excavater 21
「これどうやって着るんだっけ?」
「別に無理して着る事ないんじゃない?オレらヤラレキャラだし」
「でもこの格好じゃマズくね?私服だし」
「人員削減とかで一人何役もするんだし、いちいち着替えてたりするの面倒だろ」
「地下牢入り口の番人のあとは、プレイヤーの先回りをして色々やらなきゃだけど……ほとんどのプレイヤーが直でボス部屋行っちゃうしさ、今回もそうだとしたらココくらいはちゃんとしといた方がいいかなって思うんだけど」
「あーそういうことね。まあオレの考えとしてはプレイヤーさんに無駄に時間を取らせても、ってところなんだけどな。今頃ここに来る新規なんてレベリングに忙しいだろうし」
地下牢から上へと続く階段の途中でそんな会話が聞こえてきた。
MOBを定点に置くことなく、NPCがプレイヤーの動向に合わせて移動する仕様らしい。
「なんだか人気のない遊園地の係員さんみたい。あはは」
確かに紫鶴の言うとおり、平日は閑散としている小さな遊園地では係員がストーカーの如く客の後ろについて周り、節電のために停止してあるアトラクションの電源を入れるという話を聞いたことがある。
これは好都合。
いちいちMOBを処理する手間が省けるというもの。
「このヘルムって視界狭いんだよな。ちょっと剣とってもらえない?」
壁を手探りしていた全身甲冑のNPCに立てかけてあった剣を渡した。
「サンキュ!」
「はっ?オレ何にもしてないけど?」
「えっ?」
全身甲冑のNPC二人組は固まった。
「オレに剣くれたの誰よ?」
小さすぎたのか幼女のオレの姿が視界に入らなかったようだ。
二人組は辺りをキョロキョロと見回していた。
「冗談はやめろよ。オレこういうの苦手だって知ってるだろ」
「何言ってんだよ、怖がらせて誰得……って痛っ!」
「どうした?」
「何ふざけてんだよ、てめえ今浣腸しただろ!」
「するわけないだろ…うおっ!?」
「何だどうした?」
「なんだか背中にヌメッとしたものが…あひっ!」
甲冑の隙間から泉で捕まえた小魚を入れてみた。
「気持ち悪い!取って取って!何かがぴちぴち!アッ!」
「ちょっと待て、オレ甲冑脱ぐワヒッ!?」
「そっちもか?アッ!とりあえずウホッ!!」
「ヌルヌルが腹から聖域に移動…やべっぐわっ!」
もう一人の甲冑さんにはウナギを入れてみた。
「無理っ!脱げない!」
「ひっ、控え室だ!誰かいるかもしれない、助けをオホホッ!」
奇妙な踊りをしながら甲冑二人組が奥の部屋へとよたよた歩いて行った。




