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『スフィー』登場人物・世界観紹介ページ  作者:
<世界観・用語など>
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▼蒼導脈(あおどうみゃく)

蒼導脈あおどうみゃく

●概要

 綴導術師が世界を情報として『視た』時、情報世界としての世界へ波のようにたゆたうあらゆる〝情報〟のことを言う。非常に広義に用いられる語であり、この世のすべての物質・概念(つまり情報)は蒼導脈で構成されていると言うことができる。

 情報世界に隙間なく満たされているものであるので、情報世界に偏在する大気のように表現して説明されることもある。

<アーキ・スフィア>と同意義のように扱われることもあり、厳密に間違いとは言えないが、綴導術師の間では使い分けられている。


●情報クラスターとしての蒼導脈

 すべての存在は情報であると言え、つまりすべての存在は〝蒼導脈〟と同義である。

 たとえば<アーキ・スフィア>の項で触れたように、ひとつの『リンゴ』を取ってみた場合、このリンゴも『リンゴひとつ分を記述する蒼導脈』である。

 しかしひとつ分のリンゴを構成する成分や元素も多岐に渡り、それらひとつひとつもその元素や性質が示す固有の蒼導脈(情報構成やその法則)を持つ。水や糖鎖といったこれらひとつずつを切り取って蒼導脈であるとすることもできるが、<アーキ・スフィア>上において物体は『物体そのものとして』、つまりひとまとまりのものとしても扱われる。たとえばこれは、リンゴひとつを転がした時、そのリンゴが物理法則としての〝運動系〟の上にも存在が保障されており、ひとまとまりのものとして転がってゆくこととも密接に関わっている。物質世界上でそうであるように、情報世界上においても『リンゴという物体』としてのまとまりはほかの小さな基礎的要素とは切り離されて扱われる。

 世界中を渡る多少の伝達情報子の影響には左右されない〝強い結びつき〟を持っているわけである。このような自然な『ひとまとまりの』情報の集合は〝情報クラスター〟または〝情報系〟と呼称される。

 このことから、『切り取る視点の大きさ』の利便性として〝蒼導脈〟を、ひとつの『物体』単位を見る時のものとして扱うことも多い。あくまで考え・捉え方のひとつであるが、綴導術師が日常の研究や学術的やり取り(特に練成やアイテム作成時)において〝蒼導脈〟と呼ぶ時は、たいていがこの『物体(つまり素材や部品)を司る』蒼導脈のことである。

  どちらの意味での〝蒼導脈〟であるのかはほとんどの場合が文脈から判別できるので、同一の呼び方で混乱が広がることはあまりない。

 なぜこれら情報クラスターのことを〝情報〟と〝蒼導脈〟とに呼び分けないかという理由については、情報クラスター内のあらゆる情報素子に、その〝状態〟を示す〝色〟が付与されているためである(下記『●蒼導脈の基礎三原色』参照)。

 彼ら綴導術師にとってはどちらも非常に広義・広範囲を示す語句にしかならないためである。


 解釈を広げてゆけば、コップとコップに入った水もひとつの情報クラスターであるし、〝街〟などもある種の情報クラスターと言うことができる。

 水の入ったコップにフタをかけて放り投げればコップとともに水も同じ運動系の中にあって一緒に移動してゆく。コップ(とフタ)によって固定されているという〝強い結びつき〟を持たされているためであるが、コップが地面に到達してコップが割れてしまえば、水は元の水としての性質のままに振る舞い、地面にしみ込んでゆくことになる。この〝強い結びつき〟の度合いや項目の多さも、情報クラスターを決定づける重要な要素である。


●循環子としての蒼導脈

 蒼導脈は常に<アーキ・スフィア>内に満たされ、循環している。物体などを示す情報クラスターのほかにも、それら相互の存在が影響し合う情報のやり取りも、綴導術師たちには蒼導脈の〝流れ〟として知覚される。これらの〝流れ〟を<アーキ・スフィア>内で司る情報素子は〝循環子〟と呼ばれる。

