町に迫る脅威
視点:三人称
遥か向こうから土煙が見える。
それは徐々に近づいてきているが、通常見られるロックバッファローの倍近くの大きさがあるように見えた。
一般的なサイズのロックバッファローでも、一対一で倒せるような相手ではない。魔獣を倒すことに慣れている冒険者と言われる人たちが十分に武装して五人以上。さらに飛び道具や罠、魔法を駆使してどうにか倒せる強さと言われている。
巨大な角を持ち、その角による頭突きが最大の武器で、それを鍛えるために大きな木や岩に突進する、という習性がある。
いつのころからか、このハンブロンの町にロックバッファローが時折訪れるようになった。大抵は町の外で撃退されるが、何度も頭突きをされて土壁が何か所も崩壊していた。
まだ町の中に入られてはいないが、もし侵入されてしまったら被害は甚大であろう。
「なんだあのデカいのは……」
集められた冒険者の一人がそんなことを呟いた。今まで見たことのない大きさだ。確かに危険を冒すのが冒険者だ。だが、間違いなく敵わない相手に理由もなく立ち向かうほど愚かではない。
「撤退だ! 生きていれば町はいつでも復興できる!」
まとめ役をしていた男がそう叫んだ。最悪の場合は町を諦めなければならない悔しさが声ににじむ。
持っていた槍を地面に斜めに差し、少しでも突進を止めれるような努力をする。地面に穴を掘って隠れていた戦力も撤退させる。
あとはロックバッファローの気まぐれに賭けるしかない。
町の人たちも壁の崩れているところから様子を見ていたが、町の中に戻っていくのを見て、蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。
弓を構えたり、魔法を使うための杖を構える者もいるが、下手に攻撃を加えて激高したらどういう行動に出るのか、想像もできない。
「飛び道具を持たない者は住民の誘導を! 鉱山の中に一時避難だ!
アレに接近して一発当てようなんてバカなことは絶対考えんなよ!」
ハンブロンの町に最大の災害が訪れようとしていた。




