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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:千客万来を迎えよう

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おっさんたちを迎えよう

 スコッチが喋った。声が超渋かった。


 それはともかく。

 あたし達がこの世界に「召喚」されたときに「翻訳魔法」的な物がかけられた、という訳だ。ちょっと乱暴な証明方法だったが、その分よく分かったよ、うん。


 魔改築が終わって、営業が再開したのだが、なかなかお客さんが来ない。変な言い方だが、すでにあたし達という「客」がいるので、すぐに経営に困ることはない。

 さらに言うと、どうやって食べつくせばいいのか分からないくらいのロックバッファローの肉があり、灯り用の蝋燭ろうそくや油、調理用のまきなどもオール電化のおかげで不要になった。

 食費も光熱費も大幅なコストダウンし、水汲みの手間からも解放され、店内の掃除も細々と箱型汎用作業機械キューブがやってるので、することも大きくコストダウンだ。

 で、何をやってるかというと、リリーは自分のところの畑があるし、アイラは「雄牛の角亭」の電化製品の使い方を覚えながらも、リーナちゃんと一緒にメニューの研究だ。飽くまでもこちらの世界にある材料でコンスタントに作れることが条件だ。

 ……肉は某牛肉でいいような気がするが。

 無くなりかけたら「また狩りに行くか!」って誰かが言い出しかねないのが怖い。



 カイルはリリーの畑も含めて肉体鍛錬に余念がない。よくまぁ飽きないものだ。ヒューイはリーナちゃんやアイラが出る時の付き添いだ。

 暇なのはあたしとジェルで、特にイベントも発生しないのですることがない。で、何もないと本当に何もしないジェルを、引きずり出しては町の散策に勤しむ。

 ちょっと普段着になる服を探しているので、あちこち服屋を見て回ってるが、これというものがなかなかない。ただ、その中の一軒でデニム生地みたいな丈夫な布地を見つけたので、リーナちゃんに頼んで、オーバーオールみたいのを作ってもらった。早速リリーに着てもらったが気に入ってもらえたようだ。

 そんなアンニュイ(?)な時間を送っていると、日も落ちて夜になる。そうなると数少ない「常連」が今日もやってくる。



「「あの冷たいやつをくれ!」」


 バモンさんとガイザックさんが肩を並べてやってきた。

 この中年のおっさんたちが何ほざいてるかというと、どこぞの食べ道楽(カイル)が今度はアルコールを欲しがったわけだ。

 で、あちこち探したんだけど、あったのがエールってお酒や、ワインくらいだった。それも樽に入れたまま室温で放置しているので、発酵しすぎて酸っぱくなったりなんて珍しくないらしい。

 状態のよさそうなエールを樽ごと買ってきて、町の外で収穫した野生のホップを適当に足した物に、合成した重曹と柑橘系の果汁を加えた炭酸を混ぜて、なんちゃってビールを開発しやがった。

 適当とは言え、冷蔵庫でキンキンに冷やしているとそれなりに飲めるらしい。ちょっと味見させてもらったが、あたしの口には合わなかった。


 で、それがこのおっさんズにバレた。カイルの自業自得ではあるが、窓際で外を見ながら美味しそうに飲んでいた方が悪い。

 元々、それなりにあたしたち(特にジェル)の異常さは知ってたし、細かいことで色々借りがあったし、カイルが「おぅ、うめぇぞ」と店に呼んでしまったため、隠しきれなかった。

 何が驚かれるかといえば、やはり冷蔵庫の存在である。金をかけてもいいなら、魔法や魔法の道具で物を冷やすことができるそうだが、とてつもなく高価だったり、それこそ酒を冷やすためになんか使うものではない。

 取っ手を引いて、庫内に入れるだけで物が冷えるなんてありえないらしい。それこそただのエールやワインを冷やすだけで美味しく飲めるそうなので、その実験と称して飲みまくってるのはどうすべきだろうか。

 ジェルが調べたところによると、この世界には「蒸留」の技術がほとんど発達してないらしいので、醸造酒しか出回ってないそうだ。



「「「かんぱーい!」」」


 それでも酒は酒だ。そもそもそんなに強い酒ではないので、グビグビと喉をくぐらせてぷはーっ! ってやってる。


「リーナちゃん、おかわり!」

「俺たちの方も頼むわ。」

「あと料理も頼む!」


 のんべぇ達が飲みたい放題喰いたい放題言ってやがる。


「お待たせしました。……あまり飲みすぎないようにお願いいたしますね。」


 可愛い女の子にそんな風に言われたら、おっさんズはデレデレだ。しかも料理はロックバッファローのローストビーフだ。さっきこっそり味見(つまみ食い)したら、大変美味でした。なんかこう、元々の肉の味が濃いし、薄く切ったはずなのに厚切りステーキのような歯ごたえと弾力がある。


「博士たちもどうぞ。」


 のんべぇ達の相手をしながら、こちらの夕飯も用意してくれる。今晩のメニューは厚切りステーキを歯ごたえのあるパンで挟んだホットサンドだ。それに自家製のジンジャーエールがついてくる。

 パンか肉の匂いにつられてリリーもやってきて、あたしとリリーとジェルで食卓を囲む。


『いただきます。』

「美味しい!」


 早速口に運んで歓声を上げるリリー。うん、確かに美味しい。ジンジャーエールもちょっと風味が素朴でワイルドだが、キンキンに冷えて美味しい。


 おっさんたちの笑い声を聞きながら、お客さんがすぐに来なくても賑やかでいいじゃないの? とちょっとばかり思ってしまった。

この章ではそれなりに登場人物が増える予定です


お読みいただきありがとうございます。

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