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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター6 DO OVER 
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第77話 暗澹たる絶海


倉庫の内側から扉が開かれ 枷の付いた人間を背負って柴塚が現れた


「いました!! ここの倉庫は黒です!!!!」


柴塚にライトが当てられた それを見た駐車場の警官達は一斉に足を動かす


「突撃ぃ!!!!」


さっきまで膠着状態だった静かな集団が一気に倉庫内に雪崩れ込む

しかし安久谷達の船は今このときにも動き出そうとしていた


安斎は安久谷に向かって猛進する

顎に向かって殴り入れる安斎の拳を後ろに仰け反って回避する安久谷は

懐からナイフを取り出し 右手を斜め上に振り切ってみせる

髪を綺麗にバッサリいかれるも 重心を留めていた安斎はそのまま彼に蹴りを食らわせた


「グハァゥァ……!! アァ…… イダィナァ……」


顎に直撃した安久谷 追撃をと思ったが袴田や他の連中が阻んでくる


「邪魔だどけぇ!!!!」


一人を殴ろうとも別の方向からの攻撃は視野から外れる

さすがに敵の懐に入り過ぎた安斎は周囲より袋叩きにされていた


「ハァハァ……!! 待てや安久谷……」


身体を丸めて無数に襲ってくる足踏の雨を耐えれるしかない

しかしこれはガキの喧嘩ではない 袴田が銃を取り出し 安斎の背中に銃口を埋めれば


「ギャァァァァ!!!!」


「安心しろ…… 急所は外してやる 今まで邪魔をして来た罰だな」


ギリギリ死なない程度に打ち込まれる銃弾

発砲音から火薬を控えめにしている所 拷問様に改造された半オモチャ銃だ

安斎の口と背中からは血が流れ始める


「女一人と奴隷一人を庇えたんだ…… 英雄として死ねるぞ? 後世に残るかは保証出来ねぇがな」


「フゥフゥ……」


「異物が体内にあるって変な感じだろぉ? 時期に感覚が無くなるから安心しな」


そこへ警官達が銃を構えて登場する


「警察だぁ!! 手を挙げろ!!」


袴田は即座に安斎に銃を突き付け 人質にした

後方の船は既に陸から遠く離れており 気が付けば安久谷の姿も無い

警察側からすれば ここで膠着するなど最悪のケースだ


「松原さん 海保が動いてくれています」


「分かった…… チッ安斎…… この埋め合わせはお前を生かして償う」


そして安斎の身の危険を感じて落ち着いていられないのが


「所長!!」


警察の壁を押し退けて柴塚は前に出ようとした そんな彼女の行動を松原が止めに入る


「相手は武器持ってんだぞ!! 不用意に近付くな!!」


「あんな極悪な連中にも強行出来ないんですか?! 何の為の警察ですか?!

ちゃんと一般市民を守って下さいよ!!!!」


「今下手に動いて安斎が死んだら元も子もねぇだろぉ!!!?」


「……誰か助けて下さいよ!! 所長が血を流しているじゃないですか!!」


周りの警官達は百も承知だ だが松原の言う事が一番の安全確保に繋がる前提

見す見す囚われの身の安斎を殺してしまっては行動に移した価値が無くなる


「ハハ…… 愛されてんなぁ安斎…… 警察が人を守るなんざ偽善で見てらんねぇよ……!!」


「袴田さん!! クルーザー持って来ました!!」


「よし…… 残ってるお前らぁ!! 好きに逃げろ!!!!」



「「「「「 えぇ?! 」」」」」



部下の一人と安斎を乗せ 袴田は海の向こうにいる船に向けて出航してしまった


「確保ぉ!!!!」


気が動転している奴等を取り押さえる警官達

しかし柴塚と松原は逃げていく袴田達をジッと見つめるしかなかった


「うっ…… うぅ……!!!!」


柴塚はその場に泣き崩れる あの重症 ましてや安久谷達が安斎を生かす保証も無い


「すまん……」


「私達を…… 捨て駒に使ったんですか……?」


「そんなつもりは無いが…… すまん…… 今はこれしか言えん……」


松原は只管謝罪するが 柴塚が顔を上げることはなかった




海上では所々に海保船のサーチライトが遠目に見えていた

袴田の乗っているクルーザーはエンジン音を止めず 振り切ろうとしている


「安久谷さん達が乗ってる大型船舶は目立つからなぁ……

少し遠回りする為に奇行運転をするだろうなぁ……」


椅子に座っている袴田とそのそばで倒れている安斎 クルーザーの運転は部下に任せていた


「ごめんなぁ安斎 痛みを長引かせるつもりは俺も無かったんだよぉ……」


「フゥフゥ……」


「だがこれも仕事の合間の息抜きだ…… いっつも安久谷さんがお楽しみ担当だったからなぁ

久々に人を痛めつけられて日頃のストレスが発散されたってもんだ」


袴田は安斎の首根っこを掴み 頭を船外へと突き出す


「俺の名前は袴田幸開 来世で俺の生まれ変わりに出逢ったら殺しても良いぜ……?

安久谷さんじゃなくて俺みたいなんで悪ぃな 弱い奴は死に方も選べねぇって奴だ」


足も掴み 袴田は安斎の身体を海に投げ捨てた

気を失う寸前なのもあり 安斎は海の流れに抗う素振りも無くそのまま底へと消えて行く

袴田は中へ入り 冷蔵庫から酒を取りだして仕事を終えた後のリラックスタイムに突入


「プハァ…… どう思う? もっと拷問した方が良かったか?」


「いやぁハハ…… どうでしょう……? 物足りなかったんですか袴田さん?」


「いや…… 俺って安久谷さんに比べたら優しいよなぁって思って」


「あぁ…… 安久谷さんは完全に死を見届けるタイプの人ですもんねぇ?」


「……あの野郎 万が一にも生きてると思うか? この日本海で?」


「潮の流れは強いですが…… さすがにそれは無いんじゃないっすかねぇ?」


「だよなぁ…… でも安斎の野郎は中々しぶとい奴なんだよなぁ……」


「不安だったんならちゃんと実銃で殺せば良かったじゃないですか?」


「……あぁ~~!!!! 事が終わってから反省し出すB型だ俺は~~!!!!」


「ちょちょ袴田さん!! あまり大きな揺れを生じさせないで下さい!!」



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