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Waves Tones 【ウェイブストーンズ】  作者: 海月 恒


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第四十三話  王の聲

 



 感覚はない。ただただ液体を入れた袋がぶら下がるように。

 砕けた右腕の骨が、バラバラに腕の中で混ざり合う。

 言葉がでなかった。

 桁外れの異常な耐久度。尽く砕けたのは、腕だけではなかった。

 今の一撃で知り得た峭刻な事実。

 耐久、防御といったような言葉ではあらわせない別の強さ。いや、強さともまた違う。ゲージに置き換えれる、パラメータ等の表現では甘い。

 ボソッと、呟いた。

「無効化・・・ 」

 激しい動揺と、湧き上がって来る絶望。

 あのコーティングは、ダメージを無効化する。

 ゆっくりと見上げて、伊都の顔を見た。

 伊都は目の前で、ただこちらを見る。

 その表情は、あまりに哀しく。

 あまりにも、か弱くて。

 純粋に、助けを求めていた。

 ダメだ・・・ ダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだ! 

 空は必死に笑顔を作る。

「い、伊都。ちょっと待ってろよ? すぐ出してやるから! 」

 空は動かないはずの腕を動かして見た。

 振り上げて、拳をぶつけた。

 聞こえたのは、肉塊が壁にぶつかるグチャっとした音だけ。

 今度は左腕で強く殴った。

 火花は散るものの、何の手応えもなく、絶望は重なっていく。

「今、壊すから」

 何度も何度も、左腕で殴り続けた。

 回を重ねるごとに威力を上げ、どうにか、染み渡りそうな絶望を払拭したかった。

 しかし一向に、壁はなんの変化もない。

 何やってんだ。早く壊せよ。

 みんな待ってんだろうが。

 伊都が待ってるだろうが! 

 ふざけんなよ・・・ 俺が破れなきゃ、そもそも始まらねえじゃねえかよ!

 こんなことあってたまるか! いいからさっさと壊せ! 

 認めんな! 理解するな! 

 絶対壊せ! 

「くそおおおおおおおおおおおおお! 」

 この体が消えるまで、抗い続けてやる! 

 拳を握り、また正拳を放つ。

 

 球体が創造したものは、一行の戦意を大幅に削った。

 球体は礼の周りや上空に浮遊する。

 何千もの数に増殖して。

「こんな・・・ 」

 加えて新たに最新鋭のドローンが数十機。アンドロイド兵士と、重火器搭載戦闘ロボットが数十体。

 残酷に思い知らされる、圧倒的な戦力の違い。

 まるでイメージが出来なかった。

 ここから一体どうやって勝てというのか。

 柊がたじろいだ一瞬、ドローンからのレーザー光線に数発当たり、かろうじで岩陰に回避する。

 総司が助けに入ろうとすると、遮るように足元の地面にアンカーが突き刺さった。戦闘ロボットはその鎖を巻きはじめて、重火器を放ちながら高速で移動し、足のローラーで轢き殺しに掛かる。その爆撃と、煙幕により身動きが取れなかった総司は、あえてジャンプし機械のボディに跳ねられ、下敷きを免れた。

 成す術のないルルは、森の中に撤退しようと勝平の手を引いた。

 しかしその手は動かない。

「勝平! 何やってんの! 」

「俺は・・・ 逃げねえ」

「馬鹿言ってんじゃないわよ! ほら早く! 」

 無数のレーザーや、銃弾が周りを飛び交う中、酷く怯えながらもその場を離れなかった。

「死んだらどうにもならないって空も言ってたじゃん! 今は一旦下がって! 」

 勝平は黙ったまま動かない。

「ほら! はや・・・ 」

 突如として景色がパッと明るくなり、凄まじい衝撃が二人を包んだ。真っ白な爆風に吸い込まれるように。

 

