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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:衣食住を充実させよう

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野暮用2の続き

ん~ GWだからって少しは捗るかと思いましたが、残念。

30分ほど遅れていしまいました。申し訳ございません。

「なにぃ、失敗しただと! こんなチンピラにもできるような仕事もできんのか!」


 組織の顔役に怒鳴りつけられながら「彼女」は違うことを考えていた。


(危機感が足りない。

 何故失敗したか、ということに頭が回ってない。あの男の言う通りかもな。)


 この組織は長くないのだろう。

 さらに「あの男」の言ったことが正しければ……


「た、大変だ!」


 耳を押さえた男が二人のいる建物に入ってくる。組織の性質上、何もかも秘匿すべきで、今の男のように大声を出しながら戻ってくるなんて愚かの極みだ。


「今度は何事だ!」


 ありえないことが続いて起きて、顔役の男も冷静でいられなくなったようだ。逆に言えば、この程度で取り乱す程度だ、ということだ。


「畑に行った奴らが全滅した。おそらく全員捕縛された。俺は遠くから見ていただけだったが……」


 入ってきた男が、耳から剥がすように手を外す。耳から流れた血を押さえていたのか、手のひらが真っ赤に染まっていた。それでも一応は止まったのか、それ以上の出血はなさそうだ。


「俺は遠くで見ていただけだが、光を消されて、暗闇の中叩きのめされたようだ。

 人数はたぶん四人。一人は後で合流していたから実際は三人だ。」

「その耳はどうした?」


 聞かれて、男がその時のことを思い出したのか、わずかに身震いする。


「俺はずっと遠くから見ていただけだった。気配も消していた。しかも一度も動いていない。見つかるはずが無かったんだ。」

「あ、ああ……」


 男の顔が恐ろしいものを見たかのように変わって身体が震えだす。


「何か飛び道具が俺の耳を射抜いた。弓じゃないし魔力も感じられなかった。

 気配も何もなく、いきなり痛みが走った。今でも何をされたのか今でも分からん。」


 心が折られかけているようだ。


「お前ほどの奴がか……?」


 さすがに顔役も相手が生半可な相手じゃないことに薄々勘づき始めてきた。


「なんだ? ただの宿屋と農家の小娘だぞ。一体誰が…… いや待て、」


 ふと先日の出来事を思い出す。


「昨日、ロックバッファローを狩った奴らがいたな。もしかしてそいつらか……?」

「ご明察、ってほど立派な推理でもないですがね。」


 いきなり四人目の声が聞こえてきた。



 白い服を着た男がドアを開けて建物に入ってきた。顔役の男が他の二人を交互に責めるような目で見る。


「ああ、どちらかをけてきた訳じゃないのですよ。それはすぐに断念しました。

 まぁズルをしたのは認めますがね。」


「彼女」以外の二人が、白衣の男――ジェラードから微妙に距離をとる。彼女はこの時点で抵抗しても無駄なことを察していた。


「こちらからの希望は一つ。依頼者を教えてほしいのですがね。」

「お、お前、何のつもりだ。」


 顔役が凄んだところでジェラードは涼しい顔だ。


「はぁ。犯罪者相手でも一応は対話で解決しようという文明人らしい行動だったんですがねぇ。」


 尋問とか拷問とか面倒じゃないですか、と不思議そうな顔をする。


「お前、あいつらの仲間か……?」


 耳を血まみれにした男が恐る恐る聞いてきた。


「その質問に何の意味があるか不明ですな。仮にそうだったとして、この状況にどういう変化があることやら。」


 よくよく聞いていると、慇懃無礼というか、口調は丁寧なくせに妙に挑発的だ。それを理解している「彼女」と、理解できてない残り二人で明暗が分かれる。


(やれ。)


 顔役が目で合図すると、男が素早くジェルに飛びかか……ろうとした。

 白衣の裾が一瞬跳ねあがり、右手が軽く振られ、青白い光が見えたような気がした。「彼女」が見えたのはそこまでだった。

 バチッと聞いたことないような音が聞こえて、男がいきなりその場に崩れ落ちる。


「仕方がありません。B案で行きますか。」


 独り言のように呟くとジェラードは「彼女」を振り返った。


「敵対します?」


 無言で首を振ると、ジェラードがドアの方に手を差し伸べる。


「出口はそちらです。」


 顔役の目が、ぺこりと頭を下げて背中を見せた「彼女」と、倒れた男の間を交互に移動して、途方に暮れた顔をする。


「お、おい、こんなことをしてこの町にいられると思うなよ。」


 意地なのか、未知に対する恐怖を耐えるために饒舌になりながら、最後の強がりを見せる。


「今回はお前らの勝ちだ。だが、人は誰にでも弱みがある。女だとか家族だと……」


 そのよく動く舌がいきなり止まった。


「それ、言っちゃいますか。」


 ジェラードの声の温度が一気に下がる。


「やっぱり叩き潰さなきゃ平和は手には入れませんか。となると、私の心の平穏の為に痛い目に遭ってもらうしかないですね。

 それでは失礼。」


 舞台の演者が観客にするような優雅な一礼をすると、白衣をひるがえしながら、背中を向けてドアへと向かう。

 先にドアを開けて「彼女」に通るように促して、自分も外に出る。

 ちらりと振り返ると、いきなり立ち去る二人の姿を呆然と見送る顔役の姿が見えた。


「それでは良い夜を。」


 バタン、とドアが閉まった。



「くそっ、くそっ、くそぉっ!!」


 一人残された顔役が苛立ったように床を蹴る。倒れている男は身動き一つしてないが、死んでるかどうか確かめる気も起きない。

 まだ確認はしてないが、畑に向かった手下が全滅したとなると、ほとんどの手駒を失ったことになる。


「まずは知り合いに声をかけて、人数を集めてからだ。」


 どんな手段を使っても目にものを見せてやる。あの男の大事な物を目の前でぶっ壊してやる。

 そんな昏い復讐心を燃やしているところで、今更ながら何故あの男が何もしないで出ていったのか、というのが気になった。

 本当に何もしなかったのか? そんな疑問に自分なりの答えが見つける前に、部屋の中の空気が変わった。

 部屋の中にいきなり突風が吹いた。下から突き上げるような風が吹きあがる。その現象の正体が分かる前に、急激な気圧の変化が脆弱な人間の意識を刈り取っていた。



 深夜。

 町の一角にある一軒の平凡な家と思われる建物が、いきなり真上に吹き飛んだ。そのまま落下すると、その衝撃で建物は瓦礫の山と化した。

 翌朝、冒険者ギルトの職員と町の警備兵が瓦礫の下から二人の男を救出した。その建物からは色々な犯罪の証拠が見つかり、この二人が関係しているして、捕縛されることとなる。

 建物が真上に吹き飛んだ、というのはある酔っぱらいの証言だったので、どこまで本当のことかは誰も分からなかった。

 真実を知っているのは約二名だけである。

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