夢を見よう
(あ、やっと繋がったの!)
……はい?
たぶん夢の中だと思うんだけど、夢にしては随分ハッキリしている、ような気がする。
(あの変な船の中にいたからなのね。やっと見つかったの!)
え~と、誰?
あたしと同じか、少し幼い感じの女の子の声。どこかで聞いたことあるような……
(あなた達のおかげで助かったの。本当に感謝しているの。)
助かった…… あれ、もしかして?
「あの時聞いた声?」
そうだ。シルバーグリフォンの中で聞いた声。あれがきっかけで、チーム・グリフォンは異世界に来てしまったのだ。
(喚んじゃったの…… 迷惑だったよね?)
不意に「声」のトーンが低くなる。
おそらくだけど、声の主がなんか魔法的な方法で、シルバーグリフォンごとあたしたちをワープさせたんだろう。
そしてすぐに戻れないってことは…… 座標か! 現在地が特定出来ないから、ワープのしようがないのか。
……そもそも、異世界ってどこだ?
「ああ、うん、色々ビックリしてる、と思う。」
(ビックリ?)
よくよく考えると「危険」じゃ全然なかったんだよね。
とりあえずシルバーグリフォンの中にいれば生活には困らなかったし、降りてからも歩かされただけだし、町に入っても何もなかったし…… 牛? ああ、いたね。
一応はほら、未開の惑星とか行ったときに巨大生物や、それこそ巨大兵器に襲われたこともあったりなかったり、なのよ。
そう考えると凄い人生送ってるわ、あたし。
(うわぁ……)
そのリアクションは傷つくー じゃなくて、
「ところで誰?」
(え? わたし?)
そりゃそうだ。ここに新たな第三者がいたらそれこそビックリだよ。
(それもそうなの。
わたしはルビィ、って呼んで欲しいの。)
ルビィ、ね。あたしはラシェル、って喋ってないけど、なんか話が通じてる?
(そうなの。ルビィとラシェルは心が繋がってるの!)
えっと、どういうことでしょう?
なんか急に敬語になっちゃう。
(えっとね、ルビィはね、今消えちゃいそうなの!)
おい。
ここはツッコもう。で、全然話が繋がらないんだけど、どういうこと?
(えっとねぇ……)
なんかよく分からない専門用語的な物が多くて、質問しながらになったんだけど、何となくわかった、と思う。
曰く、あたし達が異世界に来たのはルビィの「召喚魔法」のせいらしい。ちなみに「召喚」というのは色々遠いところから、自分の味方になるかもしれないモンスターとかを対価を支払って呼び出すものらしい。あ~ なんかゲームとかで聞いたことがあるような気がする。
で、ルビイの召喚魔法の対価というのが自分の「存在」らしい。すでに肉体が消滅寸前で、心というか精神も風前の灯火、って、凄い大事のような気がするんだけど、本人はなんか軽いのよね。
(あ、でもラシェルと繋がってると、力を分けてもらえるから、もう少し頑張れるの。)
……いや、それ凄い悲壮感があるんだけど。
力を分けて、ってそれでどうにかなるなら協力したい。
「うん、ありがとうなの!
いつか夢の中じゃなくて会いたいの!」
うん、分かった。それまで…… 絶対消えないでね。
「うん! 約束なのぉ……」
少しずつルビィの声が遠くなる。夢が覚めるのかな……
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今日は色んなことがあった。
「奴ら」が来て、想像するのも恐ろしい目に遭うところだった。ドアといくつかのテーブルがお亡くなりになったが、それ以上にスッキリした。
ロックバッファローが町を襲ったが、まさかパンチ一発で止まるとは思わなかった。そして首をごきっ、ってだよ? もう信じられない!
そのあと、久しぶりにお店が楽しく賑わった。料理を作っても作っても足りないなんて初めてかも。
久しぶりのお客さん。お金にも困ってないし、長くいそうだし、楽しそうで素敵なお客さん。
ドアとテーブルを壊したから、ってわけじゃないけど、この店を色々改装するらしい。魔法じゃない魔法のような力を持ってるらしいので、どうなるんだろう、楽しみ。
明日が楽しみ。疲れて眠いけど、朝が来たらもっと楽しそうなことが起きそう。
早く朝が来ればいいのに。
INTERMISSION
...FINISHED




