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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSON:拠点を確保しよう

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寝よう

ベッドシーンがありますが、18禁じゃないです(笑)

 リーナちゃんは自己主張も少ないし、いつも控えめで、ジェルが散々せっついてやっと意見を言うようなだ。

 生まれがちょっと特殊で、公式年齢が17歳だが生活年齢が極端に短い。で、保護者がジェルなんだが、知識はともかく、情緒教育に不安ってことで、チーム・グリフォン全体で見守っているような感じだ。

 普通に「誰が好き?」って聞いたら「皆さん大好きです」って答えちゃうような娘だが、ヒューイのことはちょっと特別らしい。

 保護者としてどうなの? って聞いてみたら「変なのに捕まるのは、とは思うが、ヒューイだしなぁ」と消極的賛成らしい。


 ……ん~ もしかするともしかするのかもしれないけど、そうだとしたら、あたしにはリーナちゃんの気持ちが分かるし、なんかこー そういうわけ、か。

 ジェルが面倒くさそうにため息をついて、周囲の位置関係を目だけで確認する。


「とりあえずリーナ。とっとと寝なさい。」


 ヒューイから手を離させると、両肩を掴んで反対を向かせて背中を軽く押す。バランスを崩されたのか、つんのめる様に部屋に入らされる。


「ラシェル、」


 はいはい、と返事しようとして、どこかホッとしたようなヒューイの視線が一瞬こっちを向いた瞬間、


「ふんはっ!」


 予備動作なしに身を低くしたジェルが、ヒューイの死角に回り込みながら、背中から体当たりをした。あとで聞いたら鉄山靠てつざんこうって技らしい。どうでもいいが。

 何となくするんじゃないかな、と思ったあたしはともかく、全然予想外だったヒューイがリーナちゃんが入った部屋に突き飛ばされる。

 先に押されてたたらを踏んでたリーナちゃんに激突するようわけにもいかず、強靭な足腰でブレーキを掛けながら、抱き留めつつ回転して勢いを止める。


「「はい、おやすみー」」


 すかさず、あたしとジェルで二人分のトランクを部屋に放り込んで、ドアをバタンと閉める。

 こういう時に息がピッタリ合うのはいいことなのか悪いことなのか。


 …………


 …………


 さて、こうなると消去法で残るのは二人になる。


 カチャ。


「さぁ、どうぞ。」

「失礼いたします。」


 あたしが先に入って、ジェルが二人分のトランクを室内に持ち込む。


「…………」

「…………」


 さすがに間がもたない。


「え~と、さすがに着替えたいんで、見られると脱ぎづらいんですが。」


 身体に腕を巻き付けて「やん!」とばかりに片足を上げたポーズをとるジェル。ツッコミどころ満載だけど、ここはツッコんだら負けのパターンなので、背中を向ける。

 自分の分のトランクを開いて、パジャマを取り出す。ジェルがこちらに背中を向けているのを一応は確認して、服を脱ぎだす。

 あ、うん、凄い違和感あると思うけど、気にしないで。なんでまた異性の前で着替えするのか、とか、背中向けるだけでいいのか、とかあると思うけど…… これジェル以外じゃちょっと無理なのよね。別にジェルとそーゆー仲だってことはカケラもないんだけど。

 ジェルがその気になったら、何やったって覗きできるわけで。こういうシチュエーションで何もしない、というのは紳士的なのかヘタレなのか。あたしにも色々思うことがないので、これ以上は考えないようにする。

 着替え終わってポニーテールをほどいて振り返ると、パジャマ姿のジェル――さすがに寝る時まで白衣は着ないらしい――が振り返るところだった。

 よいしょ、とベッドに腰かけて、こちらに顔を向ける。


「来いよ、俺のすべてはベッドの中で教えてやる。」

「おいこら。」


 さすがにツッコもう。淡々とした声で何ほざくかなこいつは。

 ただ、別な意味でドキッとしたのは事実だ。


「ハッキリ指摘した方がいいです?」

「いい。」

「先に断っておきますが、私も慣れてないことをしているのはご理解ください。」

「それも、分かってる。」

「……さ、どうぞ。」


 ジェルがベッドに入ると、端の方に寄ってもう一人分のスペースを作る。あたしもよいしょ、とお邪魔する。

 ジェルの腕を枕のようにして、その胸元に縋りつく。……やっと震えるのを誤魔化さなくてもよくなった。

 不安で身体が震える。そりゃリーナちゃんだってヒューイから離れたくなくなるわ。別な世界に来てしまって、帰れないかもしれないなんて初めての経験だ。現時点でジェルがそう断定したんだから、それは間違いない。

 で、もしかしたら「こっち」に来た理由があたしが「聞いちゃった」からだとしたら。そして、それがみんなに知られたとしたら……

 頭の中を悪い考えがグルグル回る。自慢じゃないが、ジェルにこの世界で見捨てられたら生きていけない自信はある。となれば、あたしがジェルにとって「特別」になれば……


「今ド阿呆なこと、考えてるでしょ?」


 自分の身体を押し付けようとして、ジェルの言葉に冷や水をかけられる。……今あたし、誰に何をしようとした?

 ジェルの腕があたしの背中に回り、軽く抱きしめながら背中をポンポンと優しく叩いてくる。震えが収まった。


「この抱き心地だけで、三日くらいは面倒見る気になりますよ、」

「短いよ。」


 何でもお見通しだったか。ちっ。


「私はちゃんと帰る予定ですよ。最終的にはあっちとこっち、行き来できるようになりたいですな。」


 おお、それは凄い。


「まぁ、ラシェルがこっちでいい人を見つけて、骨を埋めるのもいいなぁ、と思ったなら置いていきますが。」


 いや、あたしはとりあえず帰るつもりだ。だって、


「ジェルの方がいいし……」


 うぇ?! 今何言った?!


「……え~と、とりあえず明日からは『雄牛の角亭』の改造です。我々が住みやすいようにあちこち直さねば。」


 まぁ確かに。アレとかアレとか欲しいし。


「先立つものも出来たようですし、アイラも我々を受け入れてくれたようですから……

 おや、もう寝ましたか?」


 あ、うん。さすがに今日は疲れた。どんどんジェルの声が遠くなる。


「でもやっぱり抱き心地がいいですねぇ。」


 なんですと! なんてツッコミを入れる余裕もなく、あたしの意識はゆっくりと夢の世界へ沈んでいった。

MISSION:拠点を確保しよう


...MISSION COMPLETE

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