第四十六話 答え
バケモノとして完成した礼に、対抗虚しく殴られ続ける空。映像を見ながら、永田は焦りを露わにする。
「取引? 」
「そうですね。今更隠したところで、意味はないか」
勘九郎や拓扉は、遠目に二人のやりとりを眺める。
「従来の考え方では、辿り着けなかった、問題解決への革新的なアプローチ。彼女が間違っていたのか。世界が間違っていたのか。もはやそんなことはどうでもいい。・・・もう一度、やり直せばいい」
自らデータファイルを映し出し、モニターした。
「ナノテクノロジー。この技術は、今やお金を出せば誰でも受けられる治療ですね。ナノマシンを体内に入れる事で癌や腫瘍の早期発見、またその治療を自動的に行う、いわば体内に病院を作ることができた。しかしまだ、未知の可能性を秘めているんです。
自ら状況に応じて動くナノマシンの特性を活かすことで、例えば、損傷した生体組織を治癒、修復する幹細胞の働きを支持、促進させることができる。もはや自力では再生できなかった病気や怪我も直せる。・・・しかしまだ、これではまだ足りなかった。何故なら、彼女はもう死んでいるから。すでに活動を停止した生体組織は、どう足掻いても自己再生できない」
悲しい顔をして映像を見上げた。暴走している我が子が、激しく痛めつける姿を、はっきりと目に映す。
「そこに転機が訪れた。それら凌駕するテクノロジーと発想を用いた究極の再生医療の完成。クローン。人工多能性幹細胞。どちらも素晴らしいが、もっと確率が高く、低リスクな技術。
ナノマシンはその小ささ故に、人間の細胞の中にあるごく僅かなエネルギーを源として動きます。そして近年、そのエネルギーを利用して自身の体を複製する機能を持たせることに成功しました。これは本来、増殖するウイルスに対抗してナノマシンの数も増えなければ対応できないということで備えられた機能でした。ならば、その応用はどうでしょう。そのナノマシンを媒体とした幹細胞を生成することができれば、エネルギーさえあれば、無限に増殖を続ける人工幹細胞が完成します。無秩序に増殖し続ければ、数時間あれば地球を覆い尽くすと言われているナノマシン。そこに人間を形成する設計図。遺伝子に基づいて細胞を増殖し再生を行わせます。遺伝子通りの細胞分裂が終われば、増殖もそこで終わる。
つまり、細胞一つあれば、そこから完璧な肉体を修復させることができる。加えて強化された細胞は、通常の人間より多くのエネルギー量を扱い、常人離れした身体能力と知能を兼ね揃えた人間となる。・・・はれて、ナノマシンによって人は、より優れた生物として蘇る」
「蘇る・・・ だと? 」
「私は、その技術を欲した。喉から手が出る程に。そしてその為の条件を提示された。もうお分かりでしょう? 」
「栄養食実用化の可決か」
映像の中のバケモノの悲愴に満ちた顔には、人間らしさは残っていない。
「取り引き相手は、まぁ、とある富豪とでも言っておきましょう。あまりいうと、私が危ないのでね」
「しかし何故です? 富豪は、実用化された方が、立場が不利になるはずじゃないんですか? 」
拓扉は食い気味に聞く。
「さぁ。そこまで深くは聞きませんでした。ざっと考えられるのは、結局それも、自分たちの利益に換算する算段が付いているってことじゃないですかね」
室内に響き渡る礼の唸り声は、切島の胸を大きく揺らした。
「もう一度取り戻すんです。私達は。あの時間をやり直して、全てを元に戻す」