 ある戦車が放った榴弾が、激しく爆発したの視界の端に捉えた峯呂は、攻撃を躊躇った。

 い、いま誰か当たったか? いやない、ないはずだ。

 集中しろ。とにかく、目の前のことに集中。

 こいつを倒して、白旗あげさせれば勝ちなんだ。

 早く。早く終わらせろ。

 その微細なリズムの変化に、礼はほくそえむ。

「今、誰か当たったね。人間の二人かな」

 突き出した拳から、力が抜ける。

「砲弾にあたったんだ。体は木っ端微塵だろうね。もしまだ生きてたら、それも地獄か」

「黙れ! 」

 峯呂のミドルが、テレポートによって回避され、左側から、ガラ空きの脇腹に爪の斬撃が、深く切り刻まれる。

「意外とちゃんと人情深いじゃない。自分以外どうでもいいのかと思ってたよ」

 軽く吹っ飛ばされて、獣脚で持ち堪えた。

 傷口は、酷く裂けている。

「・・・うるせぇないちいちお前は」

 滴る血をそのままに、怒りを燃やす。

「俺は曲がった事が大嫌いなんだよ。難しく考えることも嫌いだ」

 再びエネルギーを漲らせて、フォームを作る。全身から電気が弾けて光り、その闘志をスパークさせる。

「仲間が傷つくのも、大嫌いだ」

「あっそ」

 礼の周りに現れた二つの球体、付加力と、監視。その二つが光り、半透明の映像画面を創り出し、六枚に複製した。そして六角形に地面に刺さして、峯呂を囲む。

 その映像には礼が六体写っており、同時に攻撃を仕掛けてきた。

 峯呂は足を一本引いて、大きく回転する動きを見せた。

 虎の持つ柔軟性と、磨いてきた後ろ回し蹴りの特性を活かす。

 今の俺なら、まさに電光石火。 

 近づいてきた礼に合わせ、回転を始める。

 軸足を中心にして、右脚が一気に加速。

 雷の残像を残し、空間を裂く黄金の右足が、間合いに入った六人の礼を、刹那のコンマ一秒、煙のように消しとばした。

 綺麗な円を描いた雷の残像が消える頃、その中に紛れていた本体の礼の顎と首に、踵がめり込む。

 強く打ち倒される礼。またすぐにテレポートし、距離を取る。

 痛めた首を抑え、静かな苛立ちを見せた。

 その目から放たれた純粋な殺意に、峯呂は久しく冷や汗を流す。

 ゆっくり立ち上がり、また映像で囲む。

 また礼が映り、同じように走ってきた。

「同じことを」

 峯呂も同じように、また回し蹴りの構えを取ったが、何か違和感が感覚を刺激する。

 束の間、大量の何かが映像を突き破ってきた。

 景色を真っ白にし、衝撃のみが体を包み込んでいく。

 それを遠くで見てた総司が、唖然として固まる。

 激しい爆発が収まった場所に、峯呂はボロボロで転がっていた。六輌の戦車に囲まれて。

 ここまでやるのか・・・こいつは。

 そんな思考の時間は与えられず、また戦闘ロボットは腕を大きく振りまわしてきた。

 痛む胴体を押さえたまま、跳んで回避して、ロボットの頭に乗る。

 配線やなんやらが剥き出しになっている部分を、グシャグシャに契り剥がし、カメラの付いた頭部らしき部分と胴体を分離させようと、足と手で、支柱を折り曲げた。

 しかし、完璧には外せず、腕に掴まれ、地面に叩きつけられる。そこに銃火器で追い討ちをかけ、瓦礫と土埃に消えた。

 一人で大暴れしていた慧茉は、増え続ける戦車と兵隊の銃撃の的になっていた。足や腹に砲撃を受け、膝をつくと、激しい振動に、大地と木々が騒めく。

