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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター5 仕合わせ
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第64話 緩めない悪行


プロペラが回転し始め 屋上では騒音が鳴り始める

その音に乗じて輩の一人を 柴塚が廃材で殴り倒す

打撲音は掻き消され 見張りの人間を次々と死角より襲った

最後に残る袴田に恐る恐る近付くと 奴は懐から銃を取り出し彼女の眉間に銃口を当てる


「役立たずを片付けてくれてありがとうよ 久留美ちゃん」


「一階の爆破といい…… 貴方達にとって他人の命は虫と同等なのかしら?」


「ヘリに乗せれる数にも限度があるだろ? そして乗組員は既に決まっている

俺と安久谷さんと…… あとは泉太郎とアイツが気に入った構成員数人だ」


「……人を玩具みたいに弄んで 何がしたいのよお前達は?」


「即死するお前に関係ねぇだろ?」


袴田は躊躇無く発砲した

柴塚は動けなかったが 何処からともなく駆け付けた松原に押さえられ弾道を逸れる



「……松原さん!?」



「何とか間に合った……」


「チッ……!! サイレンは囮かよ?!」


「まだ遠くにいるだろうって油断してたろぉ?

四ノ海の忠犬も大したことねぇなぁ!!」


「この野郎……!!」


銃のスライドを引いて松原に標準を合わせる袴田

一点を見つめる彼に 横槍が入る

ヘリの方向から銃弾が発射され 彼の銃は遠くへ弾かれた


「っ……!!」


「何やってすか先輩!! 早くヘリの後ろへ!!」



「悪いな須藤!!」



松原と柴塚はヘリの後ろへ後退する

地上には何十台とパトカーが集まり始め

近くの生きている人間から捕獲されて行く


「チッ…… クソぉ……」


「冷静になれ袴田だぁ…… 地上に何人いようと屋上はこっちが優勢だ」


「あっ安久谷さん!!」


「最終的にあのヘリを獲ったもんが勝つ…… だろう袴田ぁ?!」


「うっす!!」


安久谷が兵隊達に持たせた武器はマシンピストル


「アサルトライフルよりは撃ちやすい 狙うはヘリの下だ

下手してもプロペラのメインローターは狙うなよ~~」


後から駆け付けた建守達を含め ヘリポートを乱射し始める

勿論大半が素人だが 的を選ばない分 射撃の腕は関係無い

松原達はヘリを盾にして膠着していた


「松原さん!! どうするんですかぁ?!」


「この野郎……!! どっから持ってくんだあのピストルはよぉ!!!!」


安久谷は警官が応戦しない事を知っていた

何故ならば警察官職務執行法第7条

〝 犯人の逮捕もしくは逃走の防止

自己もしくは他人に対する防護または公務執行に対する抵抗の抑止の為

必要であると認める相当な理由のある場合に定める 〟

この条項は警察官達のある程度の解釈と決断が求められる

それは即ち 警官人生に保証が無いと言われているようなものだ

もし相手を間違って殺したりでもすれば その先の処遇 もしくは処分なのかは見えてこない


「奴等は撃ってこねぇぞぉ…… 弾数に注意しろぉ 目的はあくまでヘリまでの到達だからなぁ」


彼等が近付けば近付くほど こちらに被弾してもおかしくない

ここでは現場の判断のみ つまり松原達にとっての最善が余儀なくされる


「チッ…… 後ろの階段から逃げるぞぉ!!」


屈んで逃げる五人の警官と柴塚

それを目視で確認した安久谷は全員をヘリに乗せた


「操縦は頼んだぞ袴田!!」


「任せて下さい!!」


あとは飛ぶだけの状態だったヘリは徐々に屋上から離れていく

しかし諦めが悪いのがこの男

渾身のジャンプを見せてヘリのスキッドを掴んだ


「……安斎よぉ お前さ~~」


乗り込み口から 必死にしがみつく安斎を見て呆れている安久谷


「ヘリは戻らねぇぞ? 空中でお前…… 落されたらどうすんのよぉ?」


「大人しく…… 捕まれよ安久谷…… 何人も殺して…… いつかツケが回ってくるぞ?!」


「この状況で普通は命乞いだろうが…… 言ってみろよ?

安久谷様お願いです~~ 何でもしますから~~ もう奴隷にして下さ~~い」


「っ…… おい泉太郎!!!! 建守ぃ!!!!

お前らが嫌いなイジメ加害者が目の前にいるぞぉ?!

何とも思わねぇのかぁ!!!?」



「「 ………… 」」



これはもはや処世術である

初めて銃を握った時から泉太郎はともかく

建守のような人間になれば 心が不安定になるのも当然

爆発を経験し 警察を敵に回す事を経験し

自分がどこかニュースに出て来る犯罪者という自覚と戦い

目の前で困ってる人間なんかに構ってる暇は無かった


安斎は腕を曲げて何とかヘリに乗り込もうとする

それをただ嘲笑しているだけじゃないのが安久谷だ


「フフフ…… では今回の成績発表でーす♪」


「……はぁ?」


スキッド部分で頑張っている探偵を余所に唐突に始める謎イベント


「今回はまぁ…… 皆役立たずだったなぁ俺含めて……

泉太郎と金森哲治かなもりてつじ君と野田兼親のだかねちか君はただ三階に来て爆破を回避

椎野歌留多しいのかるた君は負傷して 建守颯颯君はそんな彼をここまで連れてきてくれました

おっともしかしてMVPは建守君かなぁ……?」


「あっ…… えっ…… いやぁ……」


「はい皆拍手!!」


一斉に響き渡る手の音でちょっと和やかなムードになる機内

そんな余韻を作っておいて 安久谷は負傷した椎野の首根っこを掴んだ


「えっ…… ちょっ…… 安久谷さん?!!!」


「ドンケツで役立たずでこの先も足を引っ張りそうな椎野君には罰ゲームです」



「おい何やってんだ安久谷!!!?」



安斎の目に映ったのは 乗り込み口から身体を外に乗り出した椎野

それを躊躇無く手放した安久谷は今までに無い笑みで見送った


「じゃぁなぁ…… 清太君を殺せてもう満足だろぉ?」


椎野の身体はそのまま安斎と衝突し 二人まとめて落下する

まだ空中と屋上との距離がそこまでではなかったものの

鈍い音と共に安斎の身体はコンクリートに叩きつけられた

またしても安久谷達には逃げられる



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