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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:千客万来を迎えよう

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愛の告白をされよう

 まだ色々したいことはあるが、魔改築が終わって、一息ついた頃合いだ。

 ちなみに解決したいことの一つは服の問題だ。あたしたちの着ている服はこちらだとやや浮いてしまう。出来れば普段着として使える服を揃えておきたい。洗濯ができるとはいえ限界はあるし、あんまり同じ服のローテーション、というのもねぇ……

 もう一つ言うと、下着の方がもっと深刻かも。服はほら、布さえあればリーナちゃんが縫えるからどうにかなりそうだ。

 お風呂でアイラとリリーを見た時に分かったんだけど、この世界の下着は可愛くない! 包み込むような優しさも、動いても気にならないジャストフィット感もない!

 下着革命でも起こそうかしら……


「で、聞いてませんな。」


 うん、聞いてない。


「まぁ、ラシェルが聞いてなくても結構です。ルビィさん聞いてました?」

(え? なになに?)

「聞いてなかったみたい。」


 Ohジーザス、とばかりに手を広げて天井を眺める。


「召喚魔法の話ですから、ルビィさんに聞かないと分からないのですがねぇ。」

(召喚魔法?)

「あ、反応した。」


 じゃあ、聞くだけ聞いてください、と前置きしてからジェルは自分の「仮定」を説明し始めた。

 召喚魔法で何かモンスター的なものを呼び出したとして、命令なり指示を聞いてもらえないと、呼び出し損どころか、敵が増えてしまう可能性もある。

 となると、まずは意思の疎通ができることが必要となる。

 そのために召喚魔法には言語翻訳、というか、意思疎通の魔法が組み込まれているのではないか、ということだ。


「実演してみますか。

 ラシェル、あなたを愛してます。」


 はぁ?!


 い、いきなりこいつ何言いだしやがりますか! そんなこと急に言われたって、その、心の準備が、というか、えっと、その……

 あたしがアワアワしていると、ジェルが微妙に困ったような顔をする。その困った顔というか、眼鏡の奥の目がくらい色に沈みそうになって、ふと冷静になる。

 そうだ、ここはツッコむところだ。


「時間を考えろ!」

「えー 時間ー? ……じゃあ、夜にもう一度やってみますか。」

「するな。

 ……で、今のは何?」


 ちょっと顔が熱くなったのがびみょーに腹立たしい。


「よかったらお茶をどうそ。」


 そこにリーナちゃんがハーブティを持ってきてくれた。新しい調合を試しているようで、毎日毎日味が違う。

 今日のは酸味が強めでサッパリする感じだ。ちょっと砂糖を入れてもいいかも。


「そうだリーナ、

 あなたを愛しています。」


 はぁ?


 ちょっと待った! あんたリーナちゃんに何言ってるのよ!

 と思ったら、リーナちゃんは不思議そうに首をかしげて、窓から外を見る。


「まだお昼ですが……?」


 リーナちゃんも時間なの?!


「ちなみになんて聞こえた?」

「あ、はい。『月が綺麗ですね』ですよね、博士?」


 何を言ってるんだろう、とは思いつつ、博士ジェルのやることだから何か意味があるのだろう、という感じのリーナちゃん。


「ちなみに今日本語を喋っているつもりなんだがどうだ?」


 ……へ?


 ちなみにあたしは一応フランス系(国籍なんで宇宙時代に全然関係ないけどね)なので、共通語のほかにフランス語ができる。ジェルは五か国語、リーナちゃんは十か国語ができるらしい。想像もできんな。

 というわけで、ジェルが日本語を喋ったところであたしには理解できないのだが、なぜか普通に理解できる。


「はい、ジェル説明。」


 つまりですね、とまたくどくど話し出す。


「召喚」されたあたしたちの言葉の「意味」が相手に伝わって、向こうからも言葉の「意味」がこちらに伝わる、とのことだ。

 ジェルがこっそり実験した限りだと、


1.機械(通信機など)を通しても伝わる

2.グリフォンたちの言葉は伝わらない

3.書いた文字はお互いに読めない


 ということだ。

 なので、グリフォンたちはジェルを通して見聞きした言語を今解析中らしい。リーナちゃんも事情を話してアイラから読み書きを習っているそうだ。

 なるほど、とあんまり理解してないけが、それよりも解決しておきたい問題がある。


「さっきの月がどうとか、って何?」

「昔々ですね、外国の文章を読んで生徒が『あなたを愛しています』と訳したときに『そんな風に言うか。月が綺麗ですね、と訳しておけ』と教師が言ったという逸話があったそうです。」


 へぇ。


 つまり、あたしはジェルの言ったことを直接理解できなかったので「意味」で伝わったけど、リーナちゃんは理解できたので、文字通りの意味になった、ってことらしい。

 なんかこう、もうちょっとなんかあったんじゃないの? とは思う。うん。

 あれ、そういえば……


「スコッチもそうなのかな?」

「「!」」


 ふと思いついて、そう呟いたらジェルとリーナちゃん、そしてあたしの目が隣のテーブルで丸くなっている黒猫スコッチに向いた。


「……スコッチ、起きてる?」


 元々賢いのか人の言うことを理解しているように見えることがあるスコッチだが、さてさて……

 ひょい、と黒猫が顔を上げる。


(ああ、一応な。)


 うわぁぁあぁぁぁぁぁっ!


 スコッチの「声」は予想以上に渋かった。

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