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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター6 DO OVER 
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第75話 港湾防衛戦


PM8:14 甲斐枝倉庫第三波止場


ここは嘗て安斎が闇バイトをした場所と同じ船着き場

相も変わらず暗闇が彩る大型船には何十人もの商品が運ばれている


「人数減って来たなぁ…… そろそろ潮時か袴田ぁ?」


「そっすねぇ…… ここら一帯にしては集めた方ですよ 後は大都会の方に期待しましょ」


「やっと〝あっちの国〟に俺も行けるかなぁ? 前は安斎の所為で出戻りだったしなぁ……」


「てか安久谷さんって海外旅行好きでしたっけ?」


()()()()()がある舞台が例の国だ

日本に留守番してニュースだけで情報を仕入れるとか 俺はやだね

ちゃんと世界の!! 動乱の!! 渦の中心にいたいんだぁ」


地面と船を繋ぐ掛け橋の入り口付近で 陣頭指揮を執っている袴田と

彼にちょっかいを掛けている暇を持て余した安久谷

一方で甲板の隅では 同行する泉太郎達が何をするでもなく

運ばれる商品を見ながらダベっていた


「どう思う建守君?」


「……可哀想っすねぇ 後先考えないで借金しまくったクズはともかく

ただ売られてしまった子供や保証人になった人達には同情します」


「まぁ俺達じゃぁまだアレを助けられる力はねぇな……」


ここで仲間内の一人 野田が海に向かって嘔吐する


「おいおい汚ねぇなぁ…… 慣れとけよ野田君」


「ごめん泉太郎君……」


野田の背中を片手で摩って上げるのは金森


「おっ! さすが我等がチームの最年長の金森君!!」


「茶化すな泉太郎…… グレーな組織にいる自覚はあるが

別に悪に染まったわけじゃねぇ 椎野さんが落されたときは正直胸糞悪かったぜ」


「だなぁ…… だがあん時は皆初めて銃を乱射しただろ?

緊張状態になって助けに入る余裕なんて無かったよなぁ?」


「……ユザブルも随分知った顔がいなくなったもんだ 烏合の衆が気付けば四人なんだもんな

まだ顔も知らない加入者が存在するのか 俺達を残して全滅したか どうなんだ泉太郎?」


「知らん知らん…… 俺と安久谷の関係が逆転するのは継承権を得た後だ」


「ふん…… だがそろそろ俺達が連んでいることの重大さを説明した方が良いんじゃねぇか?」


「……そうだよな」


壁に凭れる泉太郎はフランクに しかし何処か真面目なトーンで話す


「俺がもし四ノ海グループの正式な後継者になった暁には

お前ら三人に付いてくるのは 悪くない上役ポストだ」


「いやいや泉太郎君……!! 俺経営なんて出来ませんよ?」


「経営だけが全てじゃねぇよ建守君 強みを活かせ活かせぇ

お前と野田君はどっちも学校でイジメられてたんだよなぁ?

つまり満足に勉強出来てねぇんだろ? 集中できない 世の中に興味すら湧かない

だからこれから長い時間を掛けて自分の強みを育てろ

その為の金やチャンスをこの先の人生で自由に使えるんだ 二人は漠然な夢はあるか?」


「俺は…… ヒーローになりたいです」


「アハハハ!! 建守君らしいなぁ…… 今までの話を聞いてもブレないのは天才だよ 野田君は?」


野田は頬を人差し指で掻き 照れながらも


「僕は…… お…… 女を抱きたいです

あと高級リゾートで美味い飯を食べたり…… 女の子とプールで遊んだり……

あぁあと最新ハードのゲーム機が欲しいです 最近は高額じゃないですか……?

そしてスマホを最新機種にしたり 世界中から酒の名産を集めたいですね

あとアニメ制作会社とかも買収してアニメ創りたいです!!

脚本も音楽も声優のキャスティングなんかも自分で決めたいですね!!」


「……建守君よぉ 普通は富が得えられるっつう話が出れば 野田君みたいな反応になるのが正解だ」



「……抑えつけられ過ぎて物欲とか持てなくなってましたね

でも新しいゲーム機は欲しいです!!」



仮に宝くじを当てたとしても 大した使い道などしない庶民思考の二人に

泉太郎と金森はただただ呆れ笑いをして盛り上がっていた

そんな四人に近付く一人の少女


「私もそのグループに混ぜてくれる? 泉太郎君」


「お前は確か…… 芽神咲彩だっけか?」


「そうそう!! 久し振りだね建守先輩!!」



「えっ…… 久し振り…… えっ何でここにいるんだ??」



暁風楽校の生徒同士の希有な再会

そして五人の談笑は コンテナの中の檻が全て運ばれるまでの暇潰しとして続いた




一方で波止場とは反対側 甲斐枝倉庫全域に劣らない広さの駐車場では

数十台のパトカーが敷き詰め 松原率いる警官達が倉庫の管理者と悶着を起こしていた


「許可が降りてんだ!! 中を調べさせろ!!」


「私共にはそんな話は届いていません…… 上の者に確認して下さい!!」


「そちらの上の者とこちらの上の者が話し合って命令が下されたんだ……

あまりしつけぇと公務執行妨害で連行するぞ?!」


「ならこちらは職務怠慢で訴えます……!!

倉庫内を勝手に荒らされて 四ノ海の方々を怒らせ

私共のクビが飛んだら責任とって貰えるんですか?! 私にも家族がいるんですよ?!」


「人を誘拐しといて何が家族だぁ?! こっちはある程度調べて来てんだよぉ!!」


「誘拐……?!!! なっ…… 何のことですか?!」


片時も引かない倉庫側の人間達は 壁を造るが如く警察の行く手を阻んでいた

暴行に走るならまだしも 完全に被害者面の構えで妨害して来ているのだからやりにくい

倉庫自体も壁の役割を果たしている 向こう側で何をしているのか一目でも分かればなのだが


「駄目っすね松原さん 他の刑事達の圧にも屈さない所を見ると

あの管理者達はカタギ寄りなんでしょうけど相当訓練されています」


「ヘリを飛ばして写真を撮っても

この薄暗い時間帯故に人身売買の事実を如何様にもねじ曲げられる

……遠目に見える〝売り物〟も〝従業員〟ですって言われたらそこまでだ

安斎達に賭けるしかねぇ」



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