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異世界行ってもチーム・グリフォン!  作者: 財油 雷矢
MISSON:拠点を確保しよう

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背中を見つめよう

視点:アイラ

 あたしは迫りくる土煙を呆然と眺めていた。

 よりにもよって土壁に大穴が空いているところにまっしぐらだ。

 木の板で塞いではいたが、あんな化け物相手では何にもならないだろうし、外に出るために外されている。

 しかも外に出た人たちも次々と戻ってきて、町の人を避難させるために走り回っている。


「食いでがありそうだな。」

「……食えるのか?」

「見かけは牛さんのようですが。」


 緊迫感のない会話が前から聞こえてきた。


「お、おい! あいつを止めろ!」


 周りからそんな声が聞こえてくるが、皆自分のことで精一杯だし、自ら災害に突っ込む気もない。

 でもあたしには逃げる場所なんかない。半ば諦めたあたしは前に進む。


「あ、アイラさん。」


 気づいた女の子――リーナが振り返る。ふんわりを笑顔を浮かべる彼女に、言葉が詰まる。隣に立ってるヒューイってハンサムと並ぶと、なんか絵になってるというか。


 そうじゃなくて。


 それとは別に、迫る砂煙に何物も恐れぬようにドシドシと歩いていく大男。

 いつの間に壁を越えていったのか、まるで散歩に行くような気楽さで。それこそ、武器も鎧も身に着けないであんな魔獣に立ち向かう気なのか。

 勇気でも蛮勇でもない。単なる愚か者だ。

 でも、そんな大きな背中から目が離せない。

 もしかして、何かしてくれるのかも。

 あたしにそんな「希望」を感じさせてくれた。



 さっき、あの光景は一生忘れないだろう、って思ったけど、次からの光景は一生どころか、子々孫々引き継いでいくかもしれない。

 大男――カイルさんは迫るロックバッファローの真正面に立つと、いきなり腕を前に突き出した。


「フォームアップ!」


 魔法を発動させる動作なのだろうか、不思議な掛け声とともに、突き出した腕を引っ込めて、自分の両手首同士を叩きつけるような動作をする。

 さらに両腕を左右に広げた瞬間、カイルさんを中心に眩しい光が爆発した。光の方から強い風が吹きつけ、土煙が巻き上がる。もしもあのそばにいたら吹き飛ばされるのかも知れない。


「キャプテン、」


 光の方からまだ声が聞こえてくる。

 いきなりの光と風に、逃げ惑う人たちも何事が起きたかと視線を向ける。


「ボンバーっ!!」


 怒号のような声に、巨大な岩をぶつけ合ったような音が鳴り響く。

 光と風が収まり、土煙がゆっくりと晴れてきた。あそこでは今何が起きているのか。

 見えた。

 そしてそこには想像を絶する光景が展開していた。



 それは巨大な鎧。

 暗い赤色をした金属の人型であった。

 右手を握りしめ、力の限り前に突き出していた。鋼のような拳の先にはその鎧よりも遥かに大きいロックバッファロー。その脳天を捉えていた。

 つまりは、あの光と風でロックバッファローをわずかでも怯ませ、その間にあの鎧を装着し、頭を殴りつけたらしい。

 突進力を完全に止められなかったらしく、地面には重いものを引きずったような跡が二本、その足の先に伸びていた。

 その赤い背中は町を覆う壁のすぐ前まで押し込まれていた。


『よっしゃ、力試しだぜ!』


 鎧の中から、カイルさんの声が聞こえてくる。

 一度拳を下げると、両手でロックバッファローの角をガッシリと掴み、力をめ始めた。ジワリジワリと足が進み、魔獣の巨体が少しずつ後ずさっていく。


 ブモォォォォォォォッ!


 足を止められたことと、自分が押し返されていることに気づいたロックバッファローが怒りの咆哮を上げる。四肢に力を込めて鎧を跳ね飛ばそうとするが、それを上回る力にピクリとも動けない。


 ブ、ブモォォ……


 魔獣にとってはありえないことが起きて、怯えるような声が漏れる。


「おーい、とっととしないなら、こっちで片付けるぞー。」


 いつの間にかにギャラリーが増えた。それでも最前列にいるのは、あたしと店にやってきた四人だ。全員がカイルさんが魔獣を倒すのと当然の顔で見ている。この町の人たちの誰もが敵わないと思った魔獣にだ。

 面倒くさそうに白い服のポケットに手を突っ込んだジェラードさんがそんなことを言う。それにカイルさんの慌てた声が返ってくる。


『ま、待て。ちゃんとやるからよ!』


 そう言うと、魔獣の首が少しずつ傾いてくる。ロックバッファローの足を止めながら、首を捩じっているようだ。


 ブモッ、ブモッ!


 命の危険を感じたロックバッファローが必死で耐えようとしているが、首は少しずつ横になっていく。

 ついに耐えられないと察した魔獣が跳んで、いや跳ばされて身体を横倒しにしようとした。


『よっしゃぁ!』


 そのタイミングに合わせて、カイルさんは魔獣に足払いをかけながら、思いっきり首を逆側に回した。

 ゴキリ、って音がしたかどうかは分からないが、さすがに首が反対向きになったら生きちゃいないだろう。少しの間、足がピクピクしていたが、すぐに動かなくなる。

 次の瞬間、背後で歓声が爆発した。

本編未登場のカイルの強化装甲服です。キャプテンボンバーって名前なのは純粋にジェラードの趣味です。

本編世界でもパワーアシスト付きの装甲服は普通にありますが、ジェラード作なのでそんなのと比べるなんてもったいない! くらいの性能です。「こちら」では比較対象がありませんが。


今回は武装なしでしたが、フル装備なんかした日には…… いや、これはいずれお話ししましょう(謎)

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