野暮用に出かけよう
大体、1日2~3時間で1000文字程度。
もう少しコンスタントに書けるようにならないとなぁ。
お風呂入った。ちょー気持ちよかった。うん、泳いじゃいないけど。
と、思ったら、なんかヒューイとカイルが出かける準備をしている。夜だからか、黒っぽい戦闘服を身に着けて、大ぶりのコンバットナイフの具合を確かめたり、銃に消音機を装着している。
「お待たせしました。」
リーナちゃんも同じような色の戦闘服に、小さめのトランクを手に降りてきた。
「……どこ行くの?」
アイラとリリーが聞きたそうな顔をしていたので、あたしが代わりに尋ねる。
「野暮用かな?」
「ちょいと楽しい野暮用さ。」
「えっと、その…… 野暮用だそうです。」
三者三様、全く役に立たない返答だ。まぁ、隠密行動っぽいし、カチコミとかそういうわけじゃ無さそうだ。
リーナちゃんも行くのか、と思ったけど、ヒューイが出かけてリーナちゃんがお留守番したところで、先に一人で寝るのは色々嫌だったのかな?
「まぁ、程々にな。」
ジェルの薬にも毒にもならない言葉を受けて、三人は夜の町へ出ていった。当然外は真っ暗だ。ネオンサインとか二十四時間開いている店なんてない。まぁ、遅くまでやってる酒場の店頭にわずかな灯りと、酔っぱらいの喧騒が遠く聞こえるくらいだ。
ジェルはまだ寝る気がないのか、テーブルについてヴァーチャルキーボードをポチポチ叩いている。
それにあたし達も何をするでもなく付き合っているような感じになってるが、約一名――リリーがフラフラと頭を回し始めた。
「数日食べてなかったところをたらふく食べて、お風呂も入って…… そりゃ力尽きるでしょうに。」
やれやれ、と立ち上がるジェル。
「良かったら……」
「あ、いやいやいやいや、さすがにあたしが連れていきます。」
起こすのも忍びないけど、寝てる間に男に運ばせるのも本人に悪いと思ったのか、アイラが抱きかかえていこうとするが、さすがに一人じゃ無理そうだ。
「いや、キューブに運ばせようか、と。」
ジェルが部屋の角に目を向けると、積んであった箱型汎用作業機械が十台ほど近づいてきて、椅子状に組み合わさる。
「…………」
微妙に釈然としない顔のアイラとあたしの二人がかりで、リリーを椅子に乗せると、椅子がリリーを乗せて自走しだしたところで不意に止まる。
背もたれ部分のキューブの表面が開いて、小さなサインボードみたいのを出した。
『?』
ああ、そうか。
「どこ運べばいいの、って。」
「ああ、あたしの部屋に。」
ジェルがまたテーブルに座りなおしたので、何となく流れでついていくことに。
無限軌道で動いてるが、わずかな作動音だけで静かなものだ。揺れもほとんどないので、リリーは目覚める気配もない。ぼんやりと光る椅子と一緒に台所を抜け、食糧庫の前を……
「あれ?」
アイラが立ち止まった。
「ドアが増えてる……?」
『→』
キューブのサインボードが真実の扉を指し示した。ってそこまで大層なことじゃないが。
「あれ、こっちに廊下……?」
どれだけ改築したんだよ。
元々の住人が混乱してるじゃないか。
「しかも壁がなんか綺麗になってる……」
あ~ なるほど。表面を薄く削った上に保護用のコーティングを塗ったのか。
紆余曲折しながら、アイラの部屋の前に到着。結構バタバタしてたつもりだったが、リリーはガッチリ夢の中だった。
さすがに許可なく私室を改築することは無かったか、まだここまで魔の手が進んでなかったのか、アイラの部屋はまだ手つかずだった。
部屋の中には小さなベッドと、小さなチェストと小さな机くらいしかなかった。物が無い、というか殺風景と言うか……
しかもベッドも客室にあるものよりもえらく小さかった。小柄とはいえ、女の子二人で寝るのもキツそうだが……
「キューブ、今晩だけでいいから、一部ベッドになれる?」
『○』
あれよあれよと言う間に、椅子からベッド状に平たくなり、プレートが伸びたりポールが伸びたりと複雑な変形をして、半分くらいがアイラの部屋のベッドと同じ高さくらいになる。残りの半分が出ていくのと入れ替わりで別のキューブがシーツや毛布を持ってくる。
リリーを転がすように本来のベッドのあたりまで移動させて、キューブの部分にシーツを敷いてから毛布を掛けた。
「良く寝てるわ。」
「それはそれは。」
ジェルは相変わらずテーブルにいて、画面を空中に浮かべている。
「私は夜更かし大好きなので、お嬢さんたちは先にお休みください。」
「う、うん……」
この「雄牛の角亭」の店主としては一応「客」を店内に残して寝るのもいかがなものか、なんだろうけど。
「寝よ寝よ。
夜更かしはピチピチお肌の大敵! さぁさぁ明日も早いし、とっとと寝るわよ。」
「え? ええっ?!」
アイラの背中を押すようにして、どんどん奥へ押し込んでいく。また魔増築した辺りで迷いそうになるが、こっちをチラチラ振り返りながらも自分の部屋に入るアイラを手を振って見送る。
さぁ、あたしも寝よ~、という必要かどうか怪しい演技をしてから、また店内に戻る。
「来た?」
「何がですかね?」
「っていうか、来るの?」
「来ないに越したことはないですが、来るでしょうな。現にこちらが寝静まるのを見張っておりますし。」
ジェルがあっさりと恐ろしいことを言う。
「大声さえ出さなければ、サウンドキャンセラーで音は外に漏れません。
……ふむ、セクハラしてみますか。」
「やめい。」
こちらをチラとも振り向かずに、画面を見つめるジェル。
「まぁ、カイルの予想通り、こちらにはせいぜい嫌がらせですから…… 放火とかそれくらいですかね?」
「ホントに?」
ひょい、とアイラが顔を出した。
「ラシェル…… 下手くそですな。」
「いや、下手とかそれ以前の問題じゃない?」
一応は力説しておく。
「ふふふ、ならばどちらが上手か勝負と行きましょうか。」
「望むところ……!」
「「さぁ、寝てください!」」
息の合った動きで促すが、さすがにアイラもジト目でこちらを見てくる。
「寝てられないでしょうが!
……で、本当に来てるの?」
「さぁ、何のことやら。何を仰ってるの分かりませんなぁ。」
「ちょっとぉ!!」
胡散臭い口調のジェルにアイラが大声を出す。
((しーっ!))
あたしとジェルで人差し指を唇に当てて「静かに」のポーズをする。
「あ、あの、その、ごめん。」
いや、これはどちらかというと、あたし達が悪いんだが。と、ジェルが他の人には分かりづらいが、ぴくっと何かに反応した。
「まぁ、仕方がありません。
お二人はそこで座って待っててください。」
ジェルがさっきまで見ていた画面を大きくして、枚数を増やして並べなおす。
「映像はそこに出しておきますので、くれぐれも外に出ないように。」
すっと音もなく立ち上がり、入り口に向かう。
「私も少々野暮用です。」
次回はちょっと戦闘シーン、入るかな?