「そ・・・ そんなこと、倫理的にどうなんだ! 様々な問題がまた出てくるだけだ! 」
「わかってますよ。・・・分かってます。俺も息子も。でも仕方ないじゃないですか・・・ この思いはきっと、奪われたものにしかわからない」
モニターのライトに照らされる切島の顔は、悲しげな影を作る。
「もう、後戻りできないんです」
溶岩は、開けた大地に流れ込むと、大きく二つの川に分かれた。ぽっかりと空いたクレーターに溶岩は溜まり、赤黒い炎の池を何個も創り出していく。
熱風が踊る地獄のような景観の川の間で、二人は争い続ける。
また吹っ飛ばされ、転がり込む空。度重なるダメージによって疲弊し、重力に逆らって立ち上がるのもやっとだった。
ラーテルの白い毛は体の、腕や足、背中などにも増えた。その特殊な装甲は、防御としては申し分ないが、攻撃に置いても、分散する衝撃を相手に効率よく伝心させる武器として、能力を発揮した。
流石にやばい。このままじゃ。
荒れ狂う道化は、首をふらふらと揺らして走ってくる。壊れた人形のよう、恐ろしく奇怪に。
そのまま縦横無尽に繰り出される、関節の可動域を無視した爪の斬撃。避けること叶わず、ガードした腕から血を吹き出した。
着実に追い詰められ、背後に迫ってくる『死』が、心を蝕んでいく。
負ける? 俺が? ダメだろ・・・
負けれねえんだ! 俺だって、負けらない理由がある!
再び燃え上がらせようとする意思に応じて、心の中で礼は話しかけてきた。
君になんの理由があるっていうんだ? 君が世界に何かされたのか? 別に差別されたわけでも、不運に見舞われたわけでもないのにさ。
くだらない自分の理想を世界に押しつけて、思い通りにならないことを幼稚に泣き喚いているだけだ!
そんな君に、この僕が負けるはずがない!
攻撃はより一層激しさを増していき、一撃一撃に執念がこもる。
君なんかより、ずっと苦しんできた!
僕も父さんも、母さんも。
ずっと耐えて、戦ってきた。
だから君より強いはずなんだ。
負けるはずはない。そんなこと許されないんだよ!
心を叩くように、礼の思いが攻撃と共に入り込んでくる。刺すような痛みは、自尊心の弱い空に肯定を誘った。
でも、負けて・・・いいのか?
理由。戦う理由・・・
あの日の一ページ。
澄み渡る青空の下。
振り返ると、波と戯れながらついてくるアンガーが見えた。
こっちを向いて、無邪気に咲いた笑顔。
そのひとときが、空に思い出させる。
・・・礼。お前の苦しみは確かに、凄まじいものだ。
俺の苦しみなんてそう。誰もが受けるあたりまえのもの。いちいち気にしてたら生きていけないような小さなこと。
でも一人一人に与えられる苦しみの数と重みは同じじゃない。
お前みたいに、誰もが同情してくれるような不幸にあえば、みんな分かってくれるのかなんて、馬鹿みたいに考えたこともあったよ。
押されていた足を踏ん張り、押し返す。
強さっていうのはさ、礼。一方を無視して生きることでも、何かを決めつけて生きることでもないと思うんだ。
大人でも、十代の若者に考え方が劣る時がある。聞くに耐えない悲しい出来事を乗り越えた人間であっても、その人間の感性は全く褒められない時がある。
激化する猛攻を右、左と、受け止めて掴み、攻撃を止めた。
心の強さは、生きた時間じゃない。ましてやその苦しみの、社会的な大小で決まるものでもない。
