excavater 07
エスカレーター横の建物案内図を見た。
一階……スーパー銭湯『や(っほ)おい』。
二階……スポーツジム『フレディ』。
三階……カプセルホテル『ワースミラー』。
四階……空室。
五階……堀師マスター『まっつん』のおうち……!?
住んでんじゃねーよ!!自宅かよ!
出待ちしなくてよかったとしみじみ思った。
フロントにいた受付嬢NPCにマスターと連絡がとれるか聞いてみる。
「所用のため一時間ほど手が離せないとのことです。後ほどお呼び致しますのでお待ち下さい」
なぜか入浴サービス券が二枚もらえた。
建物の一階入り口付近はホテルのロビーのような造り。
お供をしてくれた美少年は入浴の手続きをしていた。
さっきのお礼にと入浴サービス券を一枚渡す。
「よかったら一緒にお風呂入らない?」
白い歯を煌かせる美少年。
断ろうかと思ったけど、さっきお漏らししたのでオレ臭い。手も汚れてる。
着ぐるみのまま入ればいいかと安易に美少年の誘いにのる。
「こっちがサウナで、あっちがゲルマニウム温泉」
美少年に連れられながら奥へと進む。まるで兄妹。
「大きいほうがいいよね」
着いた浴場はプール並み。いやどうみてもプール。
更衣室で着替えるという美少年。することないので同行。
「あまり見ないで欲しいな」
細身のわりに腐女子歓喜の筋肉質。用意していたのか競泳パンツを身に着けた。
「キャー何あれ?かわいい!」
ケモナー幼女のオレに気づいた男共の大群が押し寄せてきた。
慌てて美少年の後ろに隠れるオレ。
「ずるぅい、ちょっと触らせて」
「もふもふよ、もふもふ」
精神汚染の恐怖を前にオレ泣きそう。
「やめて下さい。この子はボクの妹なんですから」
野獣の群れの前に立ちはだかる美少年。オレの中で妹プラグインが覚醒。
「助けてお兄ちゃん!」
その言葉に誰もが反応。
「怖がらせてごめんなさい。可愛すぎて理性を見失っちゃった」
自分を見失ってるだろがーおまえら!
「君は新規さんなの?」
騒ぎが収まったところで、美少年に手を引かれながらプールでバタ足するオレ。
水分を含んだ着ぐるみは凶器。油断するとすぐに沈む。
美少年の問いにこくりと頷く。
「フレとかいるの?」
首を横に振る。
「ギルドは?」
「未加入」
しばらく考え事をしていた美少年。
「フレンド登録してもいいかな?」
お友達げっと。