町に入ろう
見えてきた。
城砦ってほどは高くも硬くもなさそうだが、石や土で作られた壁が見える。が、あちこちにヒビが入っていたり、崩れているところがある。
なんかこう、ボロい。
「おーい、あんたらー」
人里について安堵していると、入り口付近から声がかけられた。こちらに来て初めての人だ。
パッと見、あたしたちと変わらない人間のようだ。服装は質素な無地の上下に、厚手の皮の上着というか……鎧ってこと? そして手には身長よりも長い棒、じゃなくて槍、かな?
……槍?
槍、かぁ……
とりあえず、ほんの数日前までは、人を見たら銃器を持っているかどうかを警戒していたが「ここ」はそれ以前の問題のようだ。
(金属反応、無いですな。)
ジェルがあたしたちだけに聞こえるような声で呟く。
「あんまり見かけない格好だが、どっから来たんだい?」
あれ? そういえば言葉も分かる。
「しばらく山を越えた方から来たんでね。うちの方は服装が全然違うんですな。」
ジェルがしれっと言葉を返す。
「ふ~ん……」
槍を持った門番らしき人が唸る。
「色々聞きたいこともあるが…… そっちの嬢ちゃん達の目が綺麗だからいいか。
よし、通っていいぞ。」
手をヒラヒラさせて、一歩引いて場所を空けてくれる。
「あ、身分証もないんだろ? どっかギルドで作ってもらった方がいい。
あと俺の名前はバモンだ。俺の顔で通したんだから、面倒起こさないでくれよ。」
面倒くさそうに言うが、ジェルを先頭にあたしたちが通ろうとすると、いきなりビシッと背筋を伸ばす。
「ようこそ、ハンブロンの町へ!」