掴んだ手首を、握力で締め上げる。
どれだけ考えたか
どれだけ悩み抜いたか
踠き、苦しみながら
自分でもわからないような焦りと不安に駆られて、走り続けて
それでも
広く開いた額に、渾身の頭突きを喰らわせると、怯んだ礼の腹に、力一杯溜めた右のレバーブローをのめり込ませる。
誰もが幸せになれるその答えを、探し続けていたか
悶え苦しみ、地面に転がった礼は、徐々に結合状態を5/5まで戻していった。
その深い一撃に、映像を見ている切島はまた動揺した。
そして、白い獣の王の言葉に、大人たちは耳を傾ける。
悲しみを目に宿し、黒煙の隙間に見える青空を見上げる。
「生き返らせる・・・か。俺にはお前の過去の全てがわかる訳じゃないけど、命は限りあるものだとか、だから命だとか、そんなこと言わねえよ。理不尽に奪われた命なら、正直、もう一度くらいさ、生きるチャンスがあったっていいじゃねえかって、神様がいるならそう言いたい」
母の柔らかな表情と、死んでいく命、学校の自分などの景色が瞬時に頭を通り過ぎた。どうにもならなかった思いがこみ上げてくる。
「でも・・・ 居なかったから」
どれだけ願っても、祈っても、返事一つしてくれない。
血の混ざった赤い涙が一滴、白い悪魔の頬を伝う。
湧き上がる思いは息を多めにを交えて言葉を溢した。
目を合わせた時、伝わってきたその感情に、自分と同等の悲しみを感じた礼も、気付かぬまま涙が溢れた。
「だからお前も、自分の手で変えようとしたんだろう。俺も同じなんだ」
大人達は聞き入る。
「でも不思議なものでさ、人間、大きかったはずの悲しみも苦しみも、いつのまにか薄くなっていく。そして、自分がなにをしたかったのかさえわからなくなる」
「それは・・・ 苦しみがそう大したことなかったからだ・・・」
礼は血反吐を散らして立ち上がる。
「空君。僕を見てよ・・・ もう何人も殺した。半数が意識不明の重体が続いてる。僕は、もう戻れない」
空に近づくと、胸元の毛を引っ張り、引き寄せた。
「ここで君に負けたら・・・ 僕は一体何の為に・・・なんの為に戦った? なんの為に殺して、なんの為に此処に来て、なんの為に君を殴った? 本当は・・・ 本当は僕だって・・・」
泣きじゃくり、何度も揺さぶって、怒りをぶつける。
「もう戻れない! もう普通には生きていけない! だからせめて母さんだけでも、生き返らせさせてくれないか! 」
切島はもはや堪え切れなかった。沈黙して落胆した肩の奥で、涙が落ちる。
「君にわかるか! あの時話しかけていた母さんはもう死んでいたんだ! 何気なく今日のテストの話なんかしてさ・・・ それどころじゃなかった。母さんはずっと苦しんでいた。最後に、一体どんな気持ちで、僕を送り出していたのか。僕も父さんも、何にも気付かぬまま、母さんを苦しめて、殺した! 」
すまない、礼・・・
切島は俯いて肩を揺らす。
「もう二度と会えなかった! あのガラスケースの中に浮いていたのは、優しくて綺麗だった母さんのものとは思えない、気持ち悪い脳みそだけだった! 思わず父さんに聞いたよ! 」
切島の唇が文字を象った。
(これは本当に母さんなの? )
そういって涙さえ流すことなく、お前はただずっとそれを眺めていた。
礼、もし母さんが生き返るとしたら、どうする?
(え? )
顔を上げて希望に満ちたお前の顔を見たとき、もう思いは止まらなかったんだ。
母さんともう一回会いたいか?
