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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター7 波に揺られる島
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第81話 賽の河原


沿岸を渡って島を左回りに歩いて行けば

まるで三途の川向こうで語られる賽の河原そのものが見えて来た

丸い石が積まれる奇怪な光景 何より実際に石を積み上げている子供の姿が


美祢葉が近くのお地蔵さんにお供えしている間

ペテ公は石場で遊んでいる子供の近くに寄った


「一人で遊んでいるんですか?」


「……迷子になった」


「迷子になった?!」


ペテ公の大声に美祢葉も駆け付ける

暫く一緒に待って上げていると 遠くから父親が迎えに来る


「あれ……? ゴザッテ旅館の美祢葉さんですよね?」


「えぇ讃岐さぬきさんの息子さんを見かけて駆け寄ってみれば はぐれてしまったようで」


「妻のお墓に行っていたんですが 泰鳥だいさくが目を離した隙にいなくなってしまって」


「讃岐さんは元々地元民ですので土地勘はありますが……

息子さんから目を離さないように気を付けて下さい」


「泰鳥のこと 見ていて下さってありがとうございます……!!」


子供と美祢葉が海の近くで遊んでいる余所で

バードウォッチングも兼ねて故郷に帰ってきた讃岐にペテ公が同行していた


「君はどうしてこの島に?」


「実は記憶喪失でして……

しかもこの賽の河原に倒れていたところを 美祢葉さんのお父さんに助けて貰いまして」


「ハハハ!! 君も迷子でしたか…… それとも幽霊ですかな?」


「お恥ずかしい話です……」


「では是非とも幸せの青い鳥を見つけて欲しいものですな」


「青い鳥ですか?」


木の上で羽を休めている小鳥を写真に収める讃岐


「珍鳥の多いこの島でもお目に掛かるのはごく稀なんですよ

まぁそれだけ見つけられた瞬間は心が躍るんですよね

もしかしたらペテさんの記憶も戻るかも…… 願掛け程度ですね」


「これからは意識して探してみます」


周辺の撮影を終えた讃岐は美祢葉達と合流する


「美祢葉さん…… 今も島の反対側…… 〝黒い森〟は立ち入り禁止なのかい?」


「えぇそうですね…… 暫くはずっとそのままなんじゃないでしょうか?」


「そうかい…… じゃぁそろそろ旅館に帰らせて貰います」


「承知しました 今晩の夕食も楽しみにしていて下さい」


「えぇ…… 昨晩のご馳走はとても美味しかったです」


讃岐は息子の手を握って帰路に乗った


「お母さん…… ここにいるかなって思ったんだけど……」


「お母さんはきっと もっと楽しいで場所で待っているよ」


二人の姿が消えれば 美祢葉達も帰ろうとする


「黒い森とは何ですか?」


「数年前から立ち入ってはいけない場所なの

噂では大金持ちの人がそこを占領してるらしいからペテちゃんも気を付けてね」


「…………」




旅館に帰れば再び大忙し

今晩は焼き魚をお出しする予定なので 店の裏では鉢で魚を焼くペテ

そこに一人の宿泊客が近付いて来た


「煙草吸っていいか?」


「えぇ…… 出来れば煙がこっちに来なければ幸いです」


一人旅でやって来た旅行者さんだった

以前も喫煙できる場所を尋ねて来た人だ


「なぁ……?」


「はい?」


「俺のこと覚えてないのか?」


「申し訳ありません…… 私記憶喪失でして……

……もしかして私のお知り合いですか??」


「……いや人違いだったかもな」


灰皿に吸い殻を捨てる男はそのまま館内に帰ってしまった


「……何なんだろう」


その夜 いつものように食堂で宴会が行われ

いつものように客達が就寝すると 後片付けの過程でゴミ袋を外に出していたペテ公は

遠くより人の視線を感じ取っていた


「……見られてる」


変な事が重なるも特に気にしないペテ

しかし事件は島民が寝静まる夜更けに起きた




バールで一階の食堂窓をこじ開けられ 館内に入って来る複数の男性

何処か外国で売られているようなお面を付けて厨房へと入って来る


「何だお前達?!」


ペテ公が察知するがボコボコにやられてしまう

続いて美祢葉と大将も起きるが 二人は隅に固まって怯えている


「……アイツだ」


不審者達の狙いは美祢葉だった

指示する男は周囲に比べて痩せ型だが

周りは彼の命令に忠実


「何なんだアンタらは?! 娘をどうする気だ?」


「客の目もある 早々に立ち去るぞ」


ガムテープで美祢葉の口を塞ぎ 手足を縛れば大柄な男が持ち去ってしまう


「ゲホッ…… ゲホッ…… 何だお前ら……」


「…………」


痩せ細る男はペテ公の髪を掴み上げてジロジロ見ている


「これが噂の安斎賢也か…… 記憶喪失は本当らしいな……

こいつも連れて行け 研究し甲斐があるかもしれない」


「ヘイ!!」


二人が連れて行かれるのを ただビクビクしながら見てるしかない大将

すると窓を割った食堂付近で男の悲鳴が上がった


「どうしたどうした?!」


不審者全員が慌てて食堂に向かえば 美祢葉を連れ去ろうとした男が倒れていた

その奥では美祢葉を丁寧に隅で寝かせる男が そいつにペテ公が反応する


「貴方は…… 旅行客の……」


「デュヒヒヒヒ……!! ワシの推しを何処に連れて行く気やぁ?!!!」


ペテ公を担いでいた大柄な男はその身柄を捨て

謎の旅行者もとい四季園岳斗に襲い掛かった

だが力の差は歴然 バッタバッタと殴り倒されて行く


「ヒィィィィ!!!!」


痩せてる男に近付けば その丸いグラサンを取り外す岳斗が


「お前は…… 〝記憶移植〟の権威…… グリーフリー博士か……?!」


「た…… 助けてくれぇ!!」


倒れた大男は隙を突いて岳斗にタックルし グリーフリーを連れて窓から逃げた


「大丈夫か安斎ちゃん?!!!」


「あ…… うぅ…… 貴方は何なんですか?」


「お前と柴塚ちゃんにヨダレを垂らす熱狂的なファンやで!!」


「えぇ……」



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