深夜のお茶会をしよう
最近、タイトル詐欺になっているんじゃないかと不安感。
ま、いいか。
ジェルが出てってしばし。
遠くの方から爆発音じゃないけど、破壊音というか、何かが吹っ飛ぶような音がわずかに聞こえた。
「……終わったかな?」
「今の音、ジェラードさん?」
「そうね。そろそろ帰ってくるわね。」
アイラと二人、深夜のガールズトーク中だ。
リーナちゃんがいつの間にかに作ってあったクッキーを発見したので、それをつまみながらお茶している。
夜のお菓子はいけないのは分かってるが、お茶だけというのも味気ない。
あの物音がした時までは、この世界のファッションとか流行とか、そういう女の子っぽい話をしていた。そして冒頭に戻る。
「ねぇ、ラシェルとジェラードさんってどんな関係なの?」
いきなり話題が変わった。そりゃ、これも女の子っぽい、といえばぽいけど。
いつかは来るかと思ったけど、ジェルとの関係かぁ。一言じゃ難しいよね。建前上はチーム・グリフォンの仲間、なんだろう。当然彼氏彼女の仲、ってことではないし、友達って言葉も違うような気がする。
強いて名前を付けるとしたら……
「相棒、かな?」
あってるかどうか分からないけどね。
「ふ~ん…… 恋人だ、って言っておけば良かったのに。」
「なんかね、そういうのとも違うのよね。」
ホントに一口じゃ説明できない。
本当に助けてほしい時に颯爽と現れてくれる関係、って何だろうね?
「でもなんか羨ましいなぁ。そばにいてくれる人がいるなんて。」
そう、かなぁ?
ジェルとのことは考えてもいつも答えが出ないから、放っておいた方がいいのかもしれない。もし本当にそんな気になったら、その時考えればいいや。
それにしても、どこまで行ったか知らないが、リーナちゃんたちも遅いなぁ。
なんて思ってたら、ガチャリとドアが開いて、リーナちゃんとヒューイが入ってきた。
「ただいま戻りました。」
見た感じ、ケガとかそういう感じは一切無い。服装がなんかコンバットだけど、それを除けばデート帰りですか? って聞きたくなるような感じだ。
……あれ? デカいのは?
そんな目をしていたのか(どんな目か知らないが)、リーナちゃんが説明してくれそうになったが、慌てたようにヒューイが遮る。
「あー カイルはな、途中でガイザックさんに会ったんで飲みに行ったぞ。」
リーナちゃんが「え、そうなんですか?」って顔しているから、近いんだけど正確には違うんだろうな。
「まぁ、お疲れさん。」
そしてジェルがさっきからいたような顔をして、一緒のテーブルについてるわけだ。が、さすがにお茶の用意までは出来なかったようで、ちょっとばかりの違和感がある。残念だったねぇ。
リーナちゃんもそれに気づいたのか、パタパタとキッチンに走って行って、追加のお茶を用意する。
さっきからお茶お茶言ってるけど、リーナちゃんがこちらのハーブを配合したハーブティだ。やっぱりというか、茶葉は高級品らしい。コーヒーもまだ見つかっていないので、飲むとしたら手持ちの分しかない。まぁ、ジェラードがコーヒー紅茶には無駄にうるさいので、シルバーグリフォンに戻れば結構な量があるっちゃある。とはいえ、年単位でこっちにいることになるなら、いつものペースで飲むわけにはいかない。
まぁ、リーナちゃんの作ったハーブティも十分美味しいんだけどね。
特に何をしてきた、って話もせずに、クッキーとハーブティで深夜のお茶会としゃれこむ。
カップが空いてもカイルは戻ってこなかったので、今晩はそこで解散となった。
まぁ、解散したところで、夜もジェルと一緒なのは昨日と一緒なのだが。あれ? もしかして日付変わった?
そうそう、ジェル曰く、この世界の一日はあたしたちの言うところの銀河標準時でほぼ二十四時間だそうなので、こまめに時計をアジャストして対応するそうだ。
またジェルに背中を向けてパジャマに着替え、半分忘れてたが、カラーコンタクトを外す。ジェルは昨日と同じネタをする気はなかったが、新しいネタが思いつかなかったらしく、何も言わずにちょいちょいとあたしを手招きする。
ポスンとベッドのジェルの隣に腰かける。
「失礼しますよ。」
ジェルの顔が近づいてきて、左手があたしの頬に触れる。
「さぁ……」
と、ジェルの指があたしの右目を見開かせる。
「ふむ。コンタクトしていたことの悪影響はなさそうですね。右目の色も相変わらずのようで。」
ということは、ルビィは元気ってことでいいのかな? まぁ、一日二日でどうにかならないといいんだけど。
声が幼い感じだったから、夜はさっさと寝てるのかも知れない。あ~ でも夢の中に出てきたっけ。その辺どうなんだろ? 覚えてたら聞いてみよう。
「ちなみに自己申告で身体に不調は?」
「ない。眠いくらい。」
「そりゃ結構。じゃあ、寝ましょう。」
診察道具をさっさとしまうと、ジェルがベッドに潜り込む。その横に入りそっとジェルに抱き着く。
「消灯。」
ジェルが呟くと、部屋の灯りが消える。って、いつの間にかに照明がパネルライトに変わってる! 昨日は使い捨てのケミカルライトだったような気がしたが。まぁ、便利でいいわね。
「ねぇ、なんか話しをして。」
「そうですねぇ。ではこれからの予定でも話しますか。自分の考えの整理にもなりますし。」
「うん。」
「だいたいの増改築は終わりました。アイラさんの新しい私室も作ったんで、引っ越ししてもらいましょう。」
ホント早いわね。たった一日でしょうに。
「大型の冷凍庫も完成したので、冒険者ギルドに預けてある牛肉も引き取ってきましょう。熟成はまだまだ必要でしょうけど。」
美味しいのかねぇ。あ、でも内臓料理は美味しかったわ。
「後はそうですねぇ。一通り改築が終わったら何をしましょうか。まだしばらくはシルバーグリフォンも動けないし。
あ、でも一度様子見に行きますか。」
ジェルの口調が少しずつ優しいものになり、あたしはどんどん眠りへと落ちていく。
「おや、もう眠ってしまいましたか?」
うん、もうちょっと。
「それでは良い夢を。ってそういえばルビィさんのことも少し調べないといけませんね。」
ああ、そうだね。それもしないと……
色々考えている内に、あたしの意識は眠りの中に落ちていった。
もうそろそろ、この賞も終わりそうです




