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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター1 東海林妖 
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第3話 七つの怪異


さっそく安斎は自分の仕事内容について確認を取る

先輩上司となる中西が個人別に用意されている資料を持って来た


「在校生は62名

園児7名 小学生12名 中学生31名 高校生8名 二十歳以下の社会人4名です」


「成人もいるんだな……」


「教室は五つに分れていますが教える生徒は一人の担当教師が基本形態です

自主勉強という形で生徒が希望した時間帯に

いつでもサポート出来るように近くにいる感覚を覚えて下さい

うちの楽校は特別講師や課外実習に於いてのみ 全校生が一箇所に集まって受講するシステムです」


「その場合は参加不参加自由ってことか…… 講師の器量が試されるな」


「その通りです 安斎先生にはこの全体講演を主として活動して貰いますが……」


「流れに身を置いちまったが分かってるよ 俺にも数人の生徒を受け持て……だろ?」


「よろしくお願いします」


さっそく目の前の手元に置かれた担当生徒を確認しつつ

中西による校内案内が始まった


「一階は実習室や資料室と保育園があります

給食搬入口そして職員室など生徒をサポートする教室でほぼ固まっていますね

二階は小学校と中学校の併合 三階は高校生と社会人の併合になっています その上は屋上ですね

うちのフリースクールスタイルは特に()()にシビアなので覚えて下さい」


「問題無いです」


「円形校舎なので普通の学校よりは移動が楽なんですよ

まさにフリースクールの為に設けられた施設ですよね」


「質問良いか?」


「どうぞどうぞ」


授業の様子を見ながら安斎は この普通と違う環境に対する懸念を述べた


「こういう特殊な学校の生徒が進学する際って

普通の学校の生徒と同格に見て貰えるのか? その…… 学力面とか精神面で」


「おっしゃりたいことは分かります

確かに公立とか私立とかで勉強を頑張っている生徒とは差が出る生徒もいるでしょう

だけど条件クリアでの資格ってのは何もここだけではありません 社会でもよくあることです

こちらの生徒がお宅の中学・高校に行きたいですよと言えば あちらから何かしらの打診が来ます

それをクリアする為に支援しているのが私達なわけでして

逆にフリースクール出身だからと差別的な目で見ればこちらも黙っていません」


「なるほどな…… だけど過去のトラウマやら何やらで実際に勉強が遅れる子もいるだろ?」


「それはここだけの話ですか? 普通の学校でも大人の世界でも個人に差が出るのは当たり前です」


「……何か悪かったな 現場を知らねぇで凝り固まってた偏見が解れたよ」


「えぇ!! ドンドンジャンジャン質問して下さいね!!」


中西の笑顔に 彼女の凄まじい胆力を安斎は見た

そして一通りの案内も終盤に差し掛かり 最後に行き着いたのは体育館とプールだ


「体育も個人授業なのか?」


「担当教師とのスケジュール調整で合流という形で行います

気を付けて欲しいのは必ず偶数にすること 奇数だと余ってしまう可能性が出て良くないですから」


「あぁ…… 余り物は先生と…… とか地獄だったなぁ」


「ですよね 独りにされるのは寂しいです」


案内が終わればいよいよ初日から仕事をさせて貰える

時間が時間なので小学生の低学年は既に帰家もしくは寮へ

中学校の五時間目と 高校生と社会人の六時間目を安斎は担当する


「あっ……!!」


中学生の担当は依頼人でもある芽神だった


「じゃぁ私は自分の持ち場へと戻りますので」


「……ありがとうございました」


中西が離れていくと 安斎は芽神を恨めしそうに見つめる


「まさか本当に外部講師になるなんて それに受け持ちってもう正職員ですよね?」


「まんまとお前にはやられたよ」


「勉強なんて教えられるんですか?」


「国語と歴史と英語くらいならな…… あとは道徳と性教育」


「はいセクハラ~~!! ここは気が短い子がわんさかいるんだから気を付けなさいね?」


「んで? 実際に怪談は何があるんだ?」


ペンを止めない彼女は髪を掻き上げながら話す


「一つ目は〝男子トイレのオトコンナさん〟」


「……ふざけてねぇよな?」


「うん 花子さんみたいな感じで 昔男子トイレに男の娘が自殺したらしいんだって

二つ目は〝人生二周目の教員〟

三つ目は〝使われない公衆電話のメアリーさん〟

四つ目は〝合わせ鏡〟

五つ目は〝猫の死体から成るスイカ〟

六つ目は〝プールに引きずり込む雪女〟

そして最後に〝ミスタートイトロッコ〟」


「ミスタートイトロッコ? ……って何だ? 妖怪か?」


「分かってたら貴方に依頼してませんよー」


「取り敢えず放課後だけだからな? あんまり夜遅くまで付き合う気は無いから」


「良いですよー どうせ最後まで見つけるまでが依頼だから

時間はゆったり使うのが私の心情なので」


「あぁここは自分に合ってるってことだな?」


「はいモラハラ~~!!」


「……俺ここでやっていけんのかなぁ」


その後も何か芽神に教えてやれることもなく

ただ自習の合間に雑談に付き合わされた安斎


しかしその次の高校生と社会人の受け持ちに至っては

既に帰ってしまっていたという報告で少し安斎は安堵していた




そして放課後 待ち合わせの場所で芽神と合流する


「どうでした安斎先生? 初日は?」


「ちょっと勉強はしてこようかなぁと思いました」


「付け焼き刃は良くないと思うよ先生

ここの子達が求めているのは〝居心地の良さ〟だからね

勉強出来て知識をひけらかす教師なんて元の場所と同じじゃん♪」


「……じゃぁ無理しねぇわ」


「そうそう!! 自然体で優しい教師が私達の求めているモノなんだよ」



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