に耐えれるように。」


 あ、言葉選びやがった。

 まぁ、たぶんだけど「電池タイプ」と言ってたから、この「雄牛の角亭」の屋根にも塗った太陽電池ペンキを使って充電できるようにしておくのだろう。


「明日一日くらいで改造しちゃいますので、今日はこの辺で。」


 夜も更けてきたので、今日はそろそろお開き。ジェニーさんとガイザックさんが揃って帰っていった。カエデはまだ宿を決めてなかったので、馬車から荷物を持ってきてここ(雄牛の角亭)に泊まるとのこと。

 久しぶりにあたし達以外で宿の仕事が入って、アイラはどこか嬉しそうにカエデに宿帳を書いてもらっていた。


 明日は慌ただしくないといいなぁ。

 本気と書いてマジで。

お読みいただきありがとうございます

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