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毒の雪

 毒の雪が降っていた。それはとても綺麗だった。さらさらと光に透けて、降り注ぐそれは、目を凝らさないと雪だとわからないほどに、希薄だった。それでも家の前に停められている他人の車を見ると窓が白く覆われていて、だから、雪が降っていると知るのは、容易なことだった。

 目を凝らすと斜めに雪が流れてくる。鉛の空から舞い降りる毒が、眼前を掠めて、それはとても綺麗だった。今日は生きてやろうと思った。今日なら今までできていたことができるかもしれないと思った。

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