5 魔獣討伐
レオンの成長が著しい。今度は何だろう。
巨大な蛇が現れた。
レオンは弓を取り出し矢を番えて放った。吸い込まれるように右目に当たり、蛇が暴れ始めた。
もう1本矢を番えて、暴れまわる蛇の左目を的にするが、無理があった。
槍を握って走り寄り、暴れる胴体に切りつける。深くえぐれたと思ったが致命傷にはならない。
シンシアが、大蛇の開いた口に火焔を放つと、大蛇は、鎌首を持ち上げたため外れた。
レオンが、下顎から槍を突き刺したが、そのまま大蛇が大きな口を開けて、逆にレオンを襲う。
レオンは掌をその口に向けて火球を放った。
大蛇の口を上に突き抜け弾け飛ばした。
口の中を晒しながらも、激しく動く。
ハルトが風刃をくねり続ける胴体に放つが、尾を振り回して来た。
慌てて飛び退き、何とか攻撃を避けた。
レオンは剥き出しになった口に火球を放ち続ける。大蛇は火球から逃れようと蜷局を巻いて頭を中に隠した。
レオンはそのまま近づくと大蛇に触れてアイテムリュックに取り込んだ。
「凄い。入ったの。」
「何とか。」
「レオンもハルトも魔法攻撃が素早いわね。詠唱はしないの。」
「詠唱って何ですか。」
「無詠唱ってこと。どうして出来るの。」
「シンシアさんはいつも詠唱を。」
「もちろんよ。詠唱しないと魔法は発動しないのよ。」
「じゃあ、僕等のは魔法じゃないかもしれない。頭の中でしっかりイメージして力を込めるだけです。」
「まあ、いいわ。レオンとハルトだから。素材を持ち帰りましょう。買取りしてくれる。」
5人は、森を出て、街に戻った。
ギルドに入り受付に薬草を提出する。報酬、銀貨5枚を貰ってから、買取りカウンターで、大蛇を取り出した。
「お前たちが討伐したのか。」
「ええ。買取りしてもらえるかしら。」
「これはパイソンだ。A級だ。魔石だけでも金貨100枚はする。買取り金額は、今はわからない。久しぶりだ。明日の朝、来てくれ。買取りは、金貨300枚は超えるだろう。」
「そんなに。」
「お前たちはランクアップする、どのランクになるかは、明日を楽しみにしていろ。」
5人はギルドを出た。
「お腹空いたな。」
「俺もだ。」
「早いけど、食事にしましょう。」
5人は食堂で、大銅貨5枚の定食と蜂蜜水を頼んだ。
「凄い。金貨300枚なんて。」
「5等分でいいですか。」
「レオンが止めを刺したのだから。」
「5等分でいいと思う。皆、頑張った。」
「ありがとう。それにしても、あの矢は何なの。」
「特注品で、速度と威力が増してます。」
「パイソンの眼に打ち込むなんてやるわね。」
「たまたまです。」
「レオンは不思議な子ね。何故、魔法だけじゃなく色んな武器が使えるの。初心者じゃないわ。」
「レオンの父ちゃんは武闘家で道場主だったからな。」
「武闘家って。」
「剣、弓、槍それに空手。空手と言うのは体全体を使って攻撃することかな。それら全ての先生。」ハルトが説明した。
「ふーん、凄いのね。でも納得したわ。レオンが強いのは。訓練してたのね。」
食事が終わると
「明日はギルドに集合でいいですか。」とレオンが言うと皆が頷いて、解散した。
翌日、ギルドに行くと、全員がランクDになり、新しいギルド証を貰った。
さらに、パイソンの買取り金額は、魔石を含めて金貨600枚になった。
「一人金貨120枚ね。それに盗賊の隠れ家にあった現金の50%、金貨200枚。こんな大金持ったことがないわ。」
「一人金貨160枚。一度、里帰りをしようよ。お金を母さんに少しでもあげたいし。」
「そうね。レオンたちはどうする。」
「住む所を探してみます。宿暮らしはもったいなくて。」
「帰ってきたら、また一緒にお願いね。」
レオンとハルトは翌日も、掲示板を見ていた。
依頼書を剝ぎ取って、受付に渡した。
「猪の魔獣ですね。場所は街の北門を出て30分位歩いた村の畑。作物を荒らすので、討伐依頼が出ています。」
2人は、街を出て歩く。村に入り、村長の話を聞く。
「時を構わず畑をうろつくので、何もできない。頼む。」
畑に行くと、大猪の魔獣が寝そべっている。
2人を見ると、起き上がり、ブフォと一声上げて、突進してきた。