山を下りよう
〈外への道ができました。ドローンを射出して周囲の調査を行います。〉
山に埋もれて三日。
ネットワークにも繋がらないからテレビも見られないが、まぁ数日くらいならどうとでも過ごせる。ただ、こんなにシルバーグリフォン内で過ごしたこともないので、ちょっと暇を持て余していた。
そんな時のこの朗報である。
〈大気成分にも問題なし。植生等より冷帯から温帯に近い気候と考えられます。
テラフォーミングの形跡は無しですが、開拓の形跡があるので、人類種と思われる知的生命体がいると思われます。〉
「へぇ……」
大男がキラキラと少年のような目をする。
「旨いモンあるかな?」
知るか。
色々準備する暇はあったんだけど、その気になればいつでも戻れる、ということで、敢えて緊急時のサバイバル用持ち出しトランクを持っていくことにする、らしい。
各人のシートの下からトランクを引きずり出す。今まで一度も使ったことがないが、それぞれ中身が違うらしい。
……って結構重いかも。いいや、あとで誰かに持たせよう。
で、シルバーグリフォンの「あ、こんなところにあったんだ」みたいなハッチから外に出ると、通路ができていた。幅は頑張れば自動車が通れるくらいで、ゴツゴツとしているが、歩くのに問題ない程度に整地されている。
一列になって歩くが、ふと気になって振り返ってみると、シルバーグリフォンが完全に岩に埋まっていた。
抜けられるんだろうか。
下手したら年単位の工事が必要そうな気がする。
箱型汎用工作機械が照明をつけながら先導してくれるが、結構外まで距離がありそうだ。外の光がはるか遠くに見える。
それでも五分ほど歩いただろうか。
風が感じられる。
空気の匂いがなんか違う。なんかこう、すごい自然の匂いだ。
山の中腹だから、遠くまで風景が見える。眼下は山肌。山のふもとに平地があって、林の間を通るように道があって…… その先に村? 町かな? 人工的な建物が固まっている。
「まずは、あの集落を目指しましょう。
あとは臨機応変、ってやつで。」
今更な気がするが、相変わらず行き当たりばったりだ。
前途は多難だが、なるようになるしかない。
もしも、この世界があたしたちを受け入れてくれないときは…… その時もなるようになるしかないか。