(うん! )
あんな事聞いた俺が馬鹿だったんだ。
そりゃそういうだろ。言っちゃいけなかったんだ。
でもな父さん。お前あの顔が嬉しくて。
嬉しくて。
どうしようもなかったんだ。
「あぁ・・・」
力抜けるように膝を崩し、ボソボソと呟く。
「分かっていた。分かっていたはずなのにな、お前を巻き込むことが間違いだなんて。父さんは本当、肝心な時にいつも大事なものを見失う」
「母さんの為ならなんでもするって! そう誓った、約束したんだ! 」
礼は最後の球体を浮かせて、発光させた。
「これは自爆コード。君やこの仮想空間もろとも破壊できる爆弾だ。できれば使いたくなかったけど、もう仕方ない! 」
切島は立ち上がり声にならない声を出す。
「やめろ礼もう十分だ・・・ 俺が悪かった。俺が悪かったんだ」
画面の内にいる礼に、その声は全く届かない。
「これで終わりだ空! みんな死んで、母さんは生き返る! 」
父親の叫び声が会議室に響く。
「お前まで・・・ いかないでくれ・・・ 」
俺が全部悪かった。なんて馬鹿だったんだ。礼が最後にはどうするかなんて分かっていたはずなのに。
涙でボヤけるモニターを、怯えながら見上げる。
すると、白い化け物は、ゆっくりと球体を手に取り、自分の胸に押し当てた。分厚い筋肉と、胸毛に埋まる。
「誰も死なせない。皆もお前も」
「抑え込むつもりか? 馬鹿か! そんなの不可能だ! 」
「可能かどうかは関係ない。俺はやらなきゃいけないんだ。勝負と行こうぜ? お前の覚悟が勝つか、俺の覚悟が勝つか」
イタズラっぽく、優しい笑顔を見せる。
「・・・ほんのひと思いだぞ! 」
「同じなんだ礼。ここでお前を突き放したら、俺も、今までなんの為に人に寄り添ってきたのかわからなくなる」
「そ、そんなの・・・ 」
「誰の思いも置いていかない、見捨てない。そういっただろ? 」
「だから・・・ 君は損をするんだ」
「ああほんと、自分が嫌になる。でもこれが、俺の性なんだよ。きっと最後の最後まで、そうやって生きていく」
至って冷静に穏やかに。深みのある瞳を光らせて言う。
「そうか、残念だよ」
宙に浮いた半透明のキーボードに、血だらけの片手が、痙攣しながらパスワードを入れていく。
しかしふと、手が止まった。
朦朧とする意識の中で、不安が浮上する。
彼は、本当に抑え込むことができるんじゃないか。無効化も破り、権限なく自己再生もした。
振り返ると空は、少しの動揺もなく佇んでいた。
その様子に段々と苛立ちをあらわにする。
頭皮を荒々しく掻きむしる。。
何故だ。なんでそんなことができる。
なんで・・・ 何もかもがカンに触る!
「クソ・・・ なんでだ・・・ この世界はやったもん勝ちだぞ! 君はずっとそうやって奪われる人間でいるつもりなのか! 馬鹿じゃないのか! 幸せはやってるくるものでもない、造るものでもない! 奪うものなんだよ! 誰かが夢を叶えるということは、誰かの夢は叶わないということだ! それが真実じゃないか! 君が体験した理不尽も、これからやってくる理不尽も、君自身がそれを与える側になってはじめて無くなるんだ! 何故わからない! 」
「わかってるさ。俺たちは命を奪って生きているんだから。きっと心の話でも、同じことが言えるんだろう。でもなぜか、人間は、綺麗なものに憧れる。かっこいい自分でいようとする。こんなに残酷で愚かな生き物なのに、今日より明日は、少しでも良い自分になろうとする」
「それが思い上がりなんだよ! 実際に実行できる人間なんていないじゃないか。人間がそんなに次元の高い生き物なら、この世に、争いなんてない。無慈悲な悲しみなんてない! ・・・母さんは、死んでない」
憎悪の集る礼の目を見て、少し考えた。
そしてゆっくりと視線を外す。
「そうだな・・・おまえの言う通りだ礼。人は悲しみや苦しみを知りたくない。だから見てないことにする。なかったことにする。不平等や理不尽な出来事も、誰にも見てもらえず、消されてしまう思いがある。
夢も、希望も、未来も。どこにも行き場を失ったその思いはどこへ行くんだろうって。俺はずっと、ずっと考えてきた」
叶わなかった母の願い。その冷え切った背中。社会に適せず、誰に知られることもなく、打ちのめされた少年の心の痛みも、悲しみも、憎しみも。ただぽっくりと死んだ猫の死体も。
そこに泣いてくれる人はどれだけいるんだろうか。
その人生を、どれだけの人が知ろうとするだろうか。
考えようとするだろうか。寄り添おうとするだろうか。
「でもできることなんかない。ただ、冷たい体に手を添えるだけだった。だから、だからせめて・・・俺は、」
母の朗らかな表情。窓際で斜陽に濡れた猫が細目で振り返る顔。暖かな陽の温もりの中で、みんな笑っていた。湧いてくる記憶の中に、心から笑う自分の顔もあった。
「もう、そんな思い誰にもして欲しくないから。せめて俺は、俺だけは、何も零さない人間になりたいんだ。何も消してしまわぬように、見逃さぬように。人の心に、寄り添っていたいんだ! 人の幸せを、願える人でありたいんだ! 」
礼はハッと目を見開いた。
なり・・・ いや、なれな・・・
深い深い記憶の底で、無意識に閉じ込めていた母との古い会話が頭を支配した。
(礼は大きくなったら、何になりたいの?