 循環子は情報クラスターと情報クラスターの間を行き来する。その記述の内訳は<アーキ・スフィア>の項で説明されたように『すべて』である。

 我々にとって身近な例を挙げるとするなら、たとえばある強い熱源を持った物体Aの隣に常温の物体Bを置いた時、物体Bは徐々に物体Aの熱源によって暖められる。熱源があまりに強ければ焼き焦がされて変質してゆく。

 このような〝エネルギー〟のやり取りを始めとした、干渉し合う相互の間にやり取りされるあらゆる情報が循環子である。基本的に〝伝達情報子〟と〝干渉情報子〟に分けられ、両者の違いは運んで手渡す情報の『影響度の強さや性質』の違いによって区別される。

 広義に解釈すれば物体ごとに対して影響を与える物理法則の運行を記述する情報も循環子と見なすことが可能なように思われるが、世界〝法則系〟もまた<アーキ・スフィア>内においては独立して記述されるべき主体を持つ〝存在〟、つまり情報クラスターの一種である。なので循環子とは法則そのものを指すものではなく、言わばこの場合は『法則がそこに存在していることを記述する情報』である。


 厳密な意味での循環子とは、それ自体はまだ内容を与えられていない白紙の情報素子と解釈される。現在のところ白紙の状態の循環子というものの確認はされていないが、循環子は<アーキ・スフィア>内に記述される〝情報クラスター〟〝法則系〟など、それら世界運行における重要度や優先順位・階層には左右されずに自在に飛び回ると考えられている。循環の枠組み・役割に組み込まれることによって初めて<アーキ・スフィア>内に記述されるために、記述された情報の性質に左右されて縦横無尽かつ無法則に振舞うことこそはないが、概念として循環子の持つ性質と役割を解釈すれば、そのようになるということである。


 このことから循環子は記述される前の普段では、ないものとして扱われる(情報世界における情報自体が『まだない状態』なためである)が、新たな循環子の記述の必要性に迫られた場合には自由に記述されて必要な循環の枠組みに送り込まれるものと思われている。

 逆説的に解釈すれば<アーキ・スフィア>の持つ情報領域の〝予備〟と捉えることもでき、<アーキ・スフィア>の記述する物質世界が常に定量の存在量を保つものではないことを証明する。非常に巨視的に見た場合、宇宙全体の持つエネルギーの一部が実際に予測で算出できる宇宙内部の存在量(物質量・時空領域)よりも大幅に上回ったポテンシャルを示す〝ダーク・エネルギー〟として記述されることがあるのは、これら〝予備領域〟の巨視的な現れ(視点を宇宙全体まで広げた時、常に宇宙全体で現れては消える『循環子の必要性』の『ゆらぎ』)であると解釈できる。


 一方で、すでに記述されている循環子の役割とは、すなわち<アーキ・スフィア>の〝存在意義〟と同じものである。<アーキ・スフィア>には我々人間が人生や自己の存在に対して思考する〝存在理由〟などというものはなく、<アーキ・スフィア>の概要項にて触れた通り、ただ物質世界と等価値の記述情報、つまり世界がただ世界として在るように存在しているだけであり、その内部のあらゆる記述が行われるだけのことである。


 しかしながら、以上のことから世界が正常に運行されている普段においてはこれら循環子や蒼導脈の〝流れ〟は気にせずとも勝手に生じて運用される、無視をしていても構わない要素と言えるが、いくつかの状況においてはこれら循環子の保全は、重大な意味を持つことがある。

