プロローグ
中学生がいきなり異世界へ。レオンとハヤトは生きて行けるのか。
レオン(蓮音)は中学校に着くと、自分の番号の付いた靴箱のフタを開ける。
泥水で汚れた上履きが入っている。
またかと思い、用意していた紙袋に包んで鞄に入れる。
履いてきたスポーツシューズを靴箱に入れ、持ってきた新しい上履きに履き替える。
中学校2年の時から始まった虐めは、3年生になっても続いている。
切っ掛けは、担任教師が、学校参観や家庭訪問、それに呼び出しを無視するレオン(蓮音)の父親のことを、朝のホームルームで詰ってからである。
レオンは優しい澄んだ目をしていて、悪口を言ったり、力に頼る事もない。剣道、槍道、弓道の有段者であるレオン(蓮音)が暴力を振るうことはない。
女生徒達には人気があり、そのことが、同級生の3人が虐めをする本当の理由である。
その日も、教室のゴミ箱に捨てられた自分のノートを拾って、屋上で、皺を伸ばしていた。
同級生3人がやって来て教科書を投げて来た。
レオンが拾おうとした時、ノートを奪い取られた。
教科書を持って、屋上から階下に向かおうと立ち上がった。
その時、同級生の1人が、ノートに百円ライターで火を付けようとした。
レオンが走り寄り、その手を掴んだ。
その時、2人の足元に丸い魔方陣が現れ白く強く光った。
その光は暫く続き、やがて、何もなかったかのように消え去った。
2人の姿は煙のように消えた。
校内で2人の生徒が消えたとして、職員や警察がやって来て、捜査が始まったが、何の手がかりもなく、行き詰った。
マスコミが取り上げて、誘拐か神隠しかと騒ぎ立てた。
数日して、レオンの父は現場を訪れた。
「蓮音、何処に行った。いずれにしろ、お前にとって大きな試練になるのは間違いない。何処に連れていかれても、何としても、生き延びろ。お前は儂の子だ。出来るはずだ。出来るように育てた。もし、お前の行先が異世界だとしたら、儂の先祖である一色家が残っているかもしれん。これもお前の運命やもしれん。」
独り言ちた。