 兵隊たちは攻撃を止めない。ドローンも、ロボットも、何もない大地を吹っ飛ばし続ける。

 爆弾の赤黒い炎は、残忍な悪魔に見えた。次々と頬をかすめる銃弾。発砲時の銃口の光。どれもが、精神の潜在的な部分に、ゆっくりと刺さっていく。その痛みに震え始めた。

 可笑しいような、楽な感情が込み上げてきて、柊は、岩陰で一人、耳を押さえて喚き散らした。

 戦場の恐怖、目紛しく変化する現状を、受け入れきれず、拒絶していく。

 爆撃の振動と鼓膜が破れそうな爆音。受けた攻撃の疼痛、聞こえなくなった仲間の声。叫ぶ自分の声すら、何もわからなかった。

 全てが一瞬にして消えていく感覚は、あまりにも清々しく、心を粉々にし、理性を吹っ飛ばした。

「だから言ったんだ」

 礼は怪我を回復し、何処も彼処も煙が登る景色を眺める。

「空君。これが君の選んだ現実だ」

 振り返り、壁を叩き続けている空を見る。その背中には、儚さと虚しさが漂う。

  

 猛然たる攻撃が、また衝撃波を生んでは無効になり、息を乱す。

 何度も繰り返しては、指の隙間から溢れてしまいそうな希望を、保とうとしていた。

 まだ! いける! いけるはずなんだ!

「伊都! 大丈・・・ 」

 ふと見上げた時、光の粒子は手から溢れた。

 滴って落ちた伊都の涙。地面に落ちて王冠を作った。

 隣の可愛らしい淡いピンクのミヤマキリシマがたゆたう。

「もう十分だよ。空。ありがとう」

 抑えていた絶望が、一気に押し寄せてきた。

「もう大丈夫だから。うん。いろいろ勉強できたし。一足先に、現実で待ってるから、君だけでも、逃げて」

 赤黒い溶岩は、傾斜の半分を過ぎようとしている。もう後何百メートルと数えられそうな程に。

「もしこれが最後になっても、君に逢えてよかった」

 息が詰まり、拳が止まる空。

 ハッとして、俯いた。

 後ろも、振り返ることができなった。

 築き上げてきたものの、壊れた姿を受け止めれる気がしなかった。

 みんな。みんな俺のせいで、死ぬ。

 だ、ダメだ。・・・みんな俺を信じて来てくれたのに。そんなの。

 

 でも・・・


 戦いの山を終えたように静まりかえる戦場。焼け爛れた大地の熱気が、肌をかすめる。


 もう・・・

 

 震える体。涙溢れる瞳に、嘘は通じない。


 ・・・終わり?


 残った左手も、力抜けて落ちた。

 やっぱり、俺は何も救えない・・・

 世界はまた俺に、救う事を許さなかった。

 ・・・なんで? なんで。

 誰でもいい、助けてあげてよ。

 こんなに苦しんでいるじゃないか。

 こんなに・・・

 

 

 深く刻まれた無力な自分の姿。

 あいつの声が聞こえた。

 

(何に期待してたんだ? )

 

 それは礼の声でなく、もうひとりの化身。ある王子の声。


 あの時、オイラに教えてくれたじゃない。

 残酷な世界を生きてきたオイラに、君は、抱えていく強さをくれた。

 苦しみを、力に変える術を教えてくれた。

 君はなんで戦えたの?

 なんで立ち上がれたの?

 もう諦めろって、何度も教えられたのに。

 どうしてそれでも君は、抗うことをやめなかったの? 

 これまでの戦いと、これまでの人生を振り返った。

 空の記憶をみたアンガーは優しい声で語りかける。

 

 

 あの日、机の落書きの少年は、なんであんなこと言ったの? 

 

 

 あの時。


 そう。あの時。


 何も変わらないことを知った。何も伝わらないことを知った。世界が無情に弱いものを切り捨てていくこと。残酷な程に、夢も希望も簡単に消してしまうこと

 だから、期待することをやめた。

 

 もう何も 世界に求めることやめた

 

 だから 

 

 だからこそ

 

 運命に翻弄されるだけの現実を

 

 この手で変えることを決めたんだ

 

 この手で

  

 何も無い世界で何かを掴む為に


 

 黄金の瞳に燈が宿る。

 届け。みんなに。

 世界に。

 

 俺たちはまだ、生きてるんだ。

 

 大気は揺れ、世界から音を消した。

 礼は、突如として脳を掻き乱すような何かに、ゾッとして全身を震え上がらせる。

 やっと理解したその咆哮に、固唾を飲む。

 凄まじく轟いた王の叫びは、生ある全てのものを揺れ動かし、プライドは、生命の火を取り戻す。

 総司、峯呂、柊、慧茉。

 生漲る瞳の輝きが、無限を孕む惑星のように瞬く。

「ルル。大丈夫か? 」

 砲撃からルルを守っていた勝平の背中は重度の火傷で黒焦げになった。

 王の本気の気迫に、ルルは言葉が出ない。

「行ってくるわ」

 勝平が立ち上がると、アルたちもボロボロのままついて行った。

「王が呼んでる」

 攻撃をやめた、無数の戦車と軍隊の前に、勝平は立ち塞がる。

「き、君に何ができるっていうんだ」

 礼は動揺が鎮まらないまま投げかける。

「俺の名を、呼んだんだ」

 すでに白目を向いていた勝平に、意識はない。

 勝平の身体に激しい電子の爆発が起きた。バラバラになった電子が、アル、イル、ウルと結合し始める。

 三匹はエネルギーを蓄えるように巨大化していき、筋肉や牙、爪と言った部分が強化されていく。そして分解した勝平の電子は、一つに戻ろうとした。その過程で三頭の巨大な獣はそれぞれの意識だけを残して一つに纏まった。

 動揺を重ねる礼。

「・・・ケルベロス」

 三つの獣の頭に一つの胴体。四足歩行でありながらも、その全長は、慧茉のそれに劣らない。

 ケルベロスは、荒々しく暴れ回り、戦車と兵隊を吹っ飛ばし、無双していく。

 そのまま礼の方へいくと、上空に浮かぶ無数の球体を、三つの顎で一気に砕き割り始めた。

 慧茉も呼応し起き上がる。高く膝をあげると、思い切り地面を踏みつけ、大きな地震を引き起こした。

 地面は揺れ動き、兵隊と戦車は身動きが取れない。その隙に銃口を抜け、また流れるような踏み潰しと投げ技の律動を取り戻す。

 そうして残っていく禍々しい足跡の中には、兵隊が何人も生き埋めになっていった。

 その上を、アンカーが飛んでいく。

 戦闘ロボットはまた総司目掛けて飛んで行った。

 総司はゆっくりと銀色の目を開き、一気に加速。銃火器の猛攻を、走りよけ、回り込み、くるぶし、膝の裏、股関節、胸椎にあたる部位の装甲を剥がし、内部導線を切り落とし、機動力を皆無にした。

 胸部に付いているいくつもの銃火器が装填され、撃ち放たれる寸前、銃口を蹴りで折り曲げ、ロボットの頭に向けた。

 放たれた砲弾によって自身の頭を吹き飛ばすロボット。

 爆発して戦闘不能になったのも束の間、別のロボットが背後から襲いかかる。

 その時、巨大な蛇がロボットに巻き付いた。

 動きを封じ込め、手足を拘束する。そうして装甲の隙間から体の内部に侵入した柊は、ロボットの動力源から伸びるパイプを全て叩き壊し、核を外へ投げ出した。

 火花散らして倒れるロボットから、ヌルッと出てききた。

「ごめんなさい総司さん」

 浮かない顔をした柊と背中合わせになり、辺りに気を向ける。

「お前はよくやってるさ」

 背中越しに見えた総司の微笑み。柊は涙を堪えた。

「一体ずつ、確実に仕留めるぞ」

 深く頷いて、兵隊を蹴散らして行く。

 

「馬鹿どもが・・・ 何度やったって同じなのに。なんて・・・ 」

 礼の耳元で低い声が囁いた。

「どこ見てやがる」

 一瞬視界が消え、時空が歪む。

 雷を纏う強烈な右フックが、礼の顔面を砕き割る。

 思い切り吹き飛んだ礼は、転がって止まった。

「やっと有効打入った・・・ 」

「ちょ、調子乗りやがってええええ! 」

 テレポートでまた背後に来た礼の一撃目の大振りな攻撃は、避け切れずに当たった。だが、冷静さを欠いている礼の単調な動きは、峯呂の戦闘知能指数に劣り始める。

 テレポートと攻撃を同時に行うパターンを読み始め、その数手目の蹴りを、峯呂は遂にガードする。

「やっと見えて来たぜ。お前の型」

 残った片足を弾いて、宙に浮かせた。

 一気に詰め寄れ。最後のチャンスだと思え!

「おおおおおおおおおおおおお! 」

 電光石火の連続。スパークしていく雷が、その激しさを物語る。

 隙間への的確な攻撃の連打。

 脇腹、太腿、首、眉間、こめかみ。

 そして溝落ちへ、手根部の猛烈な追い込み。

 背骨まで行けと言わんばかりに刺し、地面に叩きつけた。

 血を吐いて、跳ね上がる礼。

 意識が戻ってすぐ、またテレポートした。

「逃すかあああああ! 」

 付加力の球体が発効し始め、礼の体が回復されようとした。

 クソ! 間に合わねえええ!

「無駄なんだよ! 」

 回復の光が礼を包み込むその瞬間、ある異変に気づく。

 隣にあった戦車の大筒が、礼をロックしていた。

 え? なん・・・

 大砲は、至近距離で砲撃。

 吹き飛んだ礼と共に、付加力と監視の球体が、粉々に砕け散った。

 戦車の上にハッチを開けて現れたルルは、大きなガッツポーズをあげる。

「よっしゃああああああ! 当たった! 」

 ボロボロになった礼は、立ち上がりきらず、充血した目で一行を睨む。

「クソ・・・ このゴミ共があああああああ! 」

 峯呂は拳と拳をぶつけて、首を回す。

「さ、こっからが本番だ」

 着々と戦力を削っていた柊と、総司、慧茉。 

「ルルさんがやりました! 残り二つ! 創造ともう一つ! 」

「恐らくあの大量の玉の中のどれかでしょう」

 破片を粉のように撒き散らして、大量に噛み砕き続けるケルベロスを遠くに見る。

 浮遊している数が多すぎて、素早く動けない球体。まるでイワシの群れのように逃げ惑う。

「まだいけるか? 」

 総司は、真面目な顔で敵を見ていた。その横顔に、柊も本気になる。

「軍隊が勝平と峯呂、空を邪魔できないよう、攻撃し続けるぞ」

「はい! 」

 その時、巨大な爆炎が空高くまで弾けた。

 場所を選ばず、爆発は次々と戦場に穴を開けていく。

「上だ! 」

 遥か上空で、風を切る鉄の翼が傾き旋回した。

 五機の戦闘機はハッチを開けると、砂を溢すようにパラパラと、爆弾を投下していった。

「ふせろおおおおおお! 」

 峯呂の声で、地面に伏せた一行。

 同時に起爆した数十個の爆炎で、空は赤黒く、燃え上がった。

「お前ら全員死ねええええええ! 」

 自身で創造したはずの軍隊やロボット、戦車も関係なく、この一帯の大地の形成ごとリセットするように、爆弾の雨は降り続けた。

「少なくともこれで、奴は死んだ」

 大地がエグられ、揺さぶられた影響で、火山はより噴火を繰り返し、活発になった。

 火口から溶岩は飛沫をあげて溢れ出し、川のように山を降った。その燃える川は、麓にいる伊都と空に向かって加速する。

「空ーーー! 」

 ふせたまま叫んだ柊の声は、立ち昇る黒煙の中に消えた。



 

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