 なんらかの特別な干渉力(綴導術や魔術など)、あるいは〝霧〟によってこれらの『相互影響の記述』が阻害か消去を受けてしまった場合、世界法則そのものの発現順序や運行に乱れが生じる可能性がある。基本的に循環子は時間や距離に左右されることなく常に供給されるが、特に〝霧〟のような恒久的で唐突な『消去現象』がもたらされた場合、その生じた〝空白〟の大きさによっては<アーキ・スフィア>内の周囲に〝衝撃〟として世界法則の乱れが伝播することもある。そのため非常に深い〝深度〟を持つ〝霧の杜〟の周囲では、たとえ内部に入っていなくても時間流や重力の変動が観測されることがある。

 綴導術師たちが特殊な情報干渉力(効果)を持つ品を作成する際にも、その効果量や干渉範囲を予測したり、決定づけたりするための重要な情報として扱われることも多い。


●蒼導脈の基礎三原色

 蒼導脈には現在その物質(存在)の置かれている状態の性質を示す〝情報〟の向きを表す〝色〟がそれぞれ存在している。

 すなわち青、赤、緑であり、それぞれは〝安定〟〝変化〟〝増大〟を示す。

 蒼導脈という呼称は<アーキ・スフィア>全体として見渡そうとした時、世界アーキ・スフィアの総体がおおむね安定して存続・拡大しようとしていることを示していることからつけられている。

 また、この〝色〟について、綴導術師たちが蒼導脈を知覚する時、視覚的にこのような色が『見える』ということではない。あくまでそういう色だと『感じる』だけであり、生物としての人間が獲得する精神構造・感性・概念が大きく影響するものと思われている。もしも人間とはまったく異なる進化を遂げた知的生命体が綴導術を扱った場合、この〝蒼導脈〟も、まったく異なる捉え方がされるであろうと言われている。

 色覚としての〝三原色〟との関連性も特には示唆されてはいない。先天的に視角や色覚に障害を持ち〝色〟を知ることができない者がタペストリ領域の認識訓練を受けても、彼らはそれぞれの〝色〟の蒼導脈を知覚できたという記録も残されている。


 この〝基礎三原色〟は情報が持つもっとも基礎となる〝状態〟〝方向性〟を示すものであり、すべての〝状態〟はこの3つを基礎にしている。

 そのため綴導術における情報操作の最基礎項目としても扱われ、術者の素地としての素養を示す基準としても用いられる。

 綴導術師の素養は、測定に用いられる基幹理論上、この三原色のどれか以外は現れないとされている。

 綴導術師たちがその秘術の最基礎項目として作成する〝水晶水〟もまた純粋な情報世界のソースであり、この3つの色に準拠して抽出される。また、上級な綴導術師ならば下記項目に触れる〝拡大色〟や〝混合色〟の性質を持った〝水晶水〟の作成も可能とされる。


●三原色『以外の』色

 しかし<アーキ・スフィア>はこれら三原色以外の〝色〟が存在する可能性をも示唆する。

 青、赤、緑がより強調された〝蒼(拡大)〟〝紅(崩壊)〟〝碧(昇界または深化)〟などの〝拡大色〟や、これらの性質を同時に現す〝混合色〟の存在などが確認されている。

 それ以外にも過去に存在した偉大な賢者や戦士たちの中には〝真紅〟や〝灼銅色〟といった、自然では絶対に現れないレベルでの拡大色や、それらとは一切の交わりを持たない固有の(つまり<アーキ・スフィア>に対して独立固有の干渉力を持つ)〝銀色〟などを持つ者もいたと言われている。

 これらは綴導術師の間では〝絶対色〟と呼び交わされるが、詳細はまったく分かっておらず、研究も解明も進んでいない。伝説などに記述される〝絶対色〟を人為的に再現する試みを研究する術師も一部には存在するようだが、現在のところはまったく成功していない。

 これら〝絶対色〟がどのような理由・由来から現れるのかについては分かっていない。

 多くの場合、伝説に記述される人物の〝使命〟〝天命〟などを<アーキ・スフィア>内における自己保全活動の発現として照らし合わせて『神学的に』解釈されたりしている。


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