表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

通知欄に残った名前

作者: さっちゃん
掲載日:2026/05/07

それからさらに、時間が過ぎた。


私が高校一年生になった頃。


彼は高校三年生になっていた。


別々の高校へ進学したけれど、学校はすぐ近くだった。



ある日。


部活の練習試合で、彼の高校へ行くことになった。


体育館へ向かう前、ウォーミングアップで校舎の周りを走る。


見上げた校舎。


(ここにいるんだ)


それだけで、少し胸がざわついた。



グラウンドでは野球部が練習していた。


白いユニフォーム。

土埃。

遠くから聞こえる掛け声。


彼も、まだ野球を続けているのかな。


そう思いながら何度も目で探した。


でも――


その中に、彼の姿を見つけることはできなかった。



高校生になっても、結局一度も会えなかった。


あんなに近くにいたのに。



それからまた時間が流れて。


私は社会人になった。


毎日に追われながら、昔のことを思い出す時間も少なくなっていた頃。


ある日、スマホに通知が届いた。


SNSの友達申請。


表示された名前を見た瞬間、胸が大きく揺れた。


彼だった。



懐かしい。


ただ、その気持ちだけが一気に溢れた。


迷うことなく承認した。



でも。


その頃の私には付き合っている人がいた。


だから、自分からメッセージを送ることはしなかった。


「久しぶり」


たったそれだけの言葉なのに、打つことができなかった。



彼から連絡が来ることもなかった。


結局、私たちはまた何も話さないままだった。



それでも。


通知欄に彼の名前が並んでいた数日間だけは、

少しだけ昔に戻れた気がした。


三階の窓から校門を見下ろしていた頃に。


体育館の扉を開けるだけで胸が苦しくなっていた頃に。



今でも時々思う。


もしあの時、

どちらかがあと一歩だけ踏み出せていたら。


何か変わっていたのかな、と。



でもきっと。


届きそうで届かなかったからこそ、

あの時間は、こんなにも綺麗なまま残っている。

これは、前作「出席番号だけ書いたバレンタイン」のその後を書いたお話です。

大人になっても、ふと思い出す人がいる。

そんな記憶を書きました。

読んでくださってありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