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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
INTERMISSON-02

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リリーとキューブ

 リリーは「雄牛の角亭」で寝泊まりするようになったが、それでも自分の家の畑があるから、朝食を済ますと、リーナちゃんからお弁当をもらって、畑仕事に向かう。

 カイルもたまに「耕すのって筋肉に効くんだぜ」と、とてもくわとは思えない超重武器を背負って一緒に行ってたりする。その時の弁当の大きいこと大きいこと。


 それはさておき。

 前はさらっと聞き流してたんだけど、この世界の作物って成長が随分と早いらしい。リリーのところのサトウダイコンは年に五回収穫できるそうだ。へぇ~と思ったら、冬の二ヶ月くらいは作物が育たないくらいに寒くなるとか。ついでに雪も積もるらしい。

 で、先日、悪徳商人に持っていかれそうになったサトウダイコンを収穫して、冒険者ギルドに納品した。結構な枚数の金貨を貰って驚くよりも呆然としていたリリーだが、怖くなったのか、その大半をギルドに預かってもらった。

 そういうサービスがあるのと、実はリリーは冒険者としてギルドに登録しているらしい。そういやぁ両親が元冒険者だったそうだし、ガイザックさんと親しかったのもその辺があるのかも知れない。

 で、「雄牛の角亭」に戻ると、その残りのほとんどをアイラに差し出した。


「何これ?」

「うん、これから結構お世話になるからー」

「……預かるだけよ。」


 と、渋々ながらも受け取る。

 そうしたら次はピューっと自宅まで戻って、鍬を背負って出てくる。せわしない。

 しばらくは一人で行動させるのも心配なので、あたしとジェルが同行しているが、まぁまぁ何とも落ち着かないだ。

 あたしはともかく、ジェルはすでにヘトヘトになっている。まぁ、普段運動不足気味だからいい機会だ。


「今度は何をするのでー」


 いつの間にかに呼んだ箱型汎用作業機械キューブに腰かけて、サトウダイコンとは違う畑を歩いているリリーに呼びかける。


「芋の収穫だよハカセー。」


 何故かジェルのことを「ハカセ」と呼び始めた。なんでか聞いたら「リーぇが呼んでるのがいい響きだったから」と。

 そう、リーナちゃんのことは「リー姉ぇ」、あたしのことは「ラシェ姉ぇ」とも呼び始めた。まぁ、確かに年下だし、妹キャラのせいか悪い気はしない。リーナちゃんは自分よりも「下」がいなかったため、困惑気味だが、少しずつ慣れつつある。

 面白いのが、ヒューイは「さん」付けでカイルが呼び捨てなのだ。


『ん~ 悪気があるけじゃないし、リリーは気持ちのいい奴だしな。』


 と本人が言ってるので、いいんだろう。なんか年の離れた友人みたいで楽しそうだし。ちなみに浮いた話になる可能性はこれっぽっちも無いようだ。


 と、話を戻して芋の収穫らしい。

 ジェル曰く、ほとんどの作物は同じ畑で続けて作ろうとすると連作障害なるものが起きるそうだ。なので、別の作物を作って畑を「休ませる」必要があるらしい。一般的には違う作物を交互に育てるとか、追肥とか対応するとのことだ。

 それでリリーのところはジャガイモっぽい芋とサトウダイコンを交互に育てているので、今日は芋、ってことだ。


「さぁ掘るぞー!」


 さすがにリリー一人じゃアレだろ、と、キューブを六体ほど呼んできた。内二体はあたしたちの椅子になってる。


「おーし、キューブ君三番十一番はそっちから、二十番二十四番はあたしとこっちからだよー」

「……何?」


 ジェルが驚いたように顔を上げる。


「いっくぞー! おーりゃー!」


 なんかありえない速度とパワーで土を掘り起こしていく。起こした土の中にキューブが突っ込んでいくと、芋を掘り出していく。ある程度採れたら、畑の外に置いてある籠に向かう。

 彼女のペースが想定以上に早いのか、キューブも何となくアワアワしているように見える。

 そんな中、一体のキューブが掘り起こした土にクロウラーを取られて身動きができなくなった。アームを伸ばして態勢を変えようとするが、ザクザクになった土は思った以上に手ごたえがなく、無限軌道クロウラーも空転するばかりだ。


「わー 二十番君!」


 リリーがパタパタと二十番と呼ばれたキューブに駆け寄ると、ドンドンと足場を固めてから、ひょいと持ち上げた。


「何?!」


 またジェルが驚いてる。


「さっきからどうしたの?」

「……ラシェルはキューブを持ち上げたことありますか?」


 ないよ。


 ふと気になって椅子代わりにしていたキューブに手をかける。


 ……重っ。


 えっと待てよ、三十センチ立方ってことは、二十七リットルくらい。素材は金属とかセラミックとかだし、全部みっちり機械が詰まってないとしても、比重は水よりあるだろう。

 ということは少なくとも三十キロはあるってこと?

 あたしよりも小柄で細腕に見えるけど……

 って、思ってたら、すでに収穫が終わったのか、キューブを積み木代わりにして遊んでいる姿が見えた。


「え~と、リリーさん?」

「はい?」


 リリーが小首を傾げる。


「いくつか質問が。まず、キューブの見分けがつくので?」

「え? だってみんな違うしょ?」


 みんな同じ立方体にしか見えないけど。

 いや、でも合ってるんだ……とジェルが小さく呟く。ジェルだって見かけだけじゃ区別はつかないが、眼鏡とかに情報が出てるので判別できるらしい。


「それと、よく持ち上がりますね。」

「そう?」


 と、またひょい、とキューブの一体を持ち上げる。あんまり重そうに見えないのだが、わずかに足元が地面に沈んでいるので、重量はちゃんとあるらしい。


「だって可愛かわいいし。」


 それで持ち上がるんだったら、あたしだってリーナちゃん持ち上げるわ。


「……まぁ、詳しいことはその内聞きましょうか。もう日も暮れてきましたし。そろそろ戻りますか。」


 キューブたちがワラワラと集まると、収穫した芋をひとまとめにして背中(?)に載せる。

 リリーを先頭に、キューブたちとあたし達が続く。夕日を背に奇妙な一行は「雄牛の角亭」へと歩くのであった。



 ちなみに夕飯は芋づくしだった。。

 美味しゅうございました。

INTERMISSION


...FINISHED

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