凄い技術を見せちゃ……っていいの?
びみょーに説明回
町を囲む壁の上にさらに櫓を立てて、どうにかこうにか吊り下げた感じだ。頭の下あたりに大きく穴を掘っているので、地面に触れず宙ぶらりんだ。
「角にロープかけてくれ。」
無造作に近づいたジェルが、白衣の端を跳ね上げる。
お、斬った。
見慣れてるあたしたちならともかく、他の人たちじゃ見えなかったかも知れない。ジェルが白衣の裏にしまってるバトンを抜いて、目にもとまらぬ速さで巨大牛の首を斬ったのだ。
あー ちょっと説明になっちゃうが、今後よく使いそうだから先に言っておこう。
ジェルの白衣の腰のあたりにバトンが一本入っている。そのバトンはスタンブレード、って言うんだけど、普段は20センチほどのプラスチックぽい棒状の物。スイッチを入れると、薄いシールドに電撃を封じ込めたものがバトンの片方から出て1mくらいの長さになる。そんで、てきとーに切りつけると、シールドが破れて、切った相手に容赦ない電撃が襲いかかる。威力は黒焦げからビックリ程度まで調整できるけど、普段は感電させて身動きできなくさせる程度かな? 電子機器を壊したりするにも使えるので重宝している。
で、モードを切り替えると、破壊不可能なシールドをごくごく薄く展開させて、何でも切れちゃうバリアブレードになる。
長さも形状も調整可能で、大きく展開すると身を守るのにも使えるけど、とりあえずホントになんでも切れちゃう。特殊合金製の宇宙船も切ってたんで間違いない。
欠陥はあるっちゃあるんだけど、たぶんこの世界じゃ関係なさそうだし、スタンブレードだけがジェルの切り札じゃないので、どうでもいいかも。
一応、認証みたいのがあるのか、ジェル以外にはあたしかリーナちゃんしか使えないから盗まれても安心、らしい。
まぁ、そんなハイパーテクノロジーな(ちなみにあたしたちの世界でもね)もんをそんなに見せてもいいのかなぁ。ちょっと不安。
まぁ、でもあたしが考えることじゃないか。
そんなわけで、ジェルがちょいと手を振っただけで巨大牛の首がポロリと落ちる。ロープをかけてあったから、穴の底まで落ちてくということはないが、いきなりだったんで引きづりこまれそうになる。まぁ、頭だけでも結構重そうだし。
で、首を切ったからそこから血がドバっとでるわけで。さすがに直視はできない。そりゃ結構な血腥い場面にであったことはあるわよ。でも全然慣れないし、大抵はジェルが庇ってくれてるわけで。
掘った穴に血が流れ込む。
このまま見てなきゃダメ?
正直、巨大牛の解体ショーなんて見続ける趣味はない。
と、思ってたら、アイパッチのおっさんと話してたジェルが戻ってくる。
ヒューイとリーナちゃんにアイコンタクトを飛ばし、カイルに通信を飛ばし、アイラを手招きして「雄牛の角亭」に向かって歩き出す。戻っていい、ってことらしい。
まぁ、分かってはいるが、一言欲しいなぁ、もう。
くっ…… 時の流れとはなんと残酷なことよ……!