僕は、父さんと一緒に、人の役に立てる立派な人間になりたいです!
かっこいいね。でも立派な人ってどんな人だろう?
え、えっと。人の役に立って、格好良くて、優しくて・・・
ふふ。そっか、それでいいと思うよ。じゃあ母さんは、立派な人?
勿論です! 母さんは僕の憧れです)
思えばあの時、母さんはどんな思いで聞いていたんだろう。どんな顔をしていたのかも、覚えてない。
(礼はね、母さんの夢なの。
ゆ、夢ですか? )
あの言葉の意味は、ずっとわからなかった。
(母さんの願いを連れて行ってくれる人)
母さんは、遠いところを見て言った。
(世界中、みんなの幸せを心から願える人。私は、そんな人間に—)
「・・・なりたかった」
光の雫が、頬を伝う。
(忘れないでね? )
そうか。
礼の腕は、震えながらゆっくりと下っていった。
僕はなんて・・・
顫動は、崩落する心を透けて見せる。
母さん。
ごめんなさい。
重なって見えた。
なんの繋がりもない、ただの青年。
何の経歴もなければ、何の成績もないただの人間。
でもその青年は確かに、母の願いを背負っているように見えた。
真に、世界の平和を、望んでいるように見えた。
「・・・また一つ、聴いてもいいかな」
穏やかに頷く。
「なんで・・・ そこまでできるんだ。赤の他人に・・・ 」
「・・・人を助けるなんてさ、勝手だし、偉そうだろ? 無責任に優しい言葉かけて、ただ正論並べたりさ。だからせめて、人に寄り添う時はいつも、決めてることがある」
朗らかに微笑み、王は言った。
「命、賭けるって」
沈黙が嵐のように会議室を漂う。ただ一人、膝を崩し落胆した人間の哀哭を囲って。
僕は、なにかを奪う事で、願いを叶えようとした。
君は、自らを削り与えることで、何かを叶えようとした。
これだけの違いなのに。
僕は君に・・・
「いいね? 礼」
ポタポタと落ちていく涙そのままに、深く深く頷いた。
血を模したような色の球体が、握力によってヒビが入る。
何年、何十年も抱いてきた憎悪が砕け散るように。その結晶の欠片は、獣の王の胸の前で、風に乗ってどこかへ飛んでいった。
「君は馬鹿だ・・・ 大馬鹿ものだ。そんな生き方・・・ 君に何の得がある」
「そうだな。俺、寂しがりやだから。いつか俺の命も、なにもなかったかのように消えてしまうから。せめて、誰かの心の中に、生きていけたらなって」
「馬鹿だなぁ、ホント・・・ 君は・・・ 」
黒煙が囲み、赤黒い光を放つ溶岩は傾斜を降り続ける。戦場にはいくつもの痛々しい傷跡を残り、禍々しい大地を造形していた。
それでも、黒煙の隙間を覗く碧空から、二人に安寧の証として、暖かな陽の光を注いだ。




