プロローグ1(1/4)
視点:ラシェル
あたしたちは一つ事件を片付けると、帰路についているはずだった。
今回はジェル曰く「ちょっと面倒な品」を運ぶだけの仕事だったらしい。
とはいうが、えらく厳重に梱包された箱をどこかの星で受け取って、それをポイと船内の巨大冷蔵庫に放り込んで、あとはワープで跳んだだけだ。
着いた星で荷物を渡すと、えらく驚かれたが理由は知らない。
時折ヒューイとカイルが姿を消したり、ジェルが口の端だけで笑ってたりと、微妙にいつも通りだったけど。
事件らしい事件も起きずに、と思ったら帰り道でショートワープしたところで、いきなり四方八方にビームを撃ち始めた。
いわゆる小惑星帯だったのだが、何個か小惑星を砕いたところで、おそらくは異業種の方々の宇宙船が降伏を表す航行灯を激しく点滅させて現れた。
異業種、というのはジェルの説明だと貴重な品を無料で仕入れて高く売りつけるという、いわゆる犯罪者ってことらしい。
ちなみにあたしたちは一応銀河連合警察(GUP)に所属するA級捜査官のチームである。
S級というのが基本的に存在しないので
一番上ってことになってる。惑星間にまたがる事件や、被害や状況が大規模になる凶悪犯罪の解決をするわけだ。
あ、うん。
そんな感じがしないのは自分でも重々承知している。
そろそろ自己紹介しておくかな。
あたしはラシェル=ピュティア。十八歳。花の女子大生。副業として、銀河連合警察のA級捜査補佐官をやっている。
どうしてあたしがそんなことやってるかは、まぁ色々ありました、としか言いようがない。ざっくり話したところで三部作の映画になるほどのボリュームがあったりなかったり。
捜査補佐官、って何? と言われると、捜査官ほど大層なことができない、くらいでいいと思う。
「よし! 来たぜ!」
穏便な方法(ビームとかミサイル)で異業種交流に勤しみたい、物騒な大男がカイル=ミュラー。前列左側シートに座っている。身長二メートルを超える巨体と、その身体に相応しい怪力。拳と銃撃と砲撃が大好きという、敵だと恐ろしいが、味方だと鬱陶しいことこの上ない。
「降伏している相手を撃つと面倒だぞ。」
カイルの隣のシートにいるのがヒューイ=ストリング。絵に描いたようなハンサムだが、パイロットと射撃と格闘の技術は超一流らしい。この二人が正式なA級捜査官だったりする。
「口封じもかねて全滅させるか。」
最もデンジャラスなことをほざくのが、カイルの後ろ、あたしの前に座っているジェラード=ミルビット。あたしはジェルって呼んでるが。
自称宇宙一の科学者。残念ながらそんなに誇大広告じゃないのが困りものだ。今乗ってる宇宙船から摩訶不思議な兵器や発明品を散々作っている。
普段から眼鏡と白衣をトレードマークにしている変態だが…… まぁ、イザってときは、ねぇ…… なのよ。
「そういうことは良くないと思います。」
控えめに良識的なことを言ったのが、アイリーナ=コーシャルダン。通称リーナちゃん。このチームの唯一無二の良心だ。麦わら色の髪と瞳を持つ、超絶美少女だ。色々訳ありだが、家事万能の心優しい少女だ。
あたしとジェルとリーナちゃんがA級捜査補佐官になる。ジェルはともかく、あたしとリーナちゃんは非戦闘員なわけで……
「ニャー。」
あ、そうそう。あたしの隣、リーナちゃんの後ろの席にいるのが、黒猫のスコッチ。
チームのマスコットだ。
そんなわけで、あたしたちチーム・グリフォンは高速戦艦シルバーグリフォン号をで宇宙を駆け、凶悪な犯罪者たちと戦っているわけだ。
ま、今回はその悪党退治も終わりを告げようとしている。
もう今回はさすがに何もないよね?
本編に入ってからは、基本的にラシェルに一人称となります。
が、結構視点はスキップ予定。




