表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSION:衣食住を充実させよう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/620

冷静に話をしよう

いちおー暴力表現があります

「何を仰っているのか、全くわかりませんな。とはいえ、人を悪しざまに言われるのは感心いたしませんね。」

「大丈夫です。もう商人としては終わりですから。まぁ、わざわざ解説するのも馬鹿らしいのですがね。」


 ジェルの攻撃的な言葉に、商人の顔が怒りで赤くなる。


「ですから、何のことだと!」


 またもジェルが無視して後ろを振り返る。


「リリーさん。ちなみにこの『大根』はなぜ育ててるんですか?」

「うちは、お母さんが早くに亡くなって、お父さんと一緒に育ててたんだけど、去年お父さんが事故で……」


 うつむくリリーの肩をアイラが優しく抱いて慰める。


「そうですとも! わたくしは父親を亡くされたリリーさんがどうにか畑を続けていけるよう取引を続けてたのですが、まだ父親ほどの『大根』はまだ……」

「だから、採算度外視で引き取ってる、と。それは素晴らしい。

 まぁいいや。ボロも出したようですし。」

「……ボロ、ですと?」


 虚を突かれた商人に、ジェルが心底悪い顔をする。


「お前さんの嘘は、この『大根』のことを知らないことが前提です。それなのに、父親のことと、父親ほどの『大根』と言った時点で、知らないはずがない。」

「そ、それは……」


 形勢不利を感じたのか、左右の護衛にちらりと目を向ける。護衛が小さく頷いたように見えた。


「小娘しかいないから誤魔化せると思いましたか? バレたとしても力づくでどうにかなると思いましたか?」


 ジェルが一歩前に出ると、その雰囲気に押され商人たちが後ずさる。


「や、やっちまえ!」


 好青年な商人の仮面を脱ぎ捨てて、護衛に命令する。


「女は殺すなよ。よく見たら上玉揃いじゃねぇか。」

「お、褒められてますよ。」

「「「嬉しくない!」」」


 緊迫感のないジェルの感想に、見事に三人の声がハモった。

 ……あれ? そういえばこういう状況になったのに、なんでカイルが出てこない?

 というか、こいつらカイルがいたのにあんなに強気だったの?

 と、ふと気になって後ろを見たら、あのデカいのがいない。あれ? どこ行った?


「か弱いのを相手させんなよ。」


 不満げな声が馬車の方から聞こえてきた。いつの間に回り込んだのかは知らないが、カイルが護衛二人の首根っこを掴んで持ち上げていた。

 悲鳴の一つも聞こえなかったが、どうやら首を直接掴んで気絶させたらしい。つまらなそうに後ろに放り投げると、人ではありえない飛距離を記録して、畑で何度かバウンドして止まる。もう一回腕を振り回すと、フライ&バウンドがリプレイされた。ピクピクしているところを見ると、死んではいないらしい。まぁ立ち上がったら立ち上がったでもっと酷い目に遭うだけなんだろうけど。


「な、な、な、な、な!」

「リリーさん。あなたが育てていたのは、サトウダイコンと呼ばれる砂糖の材料です。

 こいつはそれを買い叩いて、砂糖を密造し高値で売ってたのですよ。」

「え……」

「サトウダイコンは砂糖の材料としては珍しく、寒冷地で採れる作物です。お父様には先見の明があったのかもしれませんね。この地方の砂糖の価格を下げることも可能でしょう。」


 ジェルが無造作に商人に近づくと、ポケットに手を入れたままで足払いをかけ、尻もちをつかせる。


(…………)


 顔を近づけて、こちらには聞こえないような声で呟くと、商人が一瞬で青ざめる。


「やっぱりそうでしたか……」


 感情を感じさせない目で、ゆらり立ち上がると、興味を持つのもくだらない、と言わんばかりに吐き捨てる。


「逃げたければどうぞ。もう面倒くさい。」

「お、覚えてろよ!」


 陳腐ちんぷな捨て台詞を残して、ヨタヨタと商人が立ち上がり、一目散に逃げていく。


「今一つだったなぁ……」


 カイルはもう終わったとばかりに、さっきのゴミ二つを拾いに行く。


「あれ、いいの?」


 小さくなる人影を指さすと、カイルが馬車にゴミを放り込みながら爽やかに笑う。


「なぁラシェルよぉ、あのジェラードがそんな面白くないことをする奴か?」


 あ……


 ジェルを振り返ると、左腕に着けているコンピュータのボタンを押すところだった。


「ブレイク。」


 遥か遠くで、逃げ出した背中がいきなりエビぞりになって飛び跳ねた。そしてちょっとヤバい角度で落下する。

 あの感じは雷撃弾サンダーってとこか。さっき近づいた一瞬で、ポケットかどこかに放り込んだのを、遠隔で破裂させたんだ。

 アレはジェルのよく使う不思議道具の一つだ。ドロップくらいの大きさと色のかたまりで、ジェルの腕のコンピュータからの信号で爆発する。色によって熱風とか暴風とか超音波を周囲にばらまくシロモノだ。威力もかなりなんだけど、いつの間に仕掛けたのか分からないトラップ感が半端ない。


「カイル…… すまん。」

「そんなこったろうと思ったけどよ。」


 元々これが仕事だしなぁ、とボヤぼやきながら、三個目のゴミを拾いに行く。足持って引きずってきてるけど、地面は畑だからそこまで痛くないよね?

 戻ってきたカイルが馬車の手綱を引いて、反対方向を向かせる。どこでそんな技覚えたんだ? そのままひらりと御者台に乗り、こちらを振り返る。


「どうしたらいい?」

「う~ん、行政が分からんからなぁ。

 よし、いきなり斬りかかられましたー って、アイパッチのおっさんとこ持ってけ。」


 ちなみにガイザックさんね。分かりやすくていいけど。


「あと、これな。」


 と、ポケットから小さな機械をカイルに放り投げる。ハンディタイプのプロジェクターだ。さっきのやり取りを全部録画してたんだろう。二、三言、打ち合わせをすると、カイルが手綱を握った。


「戻ったら旨いメシ頼むなー」


 ガラガラと馬車が町中に向かっていった。

蛇足ですが、町の外に畑があってロックバッファローはどうなるんだぁ!! とお思いの方、ロックバファローは硬い物に頭突きをする習性はありますが、その他はただ直進するだけなので、喰い散らかされるよりはマシ、という考えです。ほかの普通に畑の作物を荒らす動物に関しては柵などで防護しています。


あと、前回くらいの話で1年に5回収穫しているようなリリー嬢の発言がありましたが、この世界では「何故か」作物の成育が早かったりします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